Mistery Circle

2017-04

《 さよなら、私の夏時雨 》 - 2012.07.28 Sat

《 さよなら、私の夏時雨 》

 著者:白乙





《 密室0922からの脱出 》 - 2012.07.26 Thu

《 密室0922からの脱出 》

 著者:白乙





《 ちぎれた蜘蛛糸を抱いて 》 - 2012.07.25 Wed


 著者:白乙





【プロローグ】 

 仄暗い夜だった。ただ、窓からのぞく星空が綺麗だった。
 私はそれを大広間の絨毯に横たわりながら眺めている。舶来製の刺繍が施された高価な布地に私の血が広がっていく。わき腹からとめどなく熱が溢れ、指先からじょじょに動かなくなってくる。家の都合でたくさん勉強をしてきたが、死ぬときは少しずつ意識がなくなる感覚は初めて知った。
「―――」
 血塗れのサーベルを握った中年の男が誰かに話しかけた。生前旦那様と交流があり、何度か屋敷に出入りしていた人だ。比較的温厚な方だったが、私が家督を継ぐ話が出たときに大いに反対していたことを思い出す。ひそめた声の低さとかすれ声に聞き覚えがある。となるともう一人はご兄弟の方だろうか。いや、主犯は遠くの席でそのやりとりを聞いている彼らの叔母君かもしれない。せわしなく床板を叩くヒールのかかとがコツコツと私の耳奥に響いた。
 どのみち私にはもう関係のないことなのだ。
 私は死ぬ。
 養子として引き取られた自分には身に余る幸福だった。雲ひとつなく、月も出ないこんな静かな夜に死ねるのならいっそ本望だというのではないか。
 ただ一つ未練があるとするならば。
(奏(かなで)さん)
 血の繋がらない、最愛の弟の名を呼ぶ。彼が幼いころからずっとそばで見守り続けた、この屋敷で唯一希望となってくれた人の名前。彼からもらったシロツメクサの花かんむりは、今も大切に部屋に飾っている。
 彼のために死んでもいいと思えるくらいには彼のことを慕っていたし、彼も自分のことを慕ってくれていたように思う。あの子ももう十七だ。叔母君たちに、ただむやみに彼らに虐げられるような年頃でもないだろう。できることなら私のことなど忘れて生きて欲しい。
 後悔はないつもりだった。彼のために死ぬのなら本望だと。
 ただ、意識を手放す直前に響いた扉を開ける音。
 最後に聞こえた声が、私の安らかな最期に絶望を与えたのだ。
「……姉さん?」
 ああ、神様。貴方はなんて残酷だ。



【第1話】

 仄暗い夜だった。
 木造校舎の影からうっすらと差しかかった月明かりが、地面にへたり込んだ学生服の少女……葵の姿を映し出す。その前には、コールタールを全身に浴びたような女の影が浮かんでおり、今にも葵の方へ飛びかかろうとしている。異様に細長い黒い腕と歪んだ女の笑みに、葵の乾いた喉から悲鳴が漏れる。
 だが、その腕は葵に届かなかった。
「ぎゃあ!!」
 破裂音とともに黒い影が悲鳴をあげ、顔を押さえた。見れば、人間でいう右目の部分を撃ち抜かれていた。苦悶の表情を浮かべるその顔は先ほどまでの余裕はない。
 黒髪の少女……葵よりもはるかに幼い小学生くらいの子供だ、は軍服についた赤いマントを翻し、高らかに笑う。
「あはは、不意打ち成功! びっくりした? まだこんなもんじゃ終わらないよね」
 そう言って彼女は銃を構えた。それは自分の身長ほどの長銃であり、白銀の銃身は葵の腕ぐらい太く丈夫なものだ。少女はそれを軽々と黒い影の方へむける。爛々と輝く瞳は赤く、鋭い瞳孔はまっすぐに影の女をとらえている。
『くっ……!』
 黒い影は撃たれた右目をかばいながら、すぐさま蛇型の影を足元に展開した。人間の腕ほどの太さに膨れ上がった蛇たちは大きく口を広げ、音もなく葵の足元へ這っていく。軍服の女が引き金を引くよりも早く、その細い喉元へと牙をむく。
「ひいっ!?」
 だがそれよりも早く、重い鉄の一撃が葵の間に割り込んだ。
「おいお前、また一人で腰抜かしてたのかよ」
「だ、だって……」
 短髪から覗く金目がギロリと葵を睨む。
 少女と蛇の間に現れたのは、まだ年若い少年だった。背丈は少女とそう変わらないものの、軍服の上着に隠れた筋肉は分厚く、たくましい。太い指の手のひらには小型の斧が握られており、ふりあげたその刃先には先ほどまで叩きつぶした蛇の影の血がコールタール上にべったりとくっついていた。
 アヤメ、と呼ばれた少女は現れた少年に対し、頬をふくらませて反発する。
「鬼助(きすけ)、今回はあたしが悪霊を撃つから、葵をお願いねって言ったでしょ? あたしが一番に校舎に入ったんだからちゃんと鬼助が面倒見なきゃダメじゃん」
「ふざけんな。俺は戦えない足手まといと行動するのはごめんだ」
 鬼助と呼ばれた男は少女と口論を始めた。右目を撃たれ、配下の蛇も失った彼女は周囲に目をむけた。今のうちに逃げなければ、という意識が働いたのだろう。失われた恐怖という感情が彼女を支配していたのだ。コールタールのような血の影を撒き散らしながら校舎の柱へ後ずさりする。
 その寸前で、腕ごと切れた。
「がっ……」
 鬼助の斧だった。一瞬の隙に距離を縮めた鬼助は真っ先に腕を叩き落とした。
「おい、なに勝手に逃げてようとしてんだよ」
 ほんのりと笑みを含んだ声色だった。明らかに、自分を追い込むことを楽しんでいる。それでも化け物は逃げ道を探して顔を上げると、アヤメの紅い瞳と目があった。
 小さな指が、ゆっくりと撃鉄を起こす。
「あんたも散々暴れまわったんだから、いい加減成仏しときなさいってね」
 そう言ってアヤメは影の頭を、鬼助は胴体にむけてとどめの一撃を放った。
 頭を撃たれ、胴体を真っ二つにされた影は、悲鳴をあげる間も無く霧散する。
 二人が暴れまわった旧校舎に静けさが広がった。
 鬼助は持っていた斧をショルダーに背負い直すと、大きく伸びをした。
「もうちょい歯ごたえあるやつだと思ったんだがな」
「ねー。あ、そういえば葵、大丈夫?」
 アヤメが葵の方を振り向いた。ざわついた胸の奥が少しずつ落ち着いてくる。
「も」
「も?」
「もうダメ……」
 気力をつかいはたした葵の視界がゆっくりと反転する。
「あー!! また葵が倒れたー!」
 ひときわ賑やかなアヤメの声が遠く響いた。



【第2話】

 神とは、一般的に人智を超えた絶対的存在であり、人間とは隔絶した世界を持つ存在である。
 人間が暮らす歴史の中で、数多の神が生まれた。それはキリスト教のような一神教、ヒンドゥーや日本の神道などの多神教など様々だ。そしてそれは人には姿を見せず、しかし人と密接した関係を持つ。
 その中でも特に深い関わりを持つのが、死神だ。
 死者の魂を運ぶ役割を持つ死神。死を司るそれは不吉の象徴とも言われるが、本来死者の魂は長く現世に留まると悪霊化してしまうのだ。悪霊へと堕ちる前に正しく霊界へ導く存在が死神である。在るべきものを在るべき場所へと導く必要不可欠な存在だ。
 だが、死神が運ぶ前に悪霊となった魂も数多にある。それらはもはや霊界へ運ぶことはできず、死神の慈悲によって討伐されることのみで救済されるのだ。
 それが死神歴二年目、青柳 葵(あおやなぎ あおい)の所属する実働班だった。

 鉄板で何かを炒める音が、葵の耳にゆっくりと流れてきた。その音で目を覚ました葵は、自分がソファの上に寝ていることに気づく。体を起こすと薄手のタオルケットがずり落ちた。なれ親しんだ柔らかな感触に、葵はまた自分が気を失って運ばれたことを思い出した。
(情けないな)
 ため息とともにタオルケットを抱きこむ。腕の中でタオル地がくしゃりと歪んだ。
「具合はもう大丈夫ですか」
 柔らかな声色が葵のそばで聞こえた。見上げると声と同じ柔和な笑みを浮かべた青年がこちらを見つめている。黒地のエプロンからは美味しいごはんの匂いがした。
「御影(みかげ)さん」
「ちょうど今起こそうと思ったんですよ。さあ、ごはんにしましょうか」
「ごめんなさい御影さん、私、また……」
「大丈夫です。わかってますから」
「あ、葵起きたー? ごはんできたよー!」
 開け放たれたダイニングからアヤメの声が聞こえた。
「さ、あの子たちに全部食べられる前に食べちゃいましょう」
 そういって葵は促されるままソファから起き上がった。タオルケットを片付け、ダイニングへ向かう。

 死神といえど腹は減る。疲れもするし眠りもする。
 それは神も人間も変わらない、そのために住居が必要なのだ
 ここは葵たち実働班のメンバーが暮らす一軒家だった。
「はいどうぞ」
 差し出されたお椀を受け取る。出来立てのみそ汁の香りがほわんと浮かんだ。一口すすれば、硬くなっていた心の緊張がゆるむのがわかった。
「ちゃんと葵さんの分は分けてますので、慌てて食べなくても大丈夫ですよ」
 そういって御影は柔和な笑みを葵の方へ向ける。
 姿こそまるで専業主夫のようだが、こうみえて御影は葵たちの上司だった。
 長めの前髪を片方だけかきあげた髪型の長身の男性は、葵が初めて会った時にはアヤメたちとお揃いの軍服を身につけていた。元々はアヤメと鬼助の三人で実働班として活動しており、葵が班員に加わったことで現役を引退、以後は三人のサポートとして衣食住の世話をしてくれている。もちろん上司としてのサポートもしてくれて、満足に戦えない葵の相談に乗ってくれる優しい人だった。なお、現役時代の彼は相当スパルタだったようで、アヤメと鬼助には『騙されている!』と口を揃えて言われてしまった。
(いつも御影さんに甘えてばかりで申し訳ないな)
 無言で味噌汁をすする葵に、ダイニングテーブルを挟んでご飯をかきこんでいたアヤメがやれやれといった様子で肩をすくめた。
「葵はやっぱり戦いがダメなんだねえ」
「う」
「戦えない死神を前線に出すなんて上の奴らは何を考えてるんだか」
「ううううう」
 二人の言葉にぐうの音もでない。みそ汁に沈めた箸の先をぐるぐると無駄に動かす。
「あなたたち、その辺にしなさい。葵さんのみそ汁がまた塩分過多になってしまいますよ」
「あてっ」
「きゃっ」
 御影がため息を吐きながら、アヤメと鬼助の背後から頭をこづいた。
「ちょっとミカー! 急に背後から叩かないでよー」
「頼れる先輩たちがよってたかって後輩をいじめるんじゃありません」
「いじめてないもん!」
「生意気をいって困らせるのはこの口ですか」
「いひゃひゃ! いひゃいっって、ミカのバカー!」
 御影と呼ばれた男は容赦なくアヤメの頬を引っ張った。鬼助はそれを横目にさりげなく距離をとっている。巻き添えを喰らわないために妹分を盾にしたのだ。
 涙目になるアヤメがかわいそうで、葵は思わず助け舟を出してしまう。
「あの、御影さん。いいんです、本当のことですし。私がもっとちゃんとしっかりしていればいい話なので」
「いいえ、葵さんは十分しっかりしていますよ。本来であれば事務方の死神として配属されるはずだったのに、よりによって実働班に配属されてしまったのですからね」
 それでも戦闘に出るのだから十分だ、と彼は言った。葵は乾いた笑みを浮かべる。
 今の自分にはなぐさめの言葉すら重く聞こえてしまう

 死神には二種類存在する。
 一つは純粋な霊界生まれ、霊界育ちの死神。彼らは見目が幼く情緒も乏しいが、実戦能力が高い。そのため悪霊となった魂を狩る実働班として配属されることが多い。もう一つは本来死者として魂を運ばれ、死神となったもの。こちらは生者の頃の記憶は失われているが、生前の意識や身体がそのまま反映されるため、主に裏方の事務処理を行う担当に配属されることが多い。
 しかし、死神歴二年目の死神・青柳 葵(あおやなぎ あおい)は、非戦闘員の死神ながら、ひょんなことから実働班へ配属されてしまったのだった。
「ずっと彼らの世話をしていた僕から見ても、この子たちは問題児です。その中に非戦闘員かつ常識人の葵さんが配属されたとあれば……心中お察しします」
「ははは……」
 言いえて妙な言い回しだった。
「とはいえ人事の判断もあながち間違いではないと思いますよ。あなたがいなければこの子たちも仕事ひとつまともにできませんから」
「はあ? 俺たち仕事はちゃんとやってるだろ」
「そーだそーだ、こないだだってノルマ達成率トップだったんだからね」
「では二人とも、今日行った悪霊退治の結果を報告してみなさい」
「黒いつぶつぶしたのがガーッてきたから、あたしが最初にがって左に寄せて頭をずどんってした」
「バケモンみたいな腕が飛びかかってきたからしゃがんでガッてしてよろめいたところに斧でガッと」
「もういいです」
 おたまで二人とも殴られる。すこーん、といい音が響いた。
「葵さん、お手本をお願いできますか」
「は、はい」
 頭を抑えた二人を横目に、葵は佇まいを整えて報告した。
「今回の任務は○○町の旧校舎に住み着いていた悪霊の討伐でした。元は地縛霊の一種でしたが、肝試しにきた人間を喰らい、被害が拡大していました。最初にアヤメちゃんが対象の悪霊に接触、右目を破壊。ついで鬼助くんが追撃し、ひるんだところを二人で殲滅しました。三名とも怪我はありません」
「はい、お上手です……いいですか二人とも、これが上司に対する正しい報告ですよ」
 ちゃんと学びなさい、と小言をいう御影をよそに、アヤメが葵の腕をつついた。
「ねえねえ、『葵が悪霊に襲われて気を失った』が抜けてるよ」
「そ、そういうのはいいの!」
「そうですよ。それなら『二人がどちらが先に手柄を立てるか言い争いをしているうちに葵さんが狙われた』ということも追加しなければなりません」
「なんで知ってるんだよ」
「僕とあなたたち、どれほどの付き合いだと思っているのですか」
「「ごちそうさま!」」
 また彼の手からおたまがかがげられたの見て、二人は一目散に逃げ出した。
「全くあの子達ときたら」
 そんな彼らを横目に、葵の口からまたため息が溢れる。
「でも、自分でももうちょっと動ければと思うんです。だけど実際に悪霊と対面すると足がすくんでしまって……」
 そういって、葵は自分の頭を抑えた。眠って少しは良くなったものの、耳鳴りと、木造校舎で聞こえたあの悪霊の声がかすかに残っているような気がして気分が悪い。
 霊界生まれの死神のように、元生者であった死神にも特殊な能力がある。
 それは、死者の魂に触れることで、死者の記憶を読み取ることができる能力がだった。
 運ばれた魂は霊界の扉を抜けた時点で記憶と魂が分離される。分離された魂は適正な処理を受けたのち大半は輪廻へ帰され、残された記憶は記録として所定のデータベースに保管される。記録として保管された情報は他の魂の回収に使われるのだが、葵たちはその記憶を魂に触れただけで読み取ることができるのだ。そのために情報を管理する事務方へ回されることが多く、葵もまた、本来は事務方として仕事をこなすはずだった。
 ただ、葵は他の死神と違って少しかわっていた。
 情報の読み取り方が映画のような映像になっているのだ。他の大半の死神は文章で記憶を読み取ることができるが、葵の場合は実際に魂が見た映像で読み取りが行われる。もちろん葵の他にも映像で読み取りを行うことができる者もおり、仕事も問題なくこなしている。
 だが、実働班に配属されたとなれば話は別だ。
「悪霊がいる場所にある魂は、大半がなにかしら強い未練が残っているものです。それだけ強い念が残っていれば、魂に触れずとも記憶が流れ込んでしまうのですから、葵さんには酷でしょうね」
 ねぎらう御影の言葉は、もう何度も聞いたものだ。
 たとえば悪霊にとりつかれて死んだ生者の魂があったとしよう。普通の死神が記憶を読み取れば、『悪霊に追いかけられ、とりつかれて息ができなくなり、なすすべもなく死んだ』の一文ですむところを、葵の場合は自分が悪霊に追いかけられてから死ぬまでの映像が流れ込んでくる。リアルな映像はまるで葵自身が追いかけられ、死ぬような恐怖の錯覚を起こさせるのだ。
 だからこそこういった死神は比較的事務方に配属されるのだが、なんの手違いか、葵はこうして実働班に配属されてしまったのだ。
「だからせめて戦えないのなら、二人の苦手な事務報告で役に立てればと思うんですけどなかなかうまくいかなくて。あんな風に襲われると動けなくなってしまうんです。ダメですよね」
 悪霊落ちした大半の魂の場合、他の人間の魂を食らっている。つまりその分悪霊に殺された人間の魂があり、その分の情報が葵の頭に流れ込んでくるのだ。
 配属替えは原則として定められた期間が過ぎなければ行うことができず、御影も葵のことを上層部に訴えたのだが、結果として配属替えは見送りとなった。
 愚痴をこぼす葵の頭を、御影の平たい手のひらがなでる。きっと自分に兄がいたらこんな感じなのだろう。少し気恥ずかしい気もするが、嫌いではなかった。
「そんなことはありませんよ。あなたにはあなたの役割があるんです」
「……」
「さあ、午後からまた外回りでしょう。気分をきりかえていってらっしゃい」
 そういって、葵もまた席をたった。
 身支度を整えても、葵の心は晴れない。
(それでも、私が役立たずなのには変わりがないもの)
 ため息とともにこめかみがずきりと痛んだ。



【第3話】

 葵たちが次の任務の地で訪れたのは、古びた屋敷だった。
 うっそうとした林の中にたたずむ豪邸で、しっくいの壁に茶色く塗装された柱がつけられたヨーロッパ風のお屋敷だ。立てられた当初はさぞや綺麗だったのだろうが、今では細いツタが糸のように緑色の屋根に広がり、少しずつ家を侵食している。
 三人は二階の廊下を進んでいく。
「元々は明治時代の華族……裕福なお家の人が建てたお屋敷みたい。最初の住人が御家騒動をおこしてから家が手放され、次に住み始めた人も不審な死を遂げたんだって」
「へ〜」
 アヤメは葵の興味のなさそうな返事を返しながら周囲を見渡す。きっと彼らにとってはここがどんな場所であるかより、どんな相手を討伐できるかが重要なのだろう。もうため息をつくことも忘れてしまった。
「そういう御託はどうでもいい。ここにいるのはどんな相手なんだよ」
「……実はここ、まだあまり情報が集められてないの。私たち以外にも何人か実働班が討伐にきてるけど、皆返り討ちにあってしまって。だから今回は討伐より、情報収集をメインにしてきてほしいと言われたの」
「へえ、じゃあそれなりに強いヤツがいるのか」
「それなりどころか、とんでもなく強いの! だからもしこっちが殺されそうになったらすぐに帰るからね」
「そんなの必要ないって! 葵はともかく、私と鬼助がいれば大丈夫だよ。ねー鬼助?」
「……」
 話をふられた鬼助だったが、返答はない。眉間にシワが寄っている。
「鬼助くん?」
「なんでもねえ、さっさと片付けるぞ。俺は向こうを探すからアヤメはこいつを連れていけ」
「え〜! あたし一人がいい」
「昨日は俺に丸投げしただろ。今度はお前の番だ」
「ぶー」
 そういうと鬼助はさっさと歩いていった。肩に担いだ小型の斧が鈍く光る。その背中を見て、葵は自分の役立たずぶりが情けなくなった。
(やっぱり、完全にお荷物扱いなんだな)
 彼に仲間として認めてもらいたい、という思いもあるが、戦えない自分には過ぎた願いなのかもしれない。
 そんな葵の心情を知ってか知らずか、アヤメはうんと伸びをして悪戯めいた笑みを浮かべた。
「ま、いいや。じゃあ葵、あたしの活躍をバンバン報告書に書いてね!」
「う、うん」
 そういってアヤメは葵の数歩前の廊下を歩く。葵もそれに続いて薄暗い廊下を歩いて行った。
 悪霊の気配を探しながら廊下を進んでいくと、ふいにアヤメが口を開いた。
「……葵、ごめんね」
「え?」
「鬼助のこと、なーんか葵にばっかりギスギスしてるからさ。正直苦手でしょ?」
ドキッと葵の鼓動が跳ねる。図星だった。
「べ、別に大丈夫だよ。戦えないのも守ってもらってばかりなのも本当のことだから」
「だからってさーあんなに怒らなくてもいいのにって思うんだよね。まあ、鬼助も前の班で色々あったみたいだから、そのせいなのかな」
「前の班?」
「そ。元々アタシと鬼助は別々の班に配属されたんだけど、鬼助は戻ってきたんだ。そしてアタシもまともに報告できないからってミカちゃんのとこに来て、葵のいる今の班になったんだよ。まあアタシも詳しくは知らないんだけど、それまでは別に葵みたいな戦えない事務方の死神がついていっても何も言ってなかったような気がするんだ」
「そうだったんだ」
「でもね、アタシは葵のこと好きだよ? 優しいし、気絶しちゃうけど頑張ってアタシたちについて来てくれるし。何より、アタシの大嫌いな事務処理をやってくれる!」
「あ、あはは」
「だからね、あんまり鬼助の言うこと気にしちゃダメだよ。アタシにはアタシの、葵には葵のやり方があるんだから」
「……ありがとう」
「だって葵がストレスで班を抜けちゃったら困るもん! 本当にお願いね」
(やっぱりそこかあ)
 葵はがくっと肩の力が抜けた。途中まではいい話だったのだが。
 それでも、彼女の言葉が、優しさが葵の気を楽にさせてくれた。
「よ、よーし、私ももうちょっと鬼助くんに認めてもらえるように報告書を頑張る」
「その意気だよ。さ、悪霊討伐がんばろー、オー!」
「お、おー!」
 流されるままに腕を振り上げ、二人は先を進んだ。
 未だ視界のぐらつきはない。近くにはいないようだ。
 そんなことを考えていると、ふと、葵の目に何かがとまった。
(わあ……!)
 それは窓から覗く一面の花畑だった。屋敷にぐるりと囲まれた中庭に目一杯詰め込まれたその場所は、まるで野花の花束のように見えた。小さな野草たちは侵食する林の害意を受けることなくすくすくと成長している。
(綺麗だなあ、きっとこの屋敷に人がいた頃はもっと素敵な場所だったんだろうな……ん?)
 そのとき、視界になにか見慣れないものが写り込んだ。本来屋敷の中庭にあるには少し不釣り合いのそれは、中庭の中央にでんと置かれている。
(あれは……)
「葵ー? 置いてっちゃうよ」
「あ、ごめんね」
 数歩先をいくアヤメの催促に慌てて顔を向ける。
 その時、背筋に悪寒が走った。
(っ!?)
 思わず自分の肩を抱く。こめかみに激痛が走り、呼吸が荒くなる。
 目の前でなにかの光景がフラッシュバックする。
「あ……」
「葵? どうしたの」
 アヤメが心配そうに葵の顔を覗き込んだ。 
 その背後に音もなくソイツは立っていた。手には鈍色に光る日本刀。
「あぶない!」
 葵はとっさに少女を突き飛ばした。だがもう遅い。
 男はアヤメの心臓を深く突き刺した。
「っ」
「アヤメちゃん!」
 アヤメはとっさにホルスターから銃を抜き、相手に向けて発砲する。しかし、それはいともたやすく避けられた。
「ぐっ……」
 男は刀を払うように突き刺したアヤメの体を抜き取った。床に叩きつけられた小さな体は小さくバウンドし、そのまま床に伏せる。傷口から小さな破片のようなものがころがり、男の足元へと転がった。
「アヤメちゃん、しっかりして!」
 葵は目の前に転がる少女に駆け寄り、体を揺する。かろうじて息はあるものの、手を添えた体は弱々しく、また呼吸も荒い。
「……」
 男はアヤメの体から抜け出した破片を拾い上げ、しげしげと眺めた。
 そして大きく口を開き、自分の口の中へ放りこんだ。
(あ……)
 ごくりと飲みこむ喉仏がスローモーションのようにゆっくりに見えた。
 その時、風を斬るように鋭い斧が男に向かって振り下ろされた。
「てめえ、そいつを返せ!」
 現れたのは、目を吊り上げて怒る鬼助の姿だった。普段から怒り顏の彼だが、今回は少し様子がおかしい。そう、まるで焦っているような。
 斧は間違いなく男を殺すために振り上げられ、鈍色の刃に受け止められている。
「鬼助くん!」
「アンタは下がってろ」
 鬼助が叫ぶように葵に指示を出す。だが、その一瞬が命取りだった。
 次の瞬間には、鬼助が壁にたたきつけられていた。
「が……っ」
「鬼助くん!」
 鬼助の唇の端から血が流れる。
 彼の目の前には、鬼の形相をした男が高笑いを浮かべていた。初めに対峙した時よりも明らかに力が強くなっている。
(もしかしてあの欠片を飲み込んだせい? このままじゃ皆やられちゃう)
 焦りと恐怖で混乱する中、葵は必死で思考を巡らせた。
 その時、アヤメの腕がピクリと動く。
 小さな手に握られた長銃がゆっくりと持ち上がり、葵の眼前で火を吹いた。
「きゃあ!」
 銃弾は重い空気を裂いて男の腕を貫通する。今にも鬼助に振るわれようとした刀は床へ落ち、腕には無残な焦げ跡が残った。
 だが、その傷もみるみるうちに塞がっていく。
 かすれたアヤメの声が耳に届いた。
「はやく、逃げて」
「……っ」
 葵は素早く銃を抜くと、すぐさま天井に向けて発砲した。
 それは、実働班が悪霊討伐の際に持ち歩いている緊急脱出用の信号弾だ。今回のような非常事態時にこれを上空に向けて発砲し、霊界へと帰還することができる代物だ。実働班に配属されて以来、自分が使うのはおろか、二人が使うのを見ることもなかったのに。
 空間に撃った弾は大きなうねりをあげて空間をねじり、黒い粒子を放つ門を開く。ゆっくりと開かれるそれは、葵たちの身体を少しずつ溶かすように飲み込んでいく。
 葵はアヤメを横たえらせ、鬼助の腕を引いた。アヤメほど深手ではないものの、腕はズタズタに切り裂かれ、疲弊させられた身体は立つことすらままならない様子だ。
 それでもなお、鬼助は片手で斧を握って戦おうとする。
「ふざけんな、戻るならお前らだけ行け。俺はまだ……」
「もう戦えないのに無茶だよ! せっかくアヤメちゃんが逃げるチャンスをくれたのに、このまま殺されちゃったらなんの意味もないでしょ」
「くそ……」
 立つことすら満足にできない鬼助を引き寄せ、三人はそのまま門に飲まれていく。不気味な笑みを浮かべた男は葵たちを静かに見送った。
「俺はまた、守れなかったのかよ」
 絶望的な状況の中で、鬼助の低い声が耳に残った。



【第4話】

 実働班本部にある医務室前の廊下は静まり返っていた。
 白い壁にぴったりとつけられた長椅子のところで、葵は俯いたまま座っている。
 そこで、医務室のドアが開いた。中から現れた人物に駆け寄る。
「御影さん、二人の具合はどうでした!?」
 御影は小さくため息をつく。
「鬼助の方は傷が深いですが、大丈夫でしょう。安静にしていれば良くなります。ですが、アヤメの方は……」
「アヤメちゃん、そんなに酷いんですか」
「……死神には、人間でいう心臓の代わりに『核』というものがあります」
 そういって御影は自分の軍服の上から胸のあたりに手を当てる。葵もそれに倣い、自身の左胸に手を重ねた。わずかながら鼓動のようなものが手のひらに伝わってくる。
「核は死神のエネルギー源であり、魂の動力源です。アヤメの場合、悪霊にこの核の半分を切り取られてしまった。あなたが見たアヤメから飛び出した小さな欠片がそれです。今はまだ落ち着いていますが、このままでは身体に供給する力が足りなくなり、アヤメは消滅してしまうでしょう」
「そんな……!」
「さらに悪いことに、その核の半分を悪霊が飲み込んでしまった」
 葵はあの屋敷での出来事を思い出した。アヤメの体から飛び出た核は、悪霊がそのまま丸呑みにしてしまったのだ。
「アヤメの核を通じて悪霊が死神の力まで吸い取り、さらに力をつけてしまいました。きっとそれは今も続いているでしょう。このままではあの悪霊を退治するどころか、アヤメの核を取り戻すことすら困難です」
「……ごめんなさい。私がもっとしっかりしていたら」
「そんなことありません。あなたは二人を連れ帰ってくれました」
「でも!」
 そのとき、医務室のドアが大きく蹴破られた。
「藤堂さん、まだ安静にしていなければ」
「うるせえ!!」
「鬼助くん?」
 現れたのは傷だらけの鬼助だった。右腕が力強く振るわれる一方で、左腕の方はだらりと垂れさがっている。
「安静にしていなきゃだめだよ」
「うるせえ、黙っていられるか! 早くアヤメの核を取り戻さねえと、アイツが死んじまうんだろ」
「だからってその怪我じゃ返り討ちに合うだけだよ。鬼助くんも殺されちゃう」
「それでもやるんだ」
「鬼助くん」
「俺はもう、仲間を見殺しにするような惨めな奴にはなりたくないんだよ!!」
 怒号が廊下に響く。彼の叫びにも似た声が私の腕を止めた。
(そうか、彼は)
「そこまで、いい加減わがままはよしなさい」
 鬼助の頭上めがけて手刀が落とされた。
「なにすんだよ御影。お前まで俺の邪魔すんのか」
「片腕もろくに動かせないのに、負けん気だけは一人前ですか」
「うるせえ」
「身の程をわきまえなさい、あなたは負けたんですよ」
「……」
 今の鬼助にとって鉛のように重い言葉だった。彼は右腕のこぶしを強くにぎり、そして力なく床へ下ろした。そのまま葵の腕の中に崩れ落ちる。
「鬼助くん!?」
「大丈夫ですよ、眠りたくないだだっ子の体力がなくなっただけですから」
「いいですか鬼助。今あなたの最優先事項は、傷を癒し、一日でも早く復帰すること。アヤメの核を取り戻すのは僕たちの役割です。安心なさい、我々にも策はあります。そうでしょう? 葵さん」
 突然名前を呼ばれてドキッとした。
「え、私、ですか?」
「はい」
 にこやかな笑みで返答されても困ってしまう。なにせ自分は元生者の死神で、戦闘能力は下の下なのだ。
「そんな、私、いつも二人の足を引っ張って」
「確かに今まではそうでしたね。ですが、今はどうでしょうか。力でなによりも優劣だった彼らが破れ、膝を折った相手です。ですが逆に考えれば、腕力で勝てないのなら、頭を使って勝てばいい。それは彼らには決してできない戦い方ですからね」
 私は鬼助に目を向けた。元々歩くのも限界だったようで、全身の力が抜けている。
「あなたは力がないから戦えなかったのではない、戦う術を知らなかったから戦えなかった。今から僕がその戦い方を教えます」
「……御影さんの作戦ならアヤメちゃんの核を取り戻せるんですか?」
「確率の極めて低い作戦です。ですが、現状では最も有効で、あなたのやる気次第で確率が0にも100にもなりますよ」
 整った顔立ちが、試すような微笑みを浮かべる。
「引き受けてくれますか」
 すがるべき糸が目の前に垂れ下がっていた。



【第5話】

 外はまだ正午を迎えていないというのに、この屋敷はひどく静かだ。
 葵は薄暗い部屋の中で、窓を背に佇んでいた。核の鼓動に合わせて痛むこめかみを手で押さえながら、息を整えるように深く呼吸を繰り返す。
(結局、用意できたのはこれだけか)
 ぐるりと回り始める意識に葵は静かに目を開ける。ポケットに突っ込んだ手には今回の切り札、いや、それに値するかもわからないものを隠している。
 果たしてこれが、吉と出るか凶とでるか。
(……来た)
 それは最初に出会った時と同じように、音もなく現れた。
 あの悪霊だ。片方だけ金具が外れたドアをするりとすり抜けてくる。アヤメの核を取り入れたせいでより凶暴化しているのだろう。本来なら鑑賞できないはずの本棚や机がカタカタと音を立てている。ポルターガイストだ。
 葵は恐怖に足がすくみそうになりながら、御影の言葉を思い出した。

***

『葵さん、死神には二種類あることはご存知ですね』
 鬼助を病室へもどし、ラウンジへ戻った二人は白いテーブルをはさんで向かいあって座っていた。
『はい。霊界生まれの死神と、元々人間だった死神の二種類ですよね。霊界生まれの死神は戦闘能力が高く、人間だった死神は生前と同程度の知識と情緒を持ち合わせています』
『その通りです。だからこそ基本的に霊界生まれは実働班に、人間だった死神は事務方に回されやすい。ですがあなたは、実働班へ配属されることになりました』
『……はい』
 何も役に立ててないですが、とはすでに何度話したことだろうか。
 だがその度に、御影は違うと否定していた。
『アヤメたちのいう、武力を持った戦いならそうでしょう。あなたは違います。葵さんは頭……より正確にいうなら、あなたの頭の中に流れ込んでくる死者の記憶を利用するんです』
『記憶……』
『そう、記憶。悪霊の生前の記憶を元に、彼らの心に響くような言葉を投げかけて正気に戻すんです。それは文章で情報が提示される他の死神より、映像で提示されるあなたの方がはるかに悪霊の想いを理解できるでしょう。彼らを正気に戻し、通常の魂に戻せばいいのです』
『そんなこと、あの悪霊に通用するのでしょうか。話が通じなさそうですが』
『不思議なことに、ああいう怨念をまとった存在の方が説得しやすいんですよ。悪霊としての力が強いということは、それだけ現世に未練を持っているということですから』
『……』
 それでもなお不安げな顔をする葵に、御影はやはり、いつものように微笑んでみせた。
『僕たちのような実働組に回される死者はほとんど悪霊落ちした魂、すなわち運ばれることなく抹殺命令の下された魂です。もはや輪廻に回すにも汚わしいと上層部から判断されたもの。ただ、僕はそれでも彼らに救いの手段は残しておくべきではないかと思うんです。彼らとて好きで悪霊落ちしたわけではないのですからね。離別、私怨、もしくは他者の諍いに巻き込まれただけの存在か。それで這い上がってくるかは彼ら次第』
『……』
『僕は君にしかできないやり方で、彼らを救うことができると思っています。武力で得られる消滅より、もっと確かで慈悲のある救いが』
『地獄に落ちた極悪人に仏の慈悲が与えられてもいいじゃないですか。それが例え蜘蛛の糸のように細く頼りないものであったとしても、それにすがって這い上がってくるのは彼らです』
『でも……』
 なお言い淀む葵の頭を、平たい手のひらが優しく撫でてきた。
『もしあなたが失敗したら、次は僕が行きます。アヤメの命だけはなんとしても助けましょう。ですがあの悪霊の魂は保証できませんね』
『御影さん、私』
『大丈夫です、あなたは自分が思っているよりずっとやれる子ですよ』
 見上げた顔はいつもと変わらず、少しも曇っていなかった。

***

(そうはいっても、さすがに力の差がありすぎる)
 葵は部屋中を駆け巡りながら、悪霊の攻撃を皮一枚で避ける。ポルターガイスト化した悪霊は次々に椅子や書庫の本を飛ばし、葵の足を止めようとする。その中で葵はめまぐるしく変わる情報に意識を向け、打開策を探す。
 とうとう壁際に追い込まれた。外から陽光がさしこむ場所だ。
 葵は切られた肩を抑えながらその場にしゃがみこむ。悪霊の足音が少しずつ近づいてくる。
(集中して、相手の記憶を辿る……)
 御影に言われた通り、葵はめまいに耐えながらじっと頭に意識を集中させる。移り変わる景色が、代わる代わる葵の網膜にうつりこんだ。
(情報を整理して、説得。なにか相手の心を揺さぶる情報を)
 葵は顔をあげ、悪霊に目を向けた。悪霊の手が今にも葵の細い腕をつかもうとしている。
「あなたは、お姉さんがいたんですね」
 その腕がぴくりと止まった。葵はかまわず話を続ける。
「元々義理の姉弟で、捨て子だったお姉さんが養子に入ったんです。そして、あなたはお姉さんのことをすごく尊敬していた。違いますか?」
「……ああそうだ、その通りだ」
 今まで一言もしゃべらなかった悪霊が口を開いた。見た目よりもやや声色が高い印象を受ける。もしかしたら生前の彼は、葵の見た目年齢とそう変わらなかったのかもしれない。
「姉さんは素晴らしい人だった。頭も良く、血の繋がらない僕を本当の弟のように大事にしてくれた。僕が立派な跡取りとなれるよういろんなことを教えてくれた。なのに」
「殺された。そうでしょう?」
 ぶわりと熱量をもった殺気が押し寄せてくる。
「そうだ! 叔父達が姉さんを、僕をたぶらかす悪女として罵り、事故に見せかけて殺したんだ。絶対に忘れない、僕は覚えている。月の出ない暗い夜に僕は目を覚ましてホールに出たんだ。そこには横たわった姉さんと、血だまりと、叔父達の姿だ。姉さんは強盗に襲われたことで処理しようとしてたんだ。僕を早く領主にし、その御家人として好き勝手しようとしたんだ。僕は頭に血が上って、近くにあった刀をとって、それで」
 悪霊が持っていた刀を強く握りしめる。
「散々切って、切って、でも足りなかった。姉さんは死んだんだ。ずっと屋敷をさまよっても会えない。もうどこにも」
「……」
「だから、もう会えないのなら。すべて壊してしまえばいい。僕から全てを奪った世界を、人間を」
 ぐっと首を掴む腕に力が入れられる。血を浴びた刀が鈍く光る。
「もっと力を得て、屋敷を飛び出して、全てに復讐を」
(ーーーああ、そうか)
 右手に握った拳銃ががちりと音を立てる。
 刀が振り下ろされる。
(だから見えなかったのか)
 葵はポケットに隠していた腕を目の前の男へつきつけた。

 それは、真っ白な花であった。
「……あ」
 振り下ろす寸前、葵が差し出したのは拳銃を握っていた腕ではなく、花を握っていた左手だった。差し出されたのはどこにでもあるようなシロツメクサ。ただし現世のものは触れないので、霊界育ちの似たような品種の花だ。
 からんと、足元に刀が落ちた。
「おかしいと思ったんです」
 力の弱った腕を振りほどき、葵は言葉を続ける。襲う恐怖と頭痛は相変わらずだ、けれど今は、今ならば彼は自分を攻撃しないと確信していた。
「私たち死神には運んだ魂のデータベースが存在します。それは運んだ魂の情報を一括で管理し、死神同士で共有するシステムです。ですが、いくら情報を探してもあなたのお姉さんの情報は出てこなかった」
 葵は持っていたシロツメクサを悪霊に差し出した。相手はそれを壊れ物を扱うかのように恐る恐る手で触れる。おかしな話だ、先ほどまで刀で切り捨てていたその手が怯えるように花に触れている。
「でも、今日この屋敷に来た時にようやくわかりました―――見えますよね?」
 あそこです、と、葵は窓の向こうを指で示したそこは中庭だった。一面に花畑が広がっており、中央には墓石が置かれている。
 その石の前に壮年の女性が立っていた。歳のせいか、少しずつ足を引きずるように歩いている。そして頭を下げ、静かに両手を重ねた。
「考えてみたら当たり前のことでした。私たち死神は死んだ人間の魂を運ぶ存在、生きている魂の情報があるはずがないんです」
 男の視線は中庭に釘付けになっていた。もしかしたら葵の話など聞いていないのかもしれない。それでも、その手に握られたシロツメクサがまだ希望があるのだと思わせてくれた。
 だからこそ、葵は言葉を続けた。
 生きながら地獄を見た男の前に、蜘蛛の糸を垂らすために。
「あなたのお姉さんは、生きていた」

***

 久しぶりに見た墓はずいぶんと苔むしていた。
 美和子のシワだらけの手が墓石に触れる。まどろむような陽光を浴びる墓石は、すっかり文字が見えなくなってしまった。
 自分がこの墓を訪ねることがなくなって早十数年。元々簡素な墓石だったそれは、まるでただの板のようになってしまった。今度息子に頼んで墓掃除をしてもらおうか。
 いや、むしろこのままのほうがいいのかもしれない。
 近いうちに、この屋敷を取り壊すことが決まったそうだから。
「美和子さん」
 聞きなれた温和な声が自分を呼び止めた。振り向くと自分と同じシワをきざんだ壮年の男が自分のほうへ近づいてくる。まっすぐ伸びた姿勢は、出会った頃と変わらない彼の真面目さを表していた。
「あなた……」
「お別れはできたかな?」
「ええ、わがままをいってしまってごめんなさい」
「自分の家の墓参りに来ることはわがままとは言わないよ。それにしてもここはずいぶんと立派なお屋敷だったんだね」
 夫は帽子のつばをひょいと持ち上げ、屋敷のほうを見た。
 三階建ての屋敷はところどころツタが張ってゆがんでおり、風のせいか時々みしみしと揺れる音が聞こえた。ろくに人の手入れが入らない家は老朽化が著しく、倒壊の恐れがある。だから人が不用意に屋敷に入らぬように、十数年以上前から立ち入り禁止になっていたのだ。ただ、夫のおかげで取り壊しまでの猶予に墓参りの許可をもらえたのだ。
 美和子もまた、屋敷のほうへ顔を向けた。
「ええ、そうね。素敵な場所だった」
「……意外だね。僕がこの場所の話を聞いたとき、君はいつも泣いていたのに」
「正直あんまりいいものではないの。旦那様と奥様は優しかったけれど、親類には疎まれて。あげくに家督争いに巻き込まれて殺されそうになったわ」
 美和子はそっと、自分の胸に手を当てる。
 この服の下にはあの事件の時に負った傷が残っている。
「それでも大切な弟が……奏さんがいたから」
「美和子さん……」
「優しい子だったのに、どうして私だけ生き残ったのかしら。私はもう、あの子のためだったら死んでもかまわないとさえ思っていたのに」
 林の中を風がざっと通り過ぎていく。その風に揺られて色とりどりの花が二人の足元をかすめた。
 うつむいた自分の視界に木綿のハンカチーフが差し出された。私の大好きなシロツメクサの刺繍が施されている。
「そんなことを言ってはいけないよ。君が悲しむことを、君の弟くんは望んでいないと思う」
「……」
「戻ろうか。まだ陽は出ているけど、暗くなる前にここを出た方がいい」
 ハンカチーフを受け取ると、夫はそのまま手を差し出した。美和子も空いた手をそっと重ねて歩き出す。いつもの彼より歩幅の狭いのは、自分を気遣ってのことだ。弟といい、夫といい、つくづく自分は恵まれた人生を歩んできたのだと美和子は思った。
「……?」
 ふと、なにか音が聞こえた気がして屋敷のほうを振り返った。二階の窓は何もなく、ただ古びたカーテンの裾がわずかに見えるだけだ。ほこりのかぶったガラスの上に数本ツタが絡んでいる。
「美和子さん?」
 立ち止まった私を不審に思い、夫が声をかけてきた。私は首をふり、彼の呼びかけに笑顔で答える。
「なんでもないわ。さあ、帰りましょう」
 そうして今度は自分が前を歩こうとすると彼は慌てて歩き始めた。ただでさえ足腰が弱っているのだから、転んだりしたら大変だろう。
 ハンカチーフをしっかり握り、とうとう美和子は振りかけることなく、屋敷を立ち去った。
(さようなら奏さん。どうかあなたが安らかに、天国へ行けますように)

***

 薄暗い室内に悪霊の震える声が響いた。
「生きて、おられたのか」
 窓枠に手をかけたその視線の向こうでは、中庭で初老の女性がお墓に手を合わせている。
 葵は頷くと、自身が調べた情報を声に出して読み上げた。彼女を知る死者の記憶を頭の中で読み取りながら、彼の元へ届くように言葉を紡ぎ直す。
「彼女は自分が切られた後、意識を失っていただけなんです。あなたが騒動を起こした後に病院に運ばれ、一命を取り留めました。ただ、彼女が目を覚ました時、屋敷の人間は誰もいませんでした……あなたが、殺したから」
「……」
「ふたたび天涯孤独の身になった彼女は屋敷を手放し、苦労を重ねながらも今の旦那様と出会い、結婚しました。あのお墓も彼女が建てたんです。あなたを含め、この屋敷で亡くなった方が成仏できるようにと」
 庭では女性が墓の前に手を合わせながら、うつむいて泣いている様子だった。そばには立つ初老の男性がハンカチと、自身の手を差し出した。女性は差し出された手に自分の手を重ね、ゆっくりと墓から離れていく。
「姉さん」
 まるで男の口からこぼれた言葉に反応するように、女性がこちらの窓を振り返った。
「美和子姉さん!」
 悪霊の肩がぴくりと跳ね、窓枠にすがるように手を重ねる。
 霊体である自分たちの姿は生者である彼女には見えない。それでも葵は、彼女と悪霊が、少しの間目線を交わしているように見えた。
 やがて彼女は前に向き直ると、夫に手をひかれながら、ゆっくりと庭を後にしていった。
 静まり返った部屋の中、先に静寂を破ったのは悪霊の方だった。葵に背を向けたまま、それでも声だけははっきりとよく聞こえた。
「姉さんは生きていたのか」
「はい」
「姉さんは幸せだったのか」
「わかりません。ですが、少なくとも今の彼女には家族がいます」
「……よかった」
 安堵のため息とともに出た言葉に、どれほどの感情が詰まっていただろうか。死神のように仮の体がない霊体は泣くことはない。それでも、瞳からあふれなかった分の感情が、その一言に凝縮されているように思えた。
「頼みがある」
 顔を上げた悪霊が葵の方へ向き直る。その顔は黒く覆いかぶさっていた影がすっかり落ち、生前の温厚そうな顔立ちがよく見てとれた。
「僕の魂を運んでほしい」
「……」
「生前からたくさんの人を殺し、霊となってからも何人もの命を奪った。もう償うことすらできないのかもしれない。けど、姉さんが自分の人生を全うしてこちら側にきたときに、胸を張って出迎えたいんだ」
 意思を持った瞳が葵をじっと見つめる。対する葵も一拍間をおいて、微笑みかけた。
「もちろん、それが私たちの仕事ですから」
「―――……ありがとう」
 そういって悪霊だった彼も笑い、静かに目を閉じた。
 途端に彼の体がほどけるように崩れ、かすかに形を持った魂が葵の体の中へ入っていく。
 小さな欠片が床にからりと転がった。それは欠けたアヤメの核だった。
 葵はかがんでそれを掴み、感触を確かめる。アヤメの瞳と同じ濃いルビー色の欠片は蘭々と輝いていた。
 そのまま立ち上がろうとして、へたり込んだ。足が震えて力が入らない。
「やった、やったよ二人とも」 
 葵の頬に涙が伝う。緊張が解けたせいで足は立てなくなるし、涙も勝手に溢れる。一度死んだ身であるのにまるで生者のようだ。
 だが今はそれが何よりも嬉しい。
 自分は死神でありながら、こうして生きていると感じられるのだ。
「私、一人でもみんなを守れたよ」
 埃のたちこめる薄暗い部屋で葵は泣きながら、笑った。
 窓から差し込んだ夕焼けが、その様子を優しく見守ってくれていた。



【エピローグ】

 霊界にも太陽はある。正しくは、太陽に似た球体の天体だ。それは毎日規則正しく東から昇り、西へ沈む。今はちょうど真上から西にかけて回っている頃だ。
 葵は縁側に腰かけて太陽の光を浴びている。膝には数日前に目覚めたばかりのアカネが頭を乗せていた。ハリのある艶やかな黒髪が指先をさらりと流れる。
「ねえ葵ーたいくつだよー」
「療養はあともう少しだって先生言ってたよ」
「でも早く戦いたいーもう寝てるのあきたー」
「だーめ、普通の体の怪我と違うからしっかり治さないと。また戦ってる途中で動けなくなっちゃうよ」
 アヤメの核は無事取り戻したものの、本格的に核をくっつけて治すには時間がかかるらしい。アヤメに言い渡されたのは一週間の安静だ。元生者の葵だったら一年はかかるそうだから、さすが霊界生まれの死神といったところだろうか。
(本当に、助けられてよかった)
 葵は数日前の出来事を振り返る。
 アヤメの核と死者の魂を受け渡したあと、すぐさま葵も緊急搬送された。身体的な怪我はほとんどなかったが、精神的によほど疲弊していたらしい。病院に運ばれてから丸々三日は寝込んでしまった。その間にアヤメと鬼助はさっさと怪我を治し、葵の目覚めを今か今かと待ち構えていたそうだ。
 それともう一つ、本部から葵に連絡があった。
 事務方の情報部に戻らないか、という相談だった。
 今回の騒動を経て、管理する記憶の精度を高めようという案が出たそうだ。公的に使われる簡素な文章より、映像でより死者の心情に沿った内容で保管・共有したほうが、より現場で働くスタッフの手助けになるのではないか、ということらしい。そのために映像で記憶を読み取れる事務方の人員を集めているそうだ。
『戻れば室内での仕事ですから、もう現場で危険な目にあうこともなくなりますよ。どうします?』
 苦笑交じりに書類を渡してきた御影に言われ、私は辞退を申し出た。
 自分の力で救える魂があるのかもしれない。葬られるだけの死者に救いの術を差し出せるのであるなら、このまま働くのもいいのかもしれないと思えてきたから。
 そう言うと、彼は少しだけホッとした表情を浮かべていた。
(やっぱり怖いところは怖いけど、もうちょっとだけここで頑張りたいんだ)
 今まで迷惑をかけていた分、少しでも御影たちの役に立ちたいのだ。
「でも、葵はすごいね。あたしと鬼助が勝てなかった相手に勝っちゃったんだから」
「そうかな?」
「だってそうだよ、力じゃなくて言葉で勝ったんだもん。そんなやり方、私たちじゃ思いつかない」
「……」
「やっぱり葵はすごいや!」
 アヤメの言葉に、胸の奥が熱くなるような気がした。
「でもさーこんな風にのんびりするのって、今の班になってから初めてだよね」
「そうだっけ?」
「休みの日はみんな別々に行動してたじゃん。だからこんな風に同じ班の誰かと一緒に過ごすのは初めてだなって思ったんだよ」
 確かに、今までの休暇は三人それぞれで過ごしていたように思う。元々一人で行動することを好む鬼助はもちろん、葵も少しでも今の仕事に慣れるように勉強や講習会に参加していてほとんど不在だった。もちろんアヤメもアヤメなりに休暇を過ごしていたのだろうが、他の班では仲間内で遊んだり出かけたりすることもよくある話だと聞く。もしかしたらアヤメも葵や鬼助と一緒にいたかったのかもしれない。
 アヤメは満面の笑みで葵の顔を見上げた。
「そうおもうとさ、こんな風にのんびりするのも悪くないよね」
「……そうだね」
 頭をなでると、きひひっと少し変な笑い声が聞こえた。
「それに、葵のひざ枕って気持ちいいんだもん。あたしが使ってる枕も大きいけど、こんな風にむにむにしてないんだよね。あ〜幸せ」
「……ねえアヤメちゃん、それって私の太ももが太いってこと? ちがうよね」
「ふかふか〜」
「ねえったら!」
 暗に足が太いと言われたようで泣きそうになりながら問いかけていると、廊下の向こうからずんずんと大きな足音が聞こえてきた。
「あ、鬼助だ」
 条件反射で体が震える。目線を向けると、白地のTシャツにジャージ姿の鬼助が葵たちの方を見下ろしていた。
「き、鬼助くん、何か用かな……」
 今まで散々小言を言われてきたため、『なに廊下で馴れ合ってるんだ』みたいなことを言われるのではと、内心葵はびくびくしていた。
 しかし、対する鬼助は頭をがしがしと何度も掻きながら、目線を左右にむけてどこか落ち着かない様子だった。
「あの……っひ!」
 無言で隣に座われ、思わず悲鳴がでた。アヤメがひざから落ちそうになり、「ちょっとー!?」と文句の声を上げている。
 そんな葵たちをよそに、鬼助は目線をそらしたまま話しつづけた。
「あんたが倒したんだってな」
「そ、そうだよ。一応」
 今までが今までなだけに、なにを言われるのか少し怖い。胸の奥がばくばくと破裂しそうに脈をうった。
 だが、対する鬼助の返答は予想外のものだった。
「すげえじゃん」
「へ」
「だからすげえなって思ったんだよ。俺たちは戦うしか能がないから、あんたみたいなやり方もあるんだなってさ。その、ありがとな」
 別にそれだけだ。そういって顔を背けた彼の耳は、よく見ると赤くなっている。
 葵も、葵のひざで事を見ていたアヤメもあっけにとられていた。
「鬼助が照れてる……」
「うるっせえ」
「いたーい! 鬼助の暴力者、また傷が戻ったらどうするのさ」
「へ、そんなやわじゃねえだろお前は」
 そういって二人は口喧嘩をはじめる。葵のとなりとひざで繰り広げられる言い争いは、前と変わらない光景だった。
 そんな中、一人取り残された葵は頭の中で先ほどの言葉を反芻する。
 鬼助に褒められた。
 戦えない葵を毛嫌いしていた、あの、鬼助に。
「……あはは」
 ようやく仲間の一員になれたような気がして、ちょっとだけ涙が出そうだった。

 家を空けていた御影が家に戻ると、縁側で珍しい光景が目に留まった。
「おやおや、三人とも仲良くお昼寝ですか。ずいぶんと仲がよろしいことで」
 座っている葵を軸に、葵のひざに頭を預けたアヤメと、肩にもたれている鬼助。どの顔も柔らかな日差しのように緩んで眠っていた。
「さてさて、出遅れた僕は毛布でも持ってきましょうかね」
 そういって部屋に戻る彼の足取りは、どこか軽やかでたのしそうだった。





《 ちぎれた蜘蛛糸を抱いて 了 》





【 あとがき 】
 お疲れ様です、白乙です。
 今回も参加させていただきありがとうございました。

 今回のお話はちょっと冒険してみようと思い、お題文とは別に自分の中で縛りを決めて書いてみました。
 一つは戦闘シーンを入れること、もう一つは主要キャラを5人以上作ることでした。
 今までの作品を見直すと多くても3人くらいのキャラで書いていました(これが一番書きやすいので(笑))。でも皆さんの作品を拝読させていただいた中でたくさんのキャラが生き生きとされているのを見て、私も書きたい! と思い、今回の挑戦に至りました。まだまだ修行中です……。
 戦闘シーンはほとんどオマケですね。久しぶりに動きのある文章を書きたいと思ったので縛りというより今回書きたいと思ったから書いたみたいな感じです。
 こっちもまだまだ修行中……精進します。

 慣れない縛りを作ったせいでちょっと取り掛かりが遅くなってしまいましたが、なんとか書き切れてよかったです。
 2万字越えの作品を書いたのは久しぶりなので、書き終わった後に数えてびっくりでした。ちょっと量が多いですが、楽しんで読んでいただけたら幸いです。

 ではでは、長くなってしまったのでこの辺で。
 読んでいただきありがとうございました!



(カクヨム) 白乙
https://kakuyomu.jp/users/Kakuriya


《 山田久美子は実在しない 》 - 2012.07.24 Tue


 著者:白乙





《 ビスクドールの情動 》 - 2012.07.21 Sat


 著者:白乙




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