Mistery Circle

2017-08

The / Last / Coma / and... - 2011.12.20 Tue

【 (異例の)作者コメント 】



Clownです。
いやー、なんか色々賞を頂いてしまって感謝です。
今回実質2作品しか出してないので(1つは続き物ですし)、折角だからナイスキャラクターの二人を使ってリミックス作品を作ってみました。
これをもちましてナイス名台詞、ナイスキャラクター、総合の各受賞に対する感謝の言葉とさせて頂きます。
愉しんで頂ければ幸いです。




--------------------------キリトリ--------------------------





「じゃじゃーん! お主が此処にたどり着いた113人目の勇者じゃ-!」
「……随分中途半端だネ」



The / Last / Coma / and...



「おや、何やら珍妙な格好の勇者が来たのぅ。お主、何処から来たのじゃ?」
「ワタシかネ? 南極ですヨ」
「な、南極? あそこは氷雪王ブリガンドの領地じゃったはずじゃが……お主もしや、氷雪王の間者か何かか? そう言えば顔もなにやら青白いのぅ」
「顔は元々ですヨ。それより、ここは魔王城と聞いたのですガ、肝心の魔王様はどちらかネ?」
「それなら妾がそうじゃが?」
「……確かかネ?」
「なんじゃ、信用ならんのか?」
「イヤ、確かにお嬢さんからは強い魔力の流れが感じられるネ」
「ふふん、そうじゃろうそうじゃろう。何せ妾は究極の闇魔法を二つも修得しておるからのぅ」
「ナルホド。だがそうなると少々やっかいな事になりそうだネ」
「ふむ? どういうことじゃ?」
「ワタシは珍しい武器を集めるのが趣味でしてネ。今日ここに来たのは、魔王の持つという『闇に呑まれし福音の剣』が目当てなのですヨ」
「む……それは、これのことかな?」
「オォ、まさしくその剣だヨ。早速だがその剣を譲ってはくれないかネ?」
「それは出来ん相談じゃな。この剣は妾にとっても大切な形見……おいそれと譲ってやるわけにはいかんのじゃ」
「やはり簡単にはいかないものだネ。となれば、実力行使しかないのだガ……」
「ぬ、お主、妾と戦うつもりかの? やめておいた方が良いぞ? これまで112人の勇者が妾に挑んだが、妾に勝てたのはたった一人だけじゃ。お主も、そこのダストシュートから強制退出するハメになるぞ?」
「フフ、そう簡単にいくかネ? 何せワタシは悪魔なのですヨ?」
「アクマ……? 聞かん名じゃのぅ。名の知れた貴族か何かなのか?」
「……ま、まぁ貴族には違いないですがネ。アナタ方の言葉で言えば、ワタシもちょっとした魔法の使い手……甘く見ているとケガしますヨ」
「望むところじゃ! 久々に腕が鳴るのぅ」
「では、文句なしですヨ」
「いざ、尋常に……」
「尋常ニ……」

 …………。

「…………」
「…………」

 …………。
 ……あ、こっから解説入っていいっすかね?

「……なんだか、興ざめじゃのぅ……」
「……自然な入り込みでお願いしますヨ」

 ……すんません。では、気を取り直して。

「今度こそ尋常に」
「勝負ですヨ!」

 二人は一斉に互いの元へと飛び出した。魔王フレイアは漆黒の大剣【闇に呑まれし福音】を振り翳し、様子見ももどかしいとばかりに一気に振り下ろす。グラシャ=ラボラスはいつの間にか手にした銀の杖で軌道を僅かにずらすと、そのまま杖を横薙ぎに振り抜いた。
 魔王は咄嗟に跳躍すると、石畳の床に叩きつけられた剣を支点として反対側へと着地しようとする。予想地点に振り上げられた杖を鋼鉄の具足で蹴り飛ばし、魔王はお返しとばかりに剣を持たない左手をグラシャ=ラボラスに向けて叫んだ。

「『雷皇の左腕』!!」
「ム……!!」

 一斉に牙をむく雷の群を見るより早く、グラシャ=ラボラスは杖の持ち手をひねった。杖は先端を中心に展開し、傘のように広がって雷を退ける。粉塵をあげて殺到する電撃を何とか堪え忍ぶと、頭上からの殺気を感じて後方へと跳躍した。瞬きする間もなく、彼の立っていた石畳が杖の先端ごと黒刃に抉り取られる。
 グラシャ=ラボラスはさらに後方に退きながら虚空をまさぐると、何も無い空間から今度は鋼鉄の鞭を取り出した。手首を翻すと、鞭は生命を宿した蛇の如く鎌首をもたげる。猛追する魔王をちらと見ると、グラシャ=ラボラスは突如左へ跳躍し、勢いよく鞭をしならせた。時間差で通り過ぎる魔王の脇腹を抉るべく顎を開いた鞭は、次の瞬間首を落とされ地面に叩きつけられる。

「ア、アラ?」
「ふん、闇に呑まれたとは言えオリハルコンじゃ。この程度造作も無い」
「ナルホド……ソレは益々欲しくなリマシタヨ!!」

 興奮に声を荒げるグラシャ=ラボラスの体が、見る間に膨張していく! 翼竜の如き翼を広げた巨大な黒い犬となったグラシャ=ラボラスは、唖然とする魔王を見下ろして低く唸った。

「グルル……地獄ノ魔犬グラシャ=ラボラス、殺戮ノ果テニ全テヲ奪オウゾ……」
「ちょ、ちょっとだけ驚いたが、妾は勇者王の娘にして魔王、フレイア・デア・ファスタラントじゃ! 絶対に負けはせん!」

 魔王の挑発を鼻で笑うと、魔犬は右前足を思い切り地面に叩きつけた。石畳が波紋を打つように次々と破壊され、轟音とともに破片が周囲に降り注ぐ。魔王は破片を打ち払うと、魔犬に向けて突進した。だが踏み込んだ瞬間、横合いから巨大な左前足が殴りかかる。魔王は剣の腹を向けて防ごうと試みたが、圧倒的なまでの脚力に抗いきれず剣ごと壁際まで吹き飛ばされた。何とか壁に着地するようにして衝撃を和らげるが、相手を目で追う間もなく間近にまで巨体が迫る!

「く……!!」

 三角飛びの要領でさらに天井付近まで跳躍すると同時、爆音を立てて壁に大穴が空いた。ぞっとするのも抑えて、魔王は左手を魔犬に向けて叫ぶ。

「『天魔の双翼』!!」

 巨大な赤黒い鳥のシルエットが、怪音をあげて魔犬に襲いかかる。かぎ爪が額をかすめ魔犬は一瞬怯んだが、翼を一振りして飛び上がると、複雑に入り組んだ歯列を有する顎で巨鳥の首に食らい付いた。一瞬悲鳴を上げて、すぐさま巨鳥の首が折れる。だらりと垂れ下がった巨鳥の体を首を振って地面に叩きつけると、魔犬は鬨の声を上げた。
 魔王はその様を見ながら、両手を広げ歌うように呪文を紡いでいる。気付いた魔犬は体を縮め、一気に跳躍したが、文字通り一歩届かない。
 厳かに、闇の到来が告げられる。

「深淵より這い寄る屍竜の咆吼」

 漆黒の光が、魔犬の胸に深々と突き刺さった。精神を掻き乱す轟音を引き連れ、巨体を天井まで弾き飛ばす。さらに追い打ちを掛けるように、魔王の唇から死の詩がこぼれた。

「幽閉されし昏闇皇子の狂い詠」

 室内にもかかわらず、まるで雷雲の中に放り込まれたかの如く電撃と爆音が乱舞する。天井に張り付けられた魔犬は襲いかかる雷撃を避ける術もなく、体中を焦がされ続けた。
 呪文の効果が切れると、ぼろぼろに焼け焦げた魔犬は落下し、地面に叩きつけられた。一度身をよじろうとしたが、そのままぐったりと動かなくなる。魔王は緊張を解きほぐすように長く息を吐くと、そっと魔犬の方に近づいた。

「……ちとやりすぎたかのぅ。ここで死なれては困るのじゃが……」

 至る所に焦げ跡のついた魔犬は、すっかり白目をむいていた。完全に死の気配が漂っている。魔王は何となく頭をかくと、どう処分した物かを考え始めた。
 ふと、魔犬の腹に何かがあることに魔王は気付いた。近づいてみると、金属製のくさびのような物がぶら下がっている。首輪のような物かと思ったが、それはどうやら魔犬の腹に直接繋がっているようだった。
 戦っている間に刺さった物だろうかと思ったが、こんな金属の何かを魔王は見たことが無い。何となく手にとり、抜けるかどうか引っ張ってみる。すると、金具は魔犬の腹を尻尾の方に向けて滑らかに滑った。そして、

「イヤー、全く完敗でしたネ」
「!?!?!?」

 魔犬の腹が開き、ごろり、と中から変身前の男が姿を現した。魔王は愕然とした顔で男と横たわる魔犬を三往復ほど見比べた。

「い……一体何がどうなっておるのじゃ……!?」
「ハテ、何のことデショウ?」

 とぼけたような顔で言う男、グラシャ=ラボラスに、魔王は混乱したまま手に持っていた大剣を振り上げた。

「と、とにかく、もう一度お主をコテンパンにやっつけて終わりにするのじゃ-!」
「オォ!? 人の話を聞いていたカネ!?」

 いきなり斬りつけてくるのは想定外だったようで、グラシャ=ラボラスは慌てて斬撃を躱した。続けて滅茶苦茶に振り回される攻撃を何とか避けながら、グラシャ=ラボラスは虚空をまさぐる。何か有効な武器は無いかと探った中から、手に当たった物を適当に引き抜き、襲い来る刃に向けて叩きつけた。
 ガリン、という妙な音が響いた。続いて、カラン、と乾いた音が二つ分鳴り響く。
 石畳の床の上で、黒く光る物体が二つ振動していた。一つは丸い物体で、何やらくぼんだ形状をしている。そして、もう一つは……。

「……あ、あぁ……」
「……オヤ、これハ……」

 真ん中でポッキリと折れた、闇の大剣。

「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁッッッッッッ!?」

 頭を抱え、まるで断末魔の叫びを上げる魔王。グラシャ=ラボラスは両耳をふさぎながら、何となく当惑した表情を浮かべた。彼が咄嗟に引き出した武器と思しき物は、彼が日頃愛用していた至って普通の鉄のフライパンだ。聖なる光を全て放出してしまったとは言え、原材料にミスリルを使用したオリハルコンの剣を折る力などあるはずも無い。
 と言う事は。

「せ、折角アレスに折られた部分をア○ンアルファで完璧にくっつけたのに……」
「……さらっと衝撃の事実だネ」

 つか、くっつくんだ、オリハルコン……。
 真っ二つに折れた大剣から、グラシャ=ラボラスは完全に興味を削がれたようだった。ガックリと頽れ意気消沈する魔王に近寄ると、彼はそっと手をさしのべる。魔王がそちらを見上げると、グラシャ=ラボラスはどことなく気まずそうな顔で言った。

「……マァ、ワタシの見込みも甘かったヨ。結果的に何も生まない結末になったのは残念だが、久々に愉しい戦いでしたヨ」
「お、お主……」

 戦いから芽生える友情。イイネ!
 互いの手をとり、良い笑顔をする二人。ここで綺麗に物語を終えたいところだが、そうは問屋と神的な存在が許さない。

「ただいまー! いやー、氷雪王に酒飲め烏賊食えって絡まれまくって大変だったー……って、なんじゃこりゃあぁぁぁぁあぁぁぁッッッッ!?」
「あ、おかえりなのじゃ、アレス」

 外交行脚から帰ってきた元勇者・アレス(特別出演)は、玉座の間に入るなり素っ頓狂な声をあげた。魔王はきょとんとした顔で出迎えの言葉を告げたが、やがてはっとして広間を見渡した。
 荒れ放題の石畳、凹みまくった壁、剥がれ落ちた天井。燭台は軒並みなぎ倒され、至る所に焦げ跡がついた室内は、まるで戦場さながらだった。実際、先程まで戦場だったわけだが。
 魔王がアレスの方をもう一度振り返ると、そこには修羅の形相の男が立っていた。いつも優しく接してくれる元勇者の姿はそこに無く、どす黒い気配をまき散らしながら一歩ずつ近づいてくるその姿は、むしろ紛う事なき『魔王』そのものだった。

「……アノ禍々しい気配の方はどなたかネ?」
「わ、妾のパートナーなのじゃ……ア、アレスよ、こちらは今友達になった悪魔のグラシャ=ラボラス……」
「……その男も、共犯か……?」
「ヒッッッッ!!!!」

 ギラリ、と瞳が光り、魔王を射貫く。魔王はがたがたと震えて凍り付いたようにその場から動けなくなった。その様子に、グラシャ=ラボラスも危険を感じ取る。そっと体を翻すと、片手をあげて魔王に会釈した。

「じゃ、じゃア、ワタシはこの辺デ……」
「待テ……」

 その肩が、がっしりと捕まれる。先程までそこそこ遠くにいたはずなのに、いつの間にか背後に迫っていることにグラシャ=ラボラスは戦慄した。瞬間移動で逃げおおせようと思ったが、体がぴくりとも動かない。
 冷や汗をかきながら、背後を振り返る。瞬間、強烈なプレッシャーがグラシャ=ラボラスを襲った。

「……正座」
「……ハ?」
「……正座」
「……ハイ」

 肩を掴まれたまま移動させられ、石畳の上に膝を折る悪魔。その隣には、何も言われていないのに既に正座してぷるぷる震えている魔王の姿。
 あぁ、と、グラシャ=ラボラスは思った。ラスボスには裏ボスの存在が必定だよネ。
 上からは情け容赦ない罵倒の数々、下からは冷たく硬い石畳に責められ続けること数時間。永遠にも等しい責め苦が終わったのは、夜が白み、二人が昏倒したときだった。


完。


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