Mistery Circle

2017-10

《 Hell Hills -ヘル・ヒルズ- 》 - 2012.03.01 Thu

《 Hell Hills -ヘル・ヒルズ- 》

 著者:鎖衝





 事の起こりは、最近馴染みになったばかりの、ジルの店の片隅から始まった。
「ジェイ! お前まさか、神を信じてりゃなんでも助けてもらえるとか考えてるんじゃないだろうな!」
 俺はそう言って、敬虔なカソリックであるジェイの肩を小突いた。同時に、逆の手に握っていたジョッキから泡立つビールが盛大にこぼれた。
 その僅か一瞬だけ、騒がしい酒場の中から声が消えた。
 後から考えりゃ、甚だいい加減な絡み方だった。だがその時の俺は、相当に酔っぱらっていたのだ。ジェイは面倒そうに俺の顔を眺めると、小声で何かを呟いてその場を去った。
 何を言ったのかは聞こえなかった。ただ、その去り際に見せた十字を切る仕草がやたらと憎らしく感じたのも確かだった。
 その日の俺は少々――いや、かなり乱暴だった。もちろん自覚もある。最近やけに運が悪く、何をしていても全てが裏目に出てしまう。特に大きな悪運は巡って来てはいないが、小さなアンラックが積み重なって、俺は自棄を起こしていたのだ。
「クソッ! お前ら、何見てんだよ!」俺は誰に言うでもなく叫んだ。
「いいかお前ら。人間なんてぇのはどいつもこいつも大ウソ吐きのハッタリ野郎ばっかりだ。誰でもちっぽけな自分を誇張してデカく見せようとしているだけ。全部ウソさ。ウソのかたまりさ。どんなに偉そうに見える人間だって、その身体ん中の成分はみな、ウソで出来上がってんだよ!」
 言って俺は、いかにも座って下さいと言わんばかりに空いている椅子へと、崩れるようにして腰を下ろした。
 ――イライラするな。思いながら、俺はジョッキを傾ける。既にビールまでもがぬるく、不味くなっていた。
「なんだ。ヤケに荒れてるな」
 声が聞こえた。気が付いて見れば、俺の座るテーブルの向かい側に一人の男がいた。やけに髭の濃い、赤毛で巨漢の中年男性だった。
 男は大袈裟なぐらいにケチャップを振ったフレンチフライをつまみながら、ビールを飲んでいた。怖そうな顔だが、短気ではなさそうだと踏んで、俺はその場に居座る事にした。
「そりゃあ荒れるさ。まるでいい事がありゃしないんだからな」
 言うと男は口をゆがめ、喉だけで笑うかのように、クックックと声を上げた。
「そう言う時もあるさ。だが、生きてりゃ楽しい事も同じぐらいある。悪い事ばかりを見ていたら、キリが無いぜ」
 ちっ。コイツも説教なタイプかよ。思いながら俺は、残った不味いビールを一気に呷る。今夜はもうしまいにして、帰ろうかと思ったからだ。
 ガンと派手な音をさせ、俺はテーブルにジョッキを置いた。そうして腰を浮かせ掛けた瞬間だった。俺は瞬時に、帰る事を思いとどまった。目の前の赤毛の男が、面白い事を言ったからだ。
「死んだ方がマシだと思えるぐらいの運の悪さを経験したら、誰でもそう考えるようになるさ」
「――へぇ」俺は再び腰を下ろす。
「じゃあアンタは、そんな運の悪さを経験して来たってのかい?」
 聞けば男は自信ありげに、「ある」と言う。
「飛び切り最高の恐怖と、絶望と、そして疲労に飢餓を味わった。あぁ言う経験しておくと、俺みたいなクズでも生きている事に感謝するようになる。生きてりゃこうしてビールも飲めるし、安全な部屋の中で寝起きする事だって出来るんだ。最高じゃねぇか」
「良くわからねぇよ」俺は言った。
「教えてくれないかな。そりゃあどんな運の悪さだい。俺も是非にそいつを経験してみたいものだね」
 それを聞いた男は、まるで待ってましたと言うような顔付きになり、遠くのバーテンダーに身振り手振りでビールの追加を二つ頼んだ。
「そいつを教えてもが、俺と同じ経験はしない方がいい。尤も、同じ境遇になれる訳もないだろうけどな」
 そうして男は、俺に向かって静かに言った。
「俺はなぁ。昔、地図に存在してない町へと行った事があるんだよ……」


 それは、赤土の荒野に突然に現れた、“無人”の町だった。
 あぁ、それより先に、どうして俺がそんな場所に行き着いたか。まずはそこから話そうか。
 当時、俺には命と同じぐらい大切なものがあってな。
 大型のハーレーダヴィッドソンさ。改造に改造を重ねて、この世に一台しか無いってなぐらいにカスタムされた、俺専用の大型バイクだった。
 俺はそいつに乗って遠出するのが好きでさ。勝手気ままに、自由にそいつと旅をしていた時代もあった。
 楽しかったぜ。ネバダ、オレゴン、アイダホ、ワイオミング。金と時間が許せるのなら、メキシコにまで行っただろうな。――あぁ、もちろんそれは冗談だが。
 あぁ、ビールが来たぞ。まず飲もう。こいつは俺の奢りさ。やってくれ。
 ――ある時俺は、ソルトレイクの近くを走ってた。
 深夜だった。霧が濃くてな。良く知らないハイウェイだし、俺はおっかなびっくりで走ってた。
 そうしてしばらく走っていたら、看板が見えた。その先を左に折れて十二マイル。“Bell Hills(ベル・ヒルズ)”って言う、その辺じゃあ聞いた事もない町の名前さぁ。それでもそんな深夜なもんだからさ。何でもいいやって気持ちで、そこを曲がった。
 なぁんにもない荒野がしばらく続いた。気持ち悪いぐらいに静かで、異様に寂しい場所だった。――どれぐらい走ったんだろうな。もうとっくに十二マイルなんて過ぎててさ。それでも何も出て来ない。こりゃあ間違ったかなと思った頃だった。
 最悪な事に、今度はガス欠さ。俺の記憶じゃあまだまだ走れるだけの燃料は入ってた筈なんだが、エンジンがカスカス言い始めて初めて、もうメーターが振り切っているのが判った。
 あぁ、運が悪いな。思いながら、最後の惰力が続く限りバイクを走らせ、そして道を外れた荒野の中でバイクを停めた。
 ――怖かったさぁ。バイクのエンジン音が消えたと同時に、四方から襲い掛かって来るのは絶対的な静寂って奴なんだ。なぁんの音もしねぇ。こんなノイズだらけの世界に生きてる俺達には、全く無縁の世界さ。本当に恐ろしいと感じる程、鼓膜がじんじん言うぐらいの無音の世界に、俺は一人取り残されてるのさ。
 やべぇな。今夜はこんな場所で野宿かよ。思いながら腕時計を見たら、いつの間にそんな時間なのか、既に時刻は早朝に近かった。
 なんか今夜の俺は、運が悪い以上に何かとんでもない記憶違いしてるな。なんて思ってた時さぁ。真っ暗闇の静寂の中から、鐘の音が聞こえたのは。
 澄んだ綺麗な音だった。コォォォォォーーーン――ってな。夜のしじまに響くのさ。
 だが、綺麗なだけに余計に不気味だったさ。一人ぼっちで、誰もいない。そして何も無い筈の場所で鐘の音が聞こえるんだ。そりゃあもうこんな俺だって、最悪な想像を働かせちまうよなぁ。
 ――だが、よぉく見ればそこに何かがあった。暗闇の中、目を凝らせば向こうに何かの灯りがある。それも一つ二つじゃない。何で今まで気付かなかったんだろうって思うぐらいの町の灯りがそこにはあった。
 遠かったけど、俺は歩いたさ。動かなくなったバイクを押して、とぼとぼとな。
 結局その町に着いたのは陽が昇って明るくなってからの事だった。とにかく俺は、陽が昇るのと同時にその町――Bell Hillsへと辿り着いたのさ。
 なんか、近代と過去が入り混じったかのような町だった。町の中心を貫くメインストリート沿いには近代的な店々が立ち並び、道路も舗装されて綺麗なものだったんだが。ちょっとでも脇道の向こうを覗けば、そっちはもう古き良き西部の色を濃く残す、木造な家々が垣間見えた。
 あぁ、これで安心だと思った。これ程の規模の町なら、ガソリンだってどこかに売ってるだろうってな安心だ。そうして俺は延々とその町の通りを歩いていたんだが、どうにもおかしい。何かが違っているように思えて仕方ない。
 ――足りてなかったんだよ。肝心なモノが。
 俺は“ソイツ”の前を通り過ぎて、とある一軒の料理店の前に立ち、中を覗いた。――いない。厨房のダクトからは盛大に湯気が出ているってのに、いないんだ。
 次の店は、早朝開いているにしては不自然なミュージックショップ。中からはラップの曲が流れ出て来ているってぇのに、やはりそこにもいない。
 次はカフェ。その次はストアー。俺は次々と店の中を覗き、ついでに民家らしき窓まで覗いてみたが、やっぱりいない。――“人”がいないんだよ。どこにも。
 まだ早朝だからだろうとも思ってた。だが、普通に開いてるストアーにも人がいないんだ。なんか不用心を通り越して薄ら寒く感じるようになって来た。
 まさかここ、無人の町じゃねぇだろうな。そんなジョークめいた事思いながら路肩で座り込んでいたんだけどな。やがてそのジョークが当たっている事を知った。俺は昼近くまでその周辺をぶらついていたんだが、どこからも人っこ一人出て来やしねぇんだ。
「冗談だろう、おい! ここには誰もいねぇのか!」
 俺は叫んださ。さっきのアンタみてぇにな。――だが、だぁれも出て来やしなかった。俺の声は町のあちこちに反響し、そして消えた。そこには本当に誰もいなかったんだ。
 その時ふと、嫌な事を思い出したんだよな。船自体には何の異常も無かったってのに、船員と乗客だけが忽然と消え失せていたって言う、メアリー・セレストの話さ。そっちは捏造された都市伝説みたいなものだが、こっちの方は現実さ。どの店先からも、人がいて当然な雰囲気が漂い出てるってぇのに、誰もいない。良く考えなくても、異常な事態なんだ。
 俺は心配になって、今度は裏通りに出て民家のドアを叩き始めた。だがはやり、どの家からも応えは無い。
 酒場があったんで、そこも覗いてみた。やはり誰もいない。ただ、テーブルやカウンターにグラスや酒瓶が並んでるだけ。しかもつい先程まで、大勢の人間が酒飲んでたみたいな感じさ。何一つ片付いていないし、グラスの中の酒だって減ってない。ただ、そこから人が消えちまっただけみたいに見える。
 今度は俺は、一軒の民家へと向かった。窓越しに電話が見える家があったからだ。
 玄関のドアは開いていた。俺は一応声をかけてから中へと入った。
「電話借りるよ!」
 叫んだが、誰も何も言わない。ならいいやと思って受話器を上げたが、電話は不通だった。
 だが、部屋の向こうからはテレビの音が聞こえていた。俺はそっちの居間らしき方へと歩いて行って、驚いた。――まるでそれは、朝食の最中みたいじゃないか。テレビは点きっぱなしで、トーストは半分だけ齧られていて、珈琲のカップはまだ温かい。そしてテーブルの隅に置かれた新聞は、まさに今朝の日付だ。
 悪いジョークだよ。ただそこに、人だけがいないのさ。
「ふざけんなよ!」
 俺は部屋の真ん中に突っ立ってる“ソイツ”をぶっ叩き、外へと飛び出した。そうしてようやく気付いたんだ。その町からは、人の気配ってぇものがまるで無いって事にさ。
 ホラ、良くあるだろう。第六感的なものだが、目に見えなくても人の気配だけはするって言う奴。――そうそう、それそれ。そいつが無いんだよ。綺麗さっぱり。
 俺は勝手にストアーの中の食糧を物色して、腹を満たした。とにかくこんな奇妙な町、早く出ようと思ったんだ。もしもこいつが映画かなにかのワンシーンなら、今度は俺の身に危険が降り掛かるのは予想出来るからな。
 もちろん、ゾンビーやらエイリアンなんか信じてもいないけどさ。それでもそんな異常な場所にたった一人だけって言うのは、既に何か別の次元にいるような気がして来るもんじゃねぇかよ。普通じゃ有り得ないような想像働かせてしまうもんじゃねぇかよ。
 とにかく、迷わず逃げる事。それが先決だと思ってガソリンスタンドを探した訳なんだが――。
 驚いた事に、そいつだけが無い。生活出来る全ての店がそこにはあるってぇのに、どこ探してもガソリンスタンドだけが無い。
 いや、まだ不足しているものがあった。通りを歩いていてどうにも奇妙だとは思ってたんだが、その町には車ってぇものが一台も無い。ついでにバイクも無けりゃあ、自転車すらも無い。道路標識はあって、駐車場もあるのに、車の類だけが見付からない。
 俺は歩いた。メインストリートを徒歩で通り抜け、その反対側の町の出口までな。だがやはりどこにも誰もいやしない。車も無い。ただ、忽然と人が消え失せたって感じのする店や民家が残されているだけなんだ。
 俺はそこで途方に暮れてた。ついでに言えば、どこの家の電話を使っても結果は同じでさ。全くどこにも繋がらないし、音さえも聞こえない。
 気が付けばまた陽が沈み始めててな。俺は強烈な空腹感に襲われて、どこかの料理店の中に入って行った。
 やはりそこも、テーブルの上に食べ掛けの料理が並んでいた。俺はもうそんな不自然さには構わず、その辺りにある料理掻き集めて食い始めた。
 向こうでは点きっぱなしのテレビが、夕方のニュースを流してた。有名なハリウッド女優が二十も年下の男と結婚しただとか、就職率がまた低下しただとか、そんな他愛もないニュースが流れてた。そしてそれをぼんやりと眺めながら、俺は思った。
 俺はこうして外界の事を知る事が出来るが、俺がここにいると言う事を、誰かに伝える術が無い。常識的に考えたら、俺はこの町から出る事すら出来ないんじゃないかと。
 夜はその晩、町の隅のホテルで一夜を明かした。窓から飛び降りても大丈夫そうな二階の角の部屋に入り、部屋のドアにはしっかりと施錠した上、ベッドを引き摺って開かないように重しにまでした。
 ソファーに寝そべり考えた。これは一体、どんな状況なんだろうってな。
 普通に考えりゃ、この町に何かが起こって、人々は車に乗って逃げ出したってな感じか。――だが、それはいつ? 酒場には飲み掛けのグラスが並び、民家には朝食のトーストが齧られたままに残されている。――夜と、朝。時間軸がバラバラだ。
 雨戸を開け、外を覗く。町の灯りは誰も消さないまま、ずっと点きっぱなしになっている。
 人の姿は依然として無い。そしてそれに取って代わるゾンビーの群れも、人狩りを始めた新種の生命体の姿も無い。ただ、無人なだけの静かな町が眼下に広がっているだけだ。
 そしてまた一睡も出来ないままに朝を迎え、俺は町の中を歩いた。だがやはり町は、昨日とまるで変わってはいない。
 ストアーに入り、サンドイッチを手に取る。流石にこいつは食えないだろうなと思いつつ製造日を見れば、それは三月三十一日。それは今日――いや、今朝作られて運ばれて来て、ここに置かれただろう日付だ。
「おいっ! 誰かいるんだろう!?」
 俺は咄嗟にそう叫んだ。だが、思った通りに何の反応も無い。俺はなんかむしょうに腹が立って来て、そのサンドイッチを床に叩き付けると、怒鳴り声を上げて外に飛び出して行った。
 そして俺は、店先に立つ“ソイツ”に八つ当たりするかのようにして、あらん限りの力で蹴りを入れた。そうしたら“ソイツ”は、路上に倒れてバラバラになりやがった。
 ちょっとだけ、気が晴れたさ。バラバラになった“ソイツ”を見降ろし、俺は唾を吐いてやった――。


「ちょっと待ってくれ」俺はそこで口を挟んだ。
「黙って聞いてると、時々どうしてもわからねぇものが混じるな。さっきからずっと出て来ているんだが、“ソイツ”って一体なんだよ? そこの説明もしてくんねぇかな」
「いや、まだだ」男は人差し指を立てて、そう言った。
「“ソイツ”を語るにはまだ早い。まだその順番じゃないからな。黙って聞いていてくれないか」
「――判った」
「だが、一応は“ソイツ”についてもある程度触れなくちゃならない。俺はバラバラになって壊れた“ソイツ”を見て、ようやく気付いたんだ。――あぁ、ここにもう二つ持って来てくれるかい、お兄さんよ」
 最後の言葉は、バーテンダーに向かっての言葉だった。
 俺もまた残ったビールを一気に呷り、次のジョッキを待つ事にした。


 随分と遅く気付いたもんだなと、俺も自分でそう思ったさ。
 なにしろ“ソイツ”は、俺が町に来た時からずっとそこにあった。全く気にも留めていなかっただけで、“ソイツ”は町のあちこちにあった。
 実際“ソイツ”は、どこにあってもおかしくはないものだ。――あぁ、いや、それはウソだな。町のあちこちにあったら、実に不自然なものかも知れない。
 だが、どうして俺は“ソイツ”の存在に今まで気付かなかったのか。
 もしかしたらその時の俺は、ココ(自分の頭を指して)がどっかイカれてたのかも知れない。それとも、町の異変にばかり気を取られて“ソイツ”に気付けなかったのか。とにかく俺は、翌日になってようやくその存在に気が付いたのさ。
 さて、どうして“ソイツ”はそこにあるのか。もしかしたら人が消えてしまった事に、これが何か関係しているんじゃなかとも思ってな。俺は“ソイツ”について調べてみる事にしたんだ。
 ――あぁ、二杯目も俺が奢るよ。なんだか今日はビールが進む。決して面白い話じゃないんだけどな。
 俺は、“ソイツ”を探しに歩いてた。“ソイツ”自体はあちこちに突っ立ってはいるが、“ソイツ”達は本物じゃねぇ。必ずどこかにちゃんとした“ソイツ”がある筈なんだ。
 町自体はそんなに大きくもない。端から端まで歩いたって、三十分もありゃ辿り着いちまう。だがそれでも、町の全てを探すとしたなら話は別だ。とても一日じゃあ全てを見る事なんか出来やしねぇ。
 その内に俺は、町の合同庁舎を見付けた。特にそこが気になった訳でもないが、俺は一応そこも覗いてみた。
 小さかったが、近代的なオフィスビルだったよ。エントランスにはその町の歴史を語る工芸品やら何やらが展示されていた。ほとんどがネイティブ・アメリカンの文化だったが、一応はその町が出来たその由来や歴史なんかも紹介されていてな……。
 あぁ、そう言う部分には興味無いか。だが、聞いてくれ。話の本筋には関係して来るんだ。
 俺はなぁ。どこか、疑ってる部分があった。
 もしかしたらここは、架空の町なんじゃないかって疑いさ。もしかしたら何かの実験場だとか、町のまるまる一つがモデルタウンとかね。もしくは有名な映画監督の私有地だとかも考えた。
 だが、どう見てもその町の歴史は捏造じゃない。大掛かりな映画のセットでもない。どんな否定的な目で見ても、その町にある歴史は作られたものじゃないと、よそ者の俺でも判った。
 しかも――だ。その歴史は尚も継続中だった。
 歴史がどこかで途切れているとか、どこかで終わっているとかじゃないんだ。俺はそこで見ちまったんだよ。明日、町の中心にある公園で催される、エイプリル・フールのイベントの告知をさ。まだ継続されている、その町の歴史の一端をさ。
 ん? あぁ、笑ってくれていいさぁ。アンタも、俺の壮大なジョークだと思ってんだろ?
 実際俺だってそう思ったさ。もしかしたらこれは、町を挙げての大掛かりなジョークなのかもってな。
 明日になったら町中の人間が出て来て、マヌケな俺を指差して笑うのさ。この人ったら、とんでもない顔して怖がってたとか言われてな。むしろそうやって俺一人が騙されてたってぇんなら、それこそとびきり最高なジョークさ。帰ったら早速、ゴシップマガジンにそのネタを売り付けに行こうとか思うぐらいにね。
 だが実際はそうじゃなかった。俺はそのイベントのビラを片手に、その会場である公園へと歩いて行ってみた。
 ――もう、会場が出来上がっていたよ。
 昨日までは何もない大きな公園だったってのに、今日になって行ってみたら公園の隅にステージが組み上がってた。
 そしてそのステージの上に、こんな看板が掲げられていた。
“Day the lie change to truth.(嘘が現実になる日)”――ってな。
 ビラにも書いてあった。四月一日の正午の教会の鐘までに、各自“嘘”を持ち寄り披露してくれと。
 ――嘘? 嘘って、どんなだ? むしろこの現実の方がよっぽど嘘なんじゃねぇか?
 俺は無人の酒場に入ると、その日は延々飲み明かした。カウンターの向こうから高そうな酒ばかり選んで、それらを片っ端から飲んでやったんだ。
 それで俺は、酔い潰れた。一体どれだけ飲んだんだろうな。気が付けば既に夜になっていた。
 俺はその辺りに群がる“ソイツ”等を押しのけながら、外へと出た。
 もう二日もまともに寝てねぇんだ。寝れるならどこでもいいやって、近所の民家に押し入って、寝室を探した。
 すぐに見付かったさ。どうやらそこはその家の夫婦の寝室らしい、サイドテーブルを挟んでベッドが二つ、置かれてあった。
 俺はその片方に寝転んで、サイドテーブルの上の写真立てに手を伸ばした。
 そこには、中年の夫婦と女の子が二人、笑顔で写ってた。とても演技ではない、嘘でもないだろう、幸せな笑顔の家族だった。
「なぁ、アンタ等って一体、どこに消えたんだ?」
 俺は呟いて、眠りに落ちた。
 相当疲れてたんだろうな。もうどうなってもいいやってな気分で、無防備のままに寝た。
 色んな夢を見たような気がするよ。なんだか俺が昔住んでいた、デトロイトの裏町の深夜の喧噪を思い出すような夢さ。
 パトカーのサイレンがひっきりなしに響いていて、人の叫びやら何やらが轟いて、その内に銃声でも聞こえて来るんじゃないかってな、そんな騒々しさでな。なんかやたらと、物騒な夢を見ていた気がするよ。
 ――翌朝はまた、鐘の音で起きた。
 目を覚ませば、既に朝の九時過ぎだった。久し振りに良く寝たなと思いながら、ベッドの上で起き上がった。
 その時にふと、頭の中で色んなパーツが組み上がって行くようなイメージが浮かんだ。
「あぁ……そう言う事か」
 俺は手を額にあてながら、そう呟いた。
 とりとめもない夢が、俺に回答を授けてくれた。ずっと、“謎の真相”へと行き着くヒントは与えられていたんだ。そう、その町に入ったその瞬間から、“ソイツ”も含めて、ヒントは至る場所に転がっていたんだ。
 ――どうしようか? 俺は悩んだ。
 知る為には、俺はそこへと行かなきゃならない。だが、知ってしまったとしたら、俺はもう二度と現実の世界には帰れないんじゃないかと言う不安もあった。
 だが、グズグズしてはいられないとも思った。何故かむしょうに胸騒ぎがしていたんだ。
 そうして、部屋のカーテンを開けて驚いた。窓の外、塀の向こう側には、おびただしい程の数の“ソイツ”が突っ立っていた。――そう、まるでこの家を、この俺を包囲するかのようにな。
 連中が動かないのは知っている。だがそれでも、あれだけの数にまとまっていると、例え動かなくてもそれは恐怖だ。
 俺は家の中を探し回り、バットと散弾銃を見付けた。弾薬は数発しかないが、それでもかなりの心強さにはなる。
 俺は玄関のドアを開けると、まず一発銃をぶっぱなしてから躍り出た。バットを滅茶苦茶に振り回しながら、“ソイツ”等を粉砕し、闇雲にそこを突破して行った。
 もちろん連中は無力だ。無抵抗だ。面白いようにバットで砕かれ、そして路上に散らばった。俺は何十体かを葬り去った後、メインストリートに向かって走った。大通りにはさすがに“ソイツ”の姿もあまりいない。俺は時々突っ立っている“ソイツ”を見掛けると遠慮も無しに粉砕し、そしてまた走った。
 場所は見当が付いていた。その町の中でも目立つ建造物だし、前の晩にホテルの窓から見掛けてもいたしな。
 やがて俺は、とある場所へと行き着いた。吹き出る汗を袖で拭い、肩で息しながら、その建物の前に立った。
 迷わなかったかと言えば、そうでもない。
 後悔はしないかと問えば、実は今でもしている。
 だが、人間ってのは不思議なものだな。いつでもどんな場面でも、恐怖よりも勝ってしまうのが、好奇心と知識欲だ。結局俺はその建物のドアを開けてしまった――。


「それで? どうなったんだよ?」
 それっきり黙ってしまった男をせっつくように、俺は聞いた。
 だが男は黙したままビールを流し込む。なんなんだ、この男は。思いながらもう一度、口を開き掛けたその時だ。
「いや、ここから先は言わない方がいいのかも知れない」と、男は言う。
「なんとなくなんだが、俺があの町を出て、そしてまだこうして生きて酒を飲めると言う事は、俺が今までその話を誰にもしなかったからじゃないかと、ようやく気付いたんだ」
「……なんだって?」
「俺は結局、その町がどうして無人なのか。その原因となるだろうものを、その中で見てしまった。普通に考えたら、決して許されないだろう重大な町の秘密さ」
「――良くわからねぇよ。それでそこには何があったんだよ」
「聞くなよ。俺まで“嘘”になっちまいそうな気がする」
 男は言って、残ったビールを一気に飲み干す。
 ジョッキをテーブルの上へと置くが、横をバーテンダーが通っても、もう一杯とは言わなかった。
「じゃあ――」俺は尚も聞く。
「“ソイツ”って、なんなんだ? もうそろそろ、教えてくれてもいいんじゃないか?」
 だが、予想に反して男はボソリと、「それも聞くな」と、そう言った。
「聞いちゃあいけないよ。俺も少し喋り過ぎた」
「おいおい、冗談だろう? ここまで盛り上げておいて、話の結末はナシって事か?」
「――結末を聞けば満足なのか?」
 男の言葉に、俺が頷いた。
「ウォッカを。瓶ごと持って来てくれ」
 男は、向こうにいるバーテンダーに呼び掛ける。
 そしてまた男は、ゆっくりと話し出した。


 町は、静かに異常をきたし始めていた。
 どこかでバタンと、店のドアの閉まる音がした。さっきまで外灯の下にいた“ソイツ”が、ちょっとだけ視線を外したその後には、通りの向こうの角まで音もなく移動していた。
 ――フォォォンと、ハウリングの音をさせ、そいつは突然始まった。
 ボソボソ、ボソボソと、何かが話す声。そしてそれよりもずっと鮮明な、人々の笑い声。そんな声が、公園のあちこちに置かれている巨大なスピーカーから流れて来る。
 だが、その方向を見ても誰もいない。やはり無人なままの公園だ。
 ――町は静かに、嘘の世界へと変わり始めていたんだ。
 誰もいない、誰の姿もない町こそが本当のその町だと言うのに。嘘が、現実になり始めていた。――そう、その公園に掲げられた看板の謳い文句のようにな。
 俺は急いだ。近くのマーケットに飛び込み、ジャンパーのポケットにあらん限りのチョコレートやビスケットを押し込み、どこからかどんどんと湧き出て来る“ソイツ”等を蹴り倒して、俺は急いだ。
 その町を、“出る”為にだ。
 ――あぁ、そうだ。もう一つ、肝心な事を言わなきゃ。
 俺は、愛車のハーレーをそこで手放した。俺にとっては自分の命と同じぐらいの重さがあるバイクだと、それまではずっと思っていた。
 だがそうして自らの命を問われる場面になると、もうそんな存在なんか、“物”でしかない。自分の命なんかとは、比べられるものじゃあなかった。俺はそいつのボディをもう一度撫でに行こうとか、別れを惜しみに行こうとか、そんな事すら考えられなかった。
 ただ、逃げるだけさ。生きる為の準備をして、一刻も早くその町から出る事。それだけさ。
 間もなく、昼になろうとしていた。俺はマヌケにもポケットからボロボロと菓子やらミネラルウォーターのボトルを落っことしつつ、はぁはぁ言って、その町のストリートを駆け抜けた。
 ――バカバカしい光景だろう。だがそれでも本人は大真面目なんだ。そうして町の外れまで来て、いつ鳴るか、いつ鳴るかと背後ばかりを気にしながら、再びあの赤土だらけな荒野の中へと飛び込んだ。
 そしてその教会の鐘が荒野の台地を駆け抜ける時。俺は既に町が小さく見える場所まで来ていた。
 嘘を吐いていい時間は、そうして終わったんだ……。


「――それで?」
 俺は聞いた。すると男は、「それで終わりさ」と言って、ウォッカのグラスを静かに置いた。
「もう話す事なんか何もねぇよ。俺はそのヒビ割れたアスファルトの道を、延々と歩いた。もしかしたらそれはもう既に、廃線となった道なのかも知れねぇな。結局俺が衰弱しきった状態で発見されるまで、何日も何日も歩き続けたんだからな」
「なんか……」俺は言った。
「全く、頭っから信じられないような話だな」
 言うと男は怒りもせずに、「それでいいさ」と返す。
「信じられないなら、それで構わない。むしろ信用して聞かれた方が困るかも知れん。実際俺だって、まだどこか疑ってるんだ。本当にあの町に、俺はいたのかってな」
「どう言う意味だよ」
「地図に無かったのさぁ」男は言う。
「あれから何度も地図を広げてみては、自分の走ったルートを幾度もなぞった。もしかしたら記憶違いかも知れないとか思いながら、色んな本なんかも調べてみたよ」
「――それで?」
「見付からなかった。どこにも無いんだ、そんな町。同じ名前の町なら全米中に山ほどあるが、どれも俺の知ってる“Bell Hills”じゃあなかった。一体俺は、どこのなんてぇ町に辿り着いちまったんだろうなぁ」
「おいおい、ふざけんなよ。アンタ、黙って聞いてりゃいい加減な事ばっか……」
「シッ!」男は人差し指を立てながら、俺に言った。
「確かにいい加減だったな。ここまで話すんじゃなかったさ。奴等ぁ、気付いちまったみたいだ」
「何を――」
「もう来てる」
 男は俺の背後を指差し、そう言った。
 俺は咄嗟に振り向いた。だがそこには何も変わった事はなく、いつも通りな真夜中の酒場の風景が広がっているだけだった。
「なぁ、アンタ。もしかしてただ俺をバカにしたくてこんな話……」
 言って振り戻り、俺は驚く。慌てて飛び退いた拍子に、椅子が激しくガタンと鳴った。
 周囲からの嘲笑の声が聞こえた。だが俺にはそんな笑い声すらも気にならないぐらいに、その事実に驚いた。
 俺が振り向いていた僅かな時間。そのほんの数秒の間に、男の姿はそこから消え失せていた。
 周りを見回してもいない。テーブルの下を覗き込んでもいない。
 機敏にどこかへと姿を消したとも考えられない。だがそこに、ウォッカの瓶とグラスを残したままで、男は忽然と消えてしまったのだ。
「なぁ、アンタ。もしかしたらミックの亡霊にかつがれたんだろう?」
 突然に背中を叩かれ、酒場で良く見掛ける一人の男にそう言われた。
「どう言う事だよ?」
 俺が大声でそう聞けば、「そう言う事だよ」と、また別の男がそう言った。
「時々そうやってかつがれる奴がいるんだよ。今のアンタみたいに、酒瓶を前にして延々と話を聞かされるんだ」
「見ていたら一人でずっとしゃべっていたもんなぁ。良かったじゃん。滅多にいないぜ、そう言う奴」
 言って、二人の男は大笑いをしながらその場を立ち去った。
 そうして誰もいなくなったテーブルに着きながら、俺は今起きた事をゆっくりと反芻した。だがいくら考えても、まともな話じゃないだろうとしか思う事が出来なかった。
 大体、なんだよ。ミックの亡霊ってのはなんなんだ?
 思った所にバーテンダーが通り掛かり、「大丈夫?」と聞いて来た。
「なぁ、ミックの亡霊って――」
「あぁ、エイプリル・フール近くになると、時々現れるんだよ」バーテンダーは言う。
「君みたい自棄起こして飲んでいる人を見付けては、化かしにかかるらしい。尤も、僕はまだお逢いした事無いんだけどね」
 ――ホントかよ。俺は心で呟きながらウォッカを呷り、そしてなかなか力の入らない足で立ち上がる。
「いくら?」
 聞けばバーテンダーは、「いや、結構」と答える。
「ミックに逢った人から、金は取らない事にしてるんだ。どうせ彼も言ってただろう? 俺の奢りだって」
 そう言うバーテンダーの顔もまた、先程の男達のような薄笑いが潜んでいた。
 俺は、「サンクス」とだけ答えて店の出口へと向かう。最悪な夜だったなと思いながら。
 そんな時だった――。
「気を付けろよ」背中側から、声が聞こえた。
「“Bell Hills”の町に気を付けろ。俺はお前にそれを教えた。今度はお前の番だ……」
 ――鐘が鳴ったら、嘘は本当になるぞ。
 振り向くが、声の主は判らない。ただ、さっきの男、ミックの声に良く似ていたなと俺は感じただけだった。


 俺はけたたましいベルの音で目が覚めた。
 腕を伸ばして、ダッシュボードの上の目覚まし時計を叩くようにして止める。そうしてまた静寂が戻って来る頃、俺はリクライニングシートの上で背伸びをし、大きな息を吐いた。
 目を開けると、そこはまだ深夜のようだった。
 窓の外には何も見えない。星すらも輝かない、そんな漆黒の早朝の事だった。
「……起きるか」
 俺はぼそりと呟いて、トレーラーのドアを開ける。
 夜の冷気が一斉に俺を襲って来た。俺は身を縮ませながら運転席から飛び降りると、誰もいないと言う気安さで遠慮も無しに立ち小便をする。
 ディアーロッジを抜け、モンタナの北西、カリスベルへと向かう途中だった。
 まだ相当に眠かったのだが、時間は急いていた。向こうに着けてから寝るかと思いながら、俺は再び三両編成のトレーラーへと乗り込んだ。
 ウェスタンハットを頭にかぶりながら、イグニッションのキーを回す。だが不思議な事に、キーは空回りするばかり。セルモーターが音を轟かす様子も無い。ただキーが中で空転する、カチカチと言う音が聞こえるだけだ。
「電気系統かな」
 俺は顔をゆがませながら、そう呟いた。
 面倒な事になりそうだなと思いながら、つい数時間前にドライブインで入れてもらった珈琲を飲もうと、ポットを開ける。
 だが、何も出ない。ほんの数滴さえも出て来ない。
 飲んだ記憶も無いと言うのに、既にポットは空っぽ。だが、飲んでいないと言う記憶さえ何故か怪しい。ドライブインを出た後の記憶が、どこか不鮮明になっている自分に気付く。
 ――どうかしちまったのかな。
 俺は嘆きながらシートの下の工具箱を片手に、再びトレーラーから飛び降りた。
 荒野のど真ん中だった。ただその横に、細く長い一本の街道が伸びているだけ。後は何もない荒野だった。
 向こうの山の稜線に、うっすらと紫色の線が浮かび上がる。
 間もなく夜明けか。思いながら一つ大きなあくびをする。

 コォォォォォーーーン――

 静寂の空気の中、どこからか鐘の音が聞こえた。



『 Hell Hills -ヘル・ヒルズ- 了 』



【 あとがき 】
手、抜きました。えぇ、はい。なんかもうかなりいい加減で……はい。
英訳協力Clownさん。どうもありがとうございました。^^


『 上昇既流 』 鎖衝

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