Mistery Circle

2017-07

《 Unknowns 》 - 2012.01.31 Tue

《 Unknowns 》

著者:知




 私には――私達兄妹には必要なものは潤沢に与えられている。ただ一つ、行動の自由がなかった。
 けれど、私達はその事を嘆いたことはない。不平不満を言った事がない。寧ろその事に感謝している。
 やはり人の形をしていても人ではないのだろう。長年この星を守護しているうちにそう勘付いてはいたけど、あの事件のときにそれは証明された。
 神は――この星の創造者は何故私達のような存在を作ったのだろうか。ふとそんな事を考えてしまうときがある。
 歳をとることはなく死ぬ事もない。生まれたときから姿形は変わることがない。
 人よりも魔力、力、速度等全てにおいて勝っている。
 この星や世界に限らず別の星や世界の知識までも保有している知識量。
 これらは私達が努力の結果得たものではなく、生まれたときから与えられたものだった。
 それらはこの星を守護するために与えられたもの。
 例えそれ以外のことに使うことができたとしても私達はそれを良しとはしないだろう。
 けれどこの星を守護するためならば何でもする。それが人を滅ぼす事になろうとも、この世界を滅ぼす事になろうとも。
 
「やはり、北のバランスがおかしくなっているね」
 あの事件――この星で初の私達と人の争い――から何百年とこの世界では小さな争いはあったけれど平和な日々が続いていた。
 最近になって各所からの定期報告に違和感が生じ、詳しく調査してみたら当たりだった。
 まだ私達が動かなければいけないほどの異変ではないけれど、警戒はしておかなくてはいけない。
 おそらく数ヶ月も経たないうちに人もこの異変に気がつくはず。
 できるだけこの世界の異変はこの世界の人の手によって解決されるべきなのだ。
 私達が動く事によって未来は結果の良し悪しに関わらず大きく変わってしまう。
 だからできるだけ動くべきではない。調査をするぐらいに止めないといけない。
 私達が異変解決に関わる事は最終手段なのだから。
 

「まだ眠っていなかったのか?」
「……兄様」
 私達は何事もなければ報告を受けるとき以外は眠りについている。
 中々眠りにつかない私の様子を確認しに起きてきたのだろう。迷惑をかけてしまったようだ。
「どれ……予想通り北のバランスがおかしくなっているな。まだ、気にするレベルではないと俺は思うけど」
 私が見ていた資料をちらり見て兄がそう言った。
「何か気になることがあるんだな、未来(ミク)には」
「……はい。ただ、その何かが何かは全く分らないのですが」
「俺はそういうのを察知する能力が低いからな。未来に任せるしかないが」
「まだ、私達が動いていい段階ではないと思います」
 兄様の言葉に間髪をいれずにそう返した。
「ですが、この事件が大きな事件に繋がる……そのような気がするんです」
 私はそうぽつりとつぶやいた。
「そうか。そうならより俺達が動くわけにはいかないな。だからこそ、気になるんだな」
「……はい」
 私はうつむきながら頷いた。せめてあの子から何か知らせがあれば……
「ミキからはまだ何も連絡ないんだな?」
「はい」
 あの子――ミキは全ての平行世界の自分と交信をすることができる。そしてそうすることで未来をシミュレートしている。
 私が巨大な隕石を落とそうとしたは彼女の一言があったからだった。
 あのとき私達はこの世界が滅びに向かっているのに気づいていたけれど動く気がなかった。
 私達が動く事で不測の事が生じるぐらいなら例えこの世界が滅んでもかまわない、そう思っていた。
 そんなときに現れたのがミキだった。
 私達に動いて欲しい、と、人類の敵となるような行動をして欲しい。その方があなた達が動かないよりよい結果に繋がる。ミキはそう伝えにきたのだ。そして、私達の返事を聞くことなく帰った。
 ミキのような存在がこの世界にいる事は知っていたけれど、実際に会ったのはあのときが初めてだった。
 今となって思うのだけれど、もし私達が動かなくてもどうかなったのだと思う。
 一度でいいから私達が動いたという事実が欲しかった。何となくそのような気がする。
 もし、あの事件の前の私が今の私を見たらこう言わずにはいられないだろう。
「あなた気が狂ったの?」
 私の変化には兄も気がついている。でも、そのことについて兄は何も言わない。
 私のこの変化。それがミキの求めたいたものなのだろうか。
 ミキは今、何をしているのだろうか。


 私は恵まれいる。
 必要なものは潤沢に与えられている。でも、ただ一つ、行動の自由はなかった。
 私は生まれたときは普通の人だった。普通の人だと思っていた。
 違うと気がついたのは何時だっただろうか。まだ、10年も経っていないはずなのに凄く昔のような気がする。
 ベッドの上で部屋にある日めくりカレンダーと時計を確認する。
 よかった。まだ、2日しか経っていない。
 これから進む未来はどの平行世界でも経験した事のない未来になるはず。
 漸くたどり着いたんだ。このまっさらな道に。今までどの私も達成することができなかったある悲願を達成できる可能性がある道に。
「失礼します。あら、起きていたのですね。おはようございます」
 ドアをノックし部屋に入ってきたのは、私の世話係も兼任しているヒジリだった。
「おはよう。さっき起きたところ」
 ヒジリにそう返すと彼女は少し驚いたように
「あら。本当にちゃんと起きているのですね」
 と、言った。
 私は平行世界の私と何時も交信している。
 どれくらいの魔力を交信にあてるかによって変わってくるのだけれど、50%以上あてると周りからは眠りながら行動しているように見えるみたい。この2日間は100%あてていた。
「ええ。ヒジリにお願い事があってね。間に合ってよかった」
 ヒジリは近くのうちに長期休暇に入る。そのときにお願いしたい事があるのだ。
「!?……なんでしょう?」
 私が軽い口調でそう言うと、ヒジリはビクと体を震わせた。
 私が直接お願い事をするという事がどういう事なのか理解しているからの反応だった。
「耳を貸して………………お願いできる?」
「ええ、それぐらいの事でしたら……」
 私のお願い事を聞いて疑問符を頭に浮かべながらもそうヒジリは返した。
 難しい事ではない、簡単な事。だから、何故私がそんなお願いをしたのか理解できなかったのだろう。
「じゃあ、お願いね」
 私はそう言うとベッドから立ち上がった。
 今回は私も色々動き回らないといけない。シミュレーション通りに事が運ぶ事は稀。
 折角たどり着いた道だ。できる限るの事はする。
「どこか出かけるのですか?」
「ええ。色々気になることがあるしね」
 ヒジリの言葉に軽い口調でそう返す。
「私以外の上層部の許可は……」
「とっていると思う?」
「でしょうね。又、彼ら頭抱えますよ?」
 ヒジリは私の返答に苦笑を浮かべそう言った。彼女も上層部の一員だけど、この頭の柔らかさは若さと出自にあるのかもしれない。
「まぁ、そんなの気にしない方向で」
 そう言うと部屋から出ようとするところでヒジリから待ったが入った。
「あ、この部屋以外では……わかっていますよね?」
「わかってるよ……これ…………で、いいん……で……zzz…………」
 私には膨大な魔力がある。自分でも制御できないぐらい大きな魔力が。
 ただ、その魔力の大半を平行世界の私との交信に使っている場合は問題ない。
 普通に外を歩くには90~95%ぐらいあてないと色々な弊害が出てくる。
 この部屋は結界が施されていて10%でも問題ないんだけれど。
 ただ、90~95%ぐらいあてた状態で出かけるのも問題があって……
 まともな会話ができないのは勿論の事。
「何時見ても、変な人にしか見えませんね。寝ながら歩いている状態ですからね」
 そう、その問題とは、私を見かけた人達が
「え、何、あの子、寝ながら歩いているの?……凄い、ちゃんと障害物避けているわ」
「何言ってるの? 気でも狂った? って本当だ。信じられない」
 と、いうような会話が行われるということ。そして、不審者目撃情報として上層部に報告が行く事になる。
 好んでそんな状態で出歩いているんじゃないよ。



《 Unknowns 了 》



【 あとがき 】
あーこの3名、作品に出してよかったのだろうか。というか、この話をMCで書いてもよかったのだろうか。(皆がついてこれるか的な意味で)
というわけで、一応、今まで書いてきた話と同じ世界観の話です。
3人はもし長編書いたとしても出てこないキャラだね
出たとしても、ちょい役で出るレベル。だって、反則キャラ何だもの。

実は年末から1月の中頃まで色々あって全く原稿書けず、いざ書こうとしたら風邪を引いた。
というコンボが発生したため色々問題があるかも。説明不足で意味不明だったり><
折を見て中盤以降書き直すかも


『忘れられた丘』 知

● COMMENT ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック:

http://misterycirclenovels.blog.fc2.com/tb.php/148-cf82c6fc
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

《 主婦とナイフと金木犀 》 «  | BLOG TOP |  » 《 The/Last/Command 》

プロフィール

MC運営委員会

Author:MC運営委員会
このブログの八割は、カボチャで構成されております。

カテゴリ

Mistery Circle(メインカテゴリ) (38)
寸評 (28)
MCルール説明 (1)
お知らせ (35)
参加受付 (22)
出題 (33)
メールフォーム (3)
内藤クンのおもちゃの部屋 (8)
天野さんの秘密の部屋 (8)
Ms.伍長の黙示録の部屋 (0)
伊闇かなでの開かずの部屋 (4)
未分類 (26)
亞季 (2)
いつき (1)
伊闇かなで (2)
空蝉八尋 (4)
黒猫ルドラ (11)
ココット固いの助 (20)
桜井 (1)
桜朔夜 (1)
鎖衝 (11)
知 (21)
しどー (11)
瞬 (3)
白乙 (12)
すぅ (13)
すずはらなずな (28)
田川ミメイ (2)
辻マリ (14)
夏海 (3)
七穂 (1)
氷桜夕雅 (29)
ひとみん (4)
松永夏馬 (12)
望月 (8)
幸坂かゆり (20)
李九龍 (12)
りん (3)
ろく (1)
Clown (12)
MOJO (1)
pink sand (9)
rudo (8)
×丸 (4)
MC参加者に聞け (7)
Mistery Circle ヒストリー (1)

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

検索フォーム