Mistery Circle

2017-08

≪ 言葉に蝕まれて生きる ≫ - 2011.09.11 Sun

≪ 言葉に蝕まれて生きる ≫ ※エッセイ

著者:幸坂かゆり



「ゲームの参加者には、命を懸けていただく。僕は確かにそう言ったはずだ」

現実世界において彼は無言だったが、そう言われた気がする。
今回私に出されたお題には上に書いたように「ゲーム」という言葉が入っている。
ゲームとはまさしく「お題小説」そのものだと思う。
そして私にとっては大げさでもなく、心も体も大きく揺り動かす作業。
だからこそ完成した時の圧倒的な達成感は何物にも代え難い。
やっと今在る感情から解き放たれた、と思う。

しかし、今回それができなかった。
言い訳以前にまず、きちんと次回は休みます、と返事をしなかった私が悪い。
なので書けないのでは、と、新しいお題が出た瞬間からうっすら気づいていた。
もちろん今まではこんなふうに書けない日が来るなんて思わなかった。
いつも何かしら最終的にはアイディアが浮かび、書けていた。書く事にも気楽さが伴っていた。
けれど今の私にとって小説とは「ただ心に浮かぶ」ものではない。アイディアは必要だけれど。
表現するだけのものでもなく書きたいと思う自らの感情という血肉を十分に消化し、創造し、
文章へと魂を焼きつけ、完成した暁にはその感情を手放せている事だと考えるようになった。
小説とは終わらせるものである。故に真実を書いていても事実ではない。しかし、嘘でもない。

世の中には書く人と書かない人に分かれると思う。
書かない人は生きている生活の中で無意識に設定を組み、物語を作っている。
「俺ってモテるんだよ」なんて言うのもその人の物語だろう。(失礼な喩えだが)
けれど口にして誰かに聞かせる事で、自らを開放しているのだと思う。
私は、はしくれながら物を書く人間だ(だったらどうして原稿を落とすのだ、というのはこの際抜きで)
語弊のある言い方だが、架空の物語を紡げる身であるのに、日常にいる時から物語を作るのは大変危険だ。
なぜなら唯一、剥き出しの自分が寄り添える場、というものを失くしてしまうから。
それはもう書く人間の性であって、書く事を無視し、愚痴を文字ではなく口にしてしまうと更に重くのしかかり、
自滅に追い込んでしまうのを理解しているのだ。
なので、最近はネガティブな言葉を吐かないようにしていた。

それから大事な事だが、物を書く人間は悪人でなくてはならない。
誰かの心すら書いてしまうかもしれないのだから。
少なくとも感情の開放と引き換えに、書いた事へ罪の意識を抱えなければならない。
そんな私はもちろん悪人で、あけすけな感情を隠し、心にひたひたと情念を抱えている。
何も言わず、物語にして復讐してみたり、恋を成就させたりして、主人公を通して、答えを見つけ、
仮の世界を創り、ラストを飾る。私なりにエンドマークを入れる事ができる。
私はきっと自らそんな人生を選んでしまったのだろう。

こう書くと、自分で人生を決めているかのように簡単な事に聞こえるが、実際は苦しい。
生きている以上、物語は終わらないのだから。
本音を口で言えない分、物語として再起させなければ「生きられない」
見たくもないのに、目は自分が傷つく事、楽ではない方を選んでしまう。
五感という五感すべてが、必要以上に研ぎ澄まされている日常なので、
なぜこの世に生まれてしまったのかと疑問を抱くほど強く不便な心を嘆いた。
けれど、私が書く方の人間だと判った時、受け入れるしかない、と思った。

もう、「そうしなければならない」
この言葉も今回、結の部分のお題に組み込まれている。
私自身のようだ。だからこそ今回、物語は書けない。
まだ創れるほど、今在る感情への落とし前のつけ方ができていないからだ。
私にとって心の内側から物語が生まれ、アイディアを補充し、魂を吹き込み、完成した時、
やっとリハビリを終え、病院を後にする気持ちに似ている。

たった今、私の心は膿んでいる。どうしようもなく心がぐらぐらと動いている。
けれどまだまだ膿まなければならない。そして泣きながらその膿を手放したいと思う。
その時、新ためて小説を書かなければ、という衝動に突き動かされるのだろう。

そんな訳で、
今回、エッセイという形をとったけれど、こうしてでも書くという事で「言い訳」が必要だった。
私はどんなふうに形を変えても、こうして「言い訳」ですら、文章として残したかった。
書く事に蝕まれながら生きるのだ。たった一行であっても、つぶやきや囁きであっても。

それはもう、どうしようもなく。そう。どうしようもなく。



《 言葉に蝕まれて生きる 了 》



【 あとがき 】
勝手にエッセイにしてしまってごめんなさい!
書けませんでした!本当にごめんなさい!
これは長い言い訳です。しかもなんかカッコつけてます。ああ・・・。

『 L'oiseau Blue 』 幸坂かゆり

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