Mistery Circle

2017-08

《 キララきらきら 》 - 2011.09.01 Thu

《 キララきらきら 》

著者:rudo




「じゃああ ……ヒントね」

何がヒントだ ばかやろうっ
そう思ったけど 黙っていた。

 「えーとねぇ おすもうさん。 ……かな?」

そういって キララは青白い顔でうれしそうに笑う。

クイズをしている場合ではない。
キララは今朝、一ヶ月前にもぐりの医者で
受けた堕胎手術の予後が悪く
突然出血して救急車で運ばれた。

キララのつきあいのある相手でおすもうさんとい言えば
ここ半年くらい、三日とあけずに飲みに来るあいつしかいない。
通称「ゆきおちゃん」。

お相撲さんのように大きな体。
丸い顔。
いつもニコニコとして穏やかな顔をしているが
怒るとものすごくこわい。

実際 ゆきおちゃんを怒らせて病院送りになったのは
一人二人ではない。

笑いの消えたゆきおちゃんの顔は
それはそれは恐ろしい
糸のように細くゆるく笑っていた目は
剃刀の刃のようにするどく相手を見据え
有無をいわさず 殴る。

殴って殴って
倒れると 蹴って蹴って蹴って
もう相手はすでに戦意も無く
ただひたすら頭をかばって丸まっているしかない。

そうなると女と自分の取り巻きには寛容な人だが
もう誰も止められない。
警察を呼ぶしかない。

早く呼ばないと本当に相手は死んでしまうから
ゆきおちゃんから笑いが消えたとたん
仲間はすぐに警察に電話をするのだ。

やってきた警官にさえ殴りかかり
蹴りをいれ、つばを吐く。

「いつの間にそんな関係になっていたの?」

私とキララの働くスナックでは
店の外で客と深く付き合うのを禁止している。

それは本当に不思議だった。
私とキララはほとんどの時間、いっしょに過ごしているし
仕事のあと焼肉に行ったり 
カラオケに行ったり
もちろん一緒だ。

相手に内緒で男と二人になるのは至難の業で
いきおい 誰とどれくらいのつきあいがあるとかは
お互い ツーツーのはずなのに。
キララはいつも いつのまにか
驚くような相手と深くつきあっている。

「今日のこと、ゆきおちゃん知ってるんでしょうね」

キララはちろっと舌を出して目をくるりとまわす。
キララの照れ隠し。 得意な顔だ。

かわいぶってる場合かっ ばかやろうっ

「あのね。キララ、あんたの体調はものすごくよくない。
 ゆきおちゃんにはそれ相応のことをしてもらったほうがいい」

「そんなこと……いえないわ」

なぁにが いえないわ だっ ばかやろうっ

「もう二度と子供ができないんだよ。
 それどころか 今もまだ出血が止まってないんだよ」

「…… でも いえないわ」

「じゃあ 私が代わりに 言ってくるよ
 何もしてくれなくても 体を壊してるんだから
 お見舞いくらい当然でしょう」

「お見舞いならもうきたし……」

「いつ?」

「さっき」

さっき? さっきって? 
さっき私が病室に入ってきたとき居たのは?
入れ違いに あわてて帰っていったのは?
店のあと ふたりだけのとき よくいく焼き鳥屋のけんちゃん。

「けんちゃん……だよねぇ?」

「そうよ」

「私は ゆきおちゃんのことを言ってるんだけどっ」

「そうよ。 あなたには正直、本当の事 話しただけ」

「えーと 待ってよ どういうこと?」

「……」

キララが一番かわいく見える 笑顔。
少し上目遣いで 受け口で……

だけど この顔でいうのはいつも ろくな話じゃない。

何かのおねだりとか
人に尻拭いを頼むときとか

悪気はなかったのよ 許してね。

そういうときに使う顔だ。

「つまりね。 堕ろしたのはけんちゃんの子だけど
 けんちゃんの子じゃないの」

「…… ゆきお……ちゃん……?」 この女っ
この女とんでもねーっ

「……そういうことかな……
 でも ないしょにしてね 
 けんちゃんも別に疑ってないし 
 仕事の休みの間とか全部面倒見るっていってるし」

「そんな……だって
 それにしたって 体のことだって……」

「あー。 えーとね」

「……」

「子供ができないとか 出血が止まらないって
誰に聞いた?」

「誰って…… さっき入れ違いに けんちゃんに……
 けん…… えっ? えっ えっえっ?」

「できないじゃなくて できないかもって言ったんだけどね」

「じゃあ……」

「うん。 特に問題ないみたい。
 今回 倒れたのはただの貧血だし
 出血はしてるけど これもねぇ……」

急に声を落として 私の耳に口を近づける。

「せ・い・り」

「!!!」

「うふふ」

「うふふって……」

「だからね 何も心配しなくて大丈夫よ」

「そんなの すぐバレルでしょうっ
 けんちゃんが医者に直接聞いたら一発じゃないっ」

「そのときは その時」

そういって笑うキララの顔は
かわいいと評判の とっておきの笑顔。

だけど私にはふてぶてしく開き直るただのおばさんに見えた。



《 キララきらきら 了 》



【 あとがき 】
何も思いつかず… いつものことだが…

ぎりぎりで… これもいつものことだが…
もう落とそう。

落としてもいいと天の声さえ聞こえ…

だけど なんとか
「まあ いいか」 とにかく書いただけでよしとしようよ♪

『 すみねこ屋 』 rudo

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