Mistery Circle

2017-08

《 失みフ辞 》 - 2012.07.05 Thu

《 失みフ辞 》

 著者:知








「俺の大好物だよ」
 一見優しそうに見える男のその一言で同じ部屋にいた他の三人は凍りついたかのように身動き一つ取らなかった。
 それは一日目の夜になり数時間が経った頃の出来事だった。

 何故、男のその一言で他の三人は固まってしまったのだろうか?
 一日目の夜になったばかりまで少し時を戻してみることにしよう。

??:「あおーーーーーーーーーーーーーーん」
??:「あー狼か」
??:「これで三連続狼……」
??:「よし、狼引けたこれで勝つる」
 夜になり己の役職が狼だと分かった瞬間に狼各々がそう発言した。
??:「この感じだと、人狼が初めての人はいなそうだな」
 仲間の発言内容を見て、狼の一人がそう発言した。
??:「俺はCGI版の人狼は結構やっているけれど、ここだと狼になるの初めてだわ」
 その発言に対し一人がそう返した。
??:「本当の意味での初心者はいない感じか。じゃあ、騙り役は希望者がいたらその人に任せればいいかな。だれか、騙りたい人いる?」
 その発言に対し
??:「じゃあ、俺が騙るわ」
 ここだと狼になるのが初めてだと言った狼がそう返した。

 知っている人なら彼等が何をやっているのか分かるだろうが分からない人のためにここで軽く説明を入れよう。
 彼等がやっているのは『汝は人狼なりや?』というゲームで、ネット人狼と言われている物の一種である。(人狼自体は最近、スマートフォンを使った人狼のアプリが出たり、テレビ番組で人狼をやったりしているので知っている人も多いかもしれない)
 ただ、ネット人狼と言ってもいくつも種類がある。大まかにはチャット形式、掲示板形式などがあり、チャット系でもCGI系、PHP系などに分かれる。
 又、同じ系でもサーバーによってはルールや役職に違いがあったり、ルールに関しては全く違ったりするサーバーもある。
 ネット人狼と言っても、スカイプのボイスチャットを使った人狼になると元々のパーティ・カードゲームである人狼に近くなり色々な違いが出てくる。 彼等はCGI系の一種であるわかめて鯖やるる鯖で使用されているスクリプトや配役、役職、機能を元に作られた仮想現実上で行われている人狼――VR人狼に参加している。
 このVR人狼は便利な事に、音声と文字の両方で会話をすることができ、そのログは日ごとに保存されゲーム中でも見ることができる。そのログを見直すことで色々推理する事も可能なのだ。

??:「そういえば、噛み役は誰がするんだ?」
??:「あー18猫だし、猫いるから騙り役が噛む訳にはいかないからな」
??:「ああ、俺がやるよ」
 噛み役になった狼の言葉に一人の狼が自分がやるとそう返した。
??:「そういえば、VR人狼だから食べたらやはり味するのか? 吊られるときも若干の痛さというか苦しさあるしな」
 騙り役の狼がそう発言すると
??:「勿論、味がするぞ。しかも、アバターによって味が違う」
 噛み役の狼がそう返事した。
??:「おお、細かいなぁ」
??:「噛まれる人がノリのいい人なら、噛まれる直前に色々芝居をやってくれるのも中々面白い」
??:「そうなのか。今度狼になったら噛み役やってみようか」
??:「VR人狼の噛み役は嫌がる人もいるからな。俺以外にも噛み役を快く買って出る人が増えるのは嬉しいぜ」
??:「あー噛み役嫌がる人、多いのか。アバターがロリっ子――例えば、今回の初日先生みたいなアバター――とかだと確かにためらいそうになるよな。嫌がるのも分からないでもないか」
 騙り役の狼が発した言葉に対する噛み役の狼が発したのが、三人を凍らせた言葉なのだ。
??:「ロリっ子? ああ、俺の大好物だよ」
 時間にして約一分ぐらい凍りついた後
??:「そ、それはどういう意味で?」
 一人が何とかそう発言する事ができた。
??:「味が好みという事だが」
??:「……そ、そうだよな」
??:「まぁ、ロリっ子が襲われる瞬間のあの脅えた表情もそそるものがあるがな」
??:「へ、変態だー!」
「別にリアルだとそういう趣味はないから問題ない」
??:「そういう問題なのか?」
??:「折角の仮想現実なんだから、リアルで到底できない事を楽しむのはありだと思うが」
??:「それはそうだが。何かずれた発言のような……」

 狼がそんな雑談をしていたとき
??:「狼、元気がいいな」
??:「これは狼二騙りを警戒した方がいいかもしれないな」
 狼の夜の発言は『わおーん』という吠えに変換され狼以外にも見えるのだが、それを見て共有の二人はそんな事を言い合っていた。

 夜明けが近づいたのでここらへんで説明をしたいと思う。
 先ずは陣営の紹介から。
 人狼は先ずは『狼』陣営と『村』陣営に分かれる。基本、人狼は『狼』陣営と『村』陣営のどちらが生き残るかを争うゲームである。
 各陣営には役職があり、その役職の紹介をする。サーバーによっては各陣営に多くの役職があるが、今回は話に出てくる役職だけ紹介する。
 狼陣営の役職は『人狼』と『狂人』がある。
『人狼』は夜の間に他の人狼と協力し村人を一名殺害する(噛む)事ができる役職である。仲間の狼が誰かを知る事ができ、夜は狼だけにしかわからない遠吠えで互いに会話することができる。
『狂人』は簡単に言えば、狼陣営に属する村人である。ただ、勝利条件の計算時には狂人は村人の一人として数えられる事には注意しないとならない。
 後述する村陣営の役職を騙ったりすることで村の連携を崩し狼を勝利に導くのが役割である。その役割から狼陣営の勝利の場合でも生きて勝利することはあまりない。因みに狼は狂人が誰か分からず、狼の夜の会話の内容を見ることはできない(サーバーによってはこの狂人の欠点をなくした役職があるところもある)

 村陣営の役職には『占い師』『霊能師』『共有者』『狩人』『村人』がある。
『占い師』は任意の対象を一人を選択して『村人』か『人狼』かを調べることができる(調べなければいけない)役職である。今回の話に出てくる役職だと占って『人狼』と判定が出るのは『人狼』だけであり、他の役職は全て『村人』と判定が出る(『狂人』も後述する『妖狐』も『猫又』も村人判定である)
『霊能師』は処刑された対象が『村人』なのか『人狼』なのかを調べる事ができる役職である。判定に関しては占い師と同じである。
『共有者』は二名以上で構成され、共有者同士、誰が共有者なのかが分かり夜時間に会話をすることができる役職である(設定によっては共有者の夜会話ができない事もある)。夜の会話は共有以外に見ることはできず人狼のように「あおーん」等と表示されることもない(サーバーによっては表示される所もある)
『狩人』は任意の対象を一人選択して人狼の殺害から護衛することができる(護衛しなければならない)役職である。護衛先が狼の殺害対象になると殺害を防ぐ事ができ、死体なし(平和といわれる)が発生する。死体なしが発生した場合は護衛に成功したか、妖狐を噛んだかである。
『村人』は他の役職と特殊能力がない役職である。ただ、能力を持った村役職は他陣営が騙ることがあるため、誰が本当の役職かを推理しなければならない。

 ここまで狼陣営と村陣営の役職について説明をしたがその中で説明していない役職が登場したのでその役職について解説しよう。
『妖狐』は妖狐陣営という第三陣営に属する役職であり、人狼の殺害対象になっても死なないが占い師に占われると死ぬ(呪殺される)のが特徴である(ゲーム内では呪殺は銃殺と言われるが、これは「じゅさつ」とタイピングするとこれが出てくるからである)
『猫又』は村陣営の役職であり、処刑されるとランダムで誰かを道連れにし、人狼に殺害されると殺害した人狼も一緒に死亡する。(設定によっては他に蘇生能力もあるがこの話だと蘇生能力はなしなので説明は省略する)

 次に各陣営の勝利条件について説明をする。
 村陣営の勝利条件は、村内にいる人狼の数を0にすることである。(狂人は人狼の数に含まれない)
 狼陣営の勝利条件は、村人の数が人狼の数と同数以下にすることである。(狂人は人狼の数に含まれない)
 妖狐陣営がいない場合は勝利条件は単純であるが、妖狐陣営が加わると少々ややこしくなる。
 それは妖狐陣営の勝利条件が他陣営が勝利または敗北条件を満たした時点で、生存している事だからである。簡単に言うと、村人または人狼が勝った時に生きてれば勝利ということである。その為、妖狐陣営がいる場合は他の陣営の勝利条件に「狐が死亡している事」が追加される。
 しかし、狐は狼に噛まれても死なず、占い師に占われるか処刑されない限り死なないため、村陣営と狼陣営にとって厄介な存在であり、その立ち位置から狐はバランサーといわれる事もある。

 説明はこれぐらいにして二日目朝の村の様子を見てみよう。
システムメッセージ『この村の配役は村6/狼4/占1/霊1/狂1/狩1/共2/狐1/猫1だよ』
システムメッセージ『第一犠牲者は無残な姿で発見されました』


ヤス「す、すぐ裏の道で、人が一人、倒れとります。じ、人狼は本当にいたんだ」
顔文字「第一さん、あなたの犠牲は無駄にしない(`・ω・´)ゞ」

 などという、定番の台詞や挨拶が行われた後、
朱里:「占いCO ヤスさんは○でした」
正一:「占いCO 顔文字さんは○」
イワン:「占いCO 朱里さんは○だったぞ」

 我こそが占い師だという人が三人現れた。COはカミングアウトの事で、私は占い師ですという事で「~さんは○」の○は村人判定だったという事を示している。狼の場合は●と表現する。

ミク:「占い3人で、イワンさん視点、朱里さんは狂人だね。霊能と共有出て欲しいな」
イワン:「いきなり、狂人占ってしまったか、幸先が悪いな」

 と、占い先に関する感想や、霊能や共有が出ることを促す発言が行われた後

やよやよ:「共有CO 相方生存。相方が出るかは相方に任せるよ」
聖数72:「霊能CO」

 共有と霊能がCOした。

吸血鬼:「3-1-1か。何の変哲もない出だしだが、霊能のCOが少し遅かったのは気になるな」
 吸血鬼が霊能についてそう言うと、それに反応する人がいた。
さえ:「吸血鬼さん、何が気になるのん?」
吸血鬼:「いや、COが遅かったから霊能欠けと見て出た人外、狂人か狼に見えてな。そうだとしたら、ほぼ狐騙りか狼二騙り確定だがな」
聖数72:「あー俺のCOが遅かったせいで村に余計な不安を与える事になってしまったか。すまん」
さえ:「なるほどなぁ。猫有村で狼が一匹多いさかいな。でも、狐の霊能騙りは考えてへんの?」
吸血鬼:「いや、それは余程上手くやらない限り狐の自殺行為だし、上手くやっても勝てるかわからない作戦だし、今考える必要はないだろ」
さえ:「せやけど、それ言うたら、3-1-1で欠けをいきなり考える必要ないことちゃいますか?」
吸血鬼:「俺もマジで欠けを考えているわけじゃない。ただ、3-1の霊能は信用されやすい傾向にあるからか、あまり考察残さない人が偶にいるからな。その牽制も兼ねただけだよ」
さえ:「なるほどなぁ。それならまだ納得かできるかなぁ」

 そんな会話が行われ、時間が経ち、誰を処刑するか決める投票の時間が近づいてきた。

やよやよ:「わかっていると思うけど、今日はグレランね」

 共有の言葉に全員が了解し、二日目の夕方、投票時間となった。

システムメッセージ『ロミさんは村民協議の結果、処刑されました』

 これが一日の流れになる。
 この一日の中でも専門用語が出てきたので解説しよう。
 3-1-1、これは『COした占い師の数-COした霊能師の数-COした共有者の数』を示す。日にちが進むとその後にCOした狩人の数やCOした猫又の数が追加される事もある。
 欠け、これは役職が欠けていることを示す。霊能欠けなら霊能師がいないということである。欠けた役職はどうなっているのか、それは第一犠牲者がその役職になっていたのである。第一犠牲者がいる村では初日夜、狼は第一犠牲者しか噛めない仕様になっていて、第一犠牲者は村人/占い師/霊能者/狩人/共有者/狂人の中からランダムで役職に就くため、いずれかの役職が欠ける事になる。ただ、共有者になった場合は相方がいるため第一犠牲者のついた役職がわかるので、欠けなしと言われる。
 グレラン、これはグレーランダムの略で暫定白・能力者以外の村人を対象に各自の判断で投票することを示す。

 
 さて、二日目の朝で言い合いをしている二名がいたが、

さえ:「ちょっと、あからさまにやりすぎたかなぁ?」
吸血鬼:「いや、OK。そう、不自然ではないよ」

 実は二人とも狼なのである。
 わざと言い争っているように見せるというのも狼の戦術である。狼同士が疑い合ったりすることをライン切りという。

吸血鬼:「さて、今日はどこ噛む? 個人的にはロリっ子噛みたい」
イワン:「ロリっ子、というとミクちゃんか……一応、聞くか、理由は?」
吸血鬼:「ロリっ子が大好物だからb」
イワン:「ですよねー」
吸血鬼:「まぁ、冗談は置いておくとしても、ここ狩か狐ある位置だと思っているからね。他に噛みたい位置あるなら噛むよ」
さえ:「じゃあ、伊織さんお願いできます? ここ狩人臭くて」
吸血鬼:「確かにそこ、狩人臭いよなぁ。狩人を臭わせた猫の可能性も否定できないけれど」
コーヴィー:「んーログ見た感じだと、わざとというより失言という感じがするなぁ」
吸血鬼:「よし、じゃあ、伊織さん噛むぞ。体格いいし、食べ応えありそうだ」
イワン:「了解。明日も適当に○出していくわ」


 さて、三日目の朝になるのだが、三日目は死体なしもなく、占いも○しか出さなかったので省略する。
 そして、四日目の朝だった。

システムメッセージ『平和な朝を迎えました』

コーヴィー:「お、平和。狩人GJか?」

 死体なしに村が沸き立った。

やよやよ:「GJなら占い噛みの平和。狐噛みならグレー噛みでの平和とみようか。今日は指定するよ」

 平和が出たためか共有は吊り先を指定し、そこが処刑された。

 五日目の夜。
吸血鬼:「狩人生存か」
 そう、狼が噛もうとしたのは占い候補だったのだ。
コーヴィー:「一応、狐の可能性もあるけれどな」
吸血鬼:「その可能性は否定できないけれど、その可能性は後になってから考えようぜ。取りあえず、狩人っぽいところを噛まないと……やはり、ここはミクちゃんを噛むしかないな(キリッ」
さえ:「確かにそこは狩狐の可能性が高そうやなぁ」
コーヴィー:「猫の可能性もありそうだが……共有や霊能噛んでお茶を濁す手もあるが」
さえ:「それするぐらいなら、冒険しましょ? 猫噛んでもそれほど悪い状況にはならへんし」
吸血鬼:「OK。では、ミクちゃん噛むぜ。ヒャッハー」
イワン:「了解。俺は銃殺対応をぎりぎりまでやっておくぜ」

システムメッセージ『ミクは無残な姿で発見されました』
システムメッセージ『吸血鬼は無残な姿で発見されました』

ヤス:「す、すぐ裏の道で、人が二人、倒れとります」





《 失みフ辞 了 》





【 あとがき 】
 ミクと吸血鬼が霊界に言った後すぐの霊界ログ。

ミク:「よし、狼を道連れにしたにゃ♪」
吸血鬼:「まさか、ミクちゃんがみくにゃんだったなんて……失望しました。みくにゃんのファンやめます」
ミク:「にゃ、にゃんでそうなるにゃーーーーーーーー!!!」

 ミクの中の人、意外とノリがよかったようだ。
 因みにミクのアバターは緑髪のツインテールだった模様。


 あーすまん、今回もこんな話なんだ。
 最初は別の話を考えていたのだが、この話が思い浮かんだのでこれにした。反省はしているが後悔はしていない。
 というか、最初に考えていた話の方がある意味酷かったかもしれない。
 
 無駄にVRの設定を考えてしまったので、その内に、VRを使った話を書くかもしれない。
 取りあえず、MC50回企画に集中します。探さないで下さい。


【 その他私信 】
 タイトルの意味はググればわかる(はず)


忘れられた丘  矢口みつる(知)
http://wasureraretaoka.blog86.fc2.com/


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