Mistery Circle

2017-08

《 俺の○○がこんなに××なわけがない 》 - 2012.07.06 Fri

《 俺の○○がこんなに××なわけがない 》

 著者:謎の南瓜仮面(貳)







「いや、だからさ。何でさっきからブラウスの前をはだけようとしているのか、ってことを訊いているんだけど」
 今、俺の置かれている状況を簡単に説明してみよう。

 女性――仮にAという名前にする(なぜ仮名でこの女性の事を呼ぶかって? 色々事情があるんだよ。察しろ。別に名前を知らないわけではないからな)――が俺の部屋に入ると徐にブラウスの前をはだけようとする。
   ↓
 それを阻止するために俺が適当に話を振る。
   ↓
 Aは俺の振った話に律儀に答え、俺との距離をじわりじわり詰め寄りながらブラウスの前をはだけようとする。
   ↓
 それを阻止するために俺が適当に話を振る。
   ↓ 
 これを3回以上繰り返す。
   ↓
 このままでは色々な意味で危険だと、溜息混じりにAに「何でさっきからブラウスの前をはだけようとしているの」って訊く。
   ↓
 Aが「ん? なぁに?」と甘い声で返す。
   ↓
 冒頭の台詞を言う(←今ここ)

 こういう状況である。
 いや、Aからどういった類の言葉が返ってくるのかはわかっているんだが……

 Aは数秒、小首を傾げながら人差し指を唇の端にあて考える仕草を見せた後、眩しい笑みを浮かべながらさっきよりも甘い声で

「子・づ・く・り・しましょ♪」
「へ、変態だー! 出てけ、今すぐこの部屋から出て行けYOOOOOOOOOOOO」
 予想以上に直接的な言葉が返ってきたので、ベッドの周りに置いているぬいぐるみをAに投げながらそう叫んでしまった。
 ぬいぐるみは俺が好きだからベッドの周りに置いているのではなく、変態的行動を取ったAに投げつけ追い返すために置いているのである。
 いくら変態と言っても女性である。傷つけてはいけないのだ。
 ん? 追い返すための準備を整えるほど頻繁にくるのかって? 
 勿論だ。大体、一ヶ月に一回の間隔で……って一ヶ月に一回!?……しかも、Aのさっきの台詞……ここから導き出せるものは
「……ま、まさか……」
「あら、ばれちゃった? そうよ、その通りよ!」
「……くっ、ということは今までも……」
「ええ、危険日ど真ん中よ!」
 何故か勝ち誇ったように力強くAはそう言った。ばばーんと効果音が聞こえたのは俺の空耳であって欲しい。
「へ、変態だー! で、で、で出てけ、今すぐこの部屋から出て行けYOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!11」
 思わずそうさっきよりも大声で叫んでしまった。ご近所さんに聞こえていないか心配である。
「……これでもダメなんて。どうすれば私の夢は叶うの……よよよ」
 Aは泣き崩れたがここでほだされてはいけない。甘い所を見せると食われてしまう(性的な意味で)
 こんな変態に捧げる童貞はないのである(勿論、Aには俺が童貞である事は知っている)
「なぁ、もし俺が童貞でなくなった……」
「ん? 何? 童貞を捧げたい子が現れたの? それなら私に任せて。一月の間に私がその子を堕として連れてくるから3……」
「黙れ、黙れよーーーーー」
 俺の言葉を遮って言ったAの言葉を叫んで遮った。これ以上はいけない。
 くそっ、予想の斜め上の言葉が返ってきやがった。女もいけるのか。又、知らなくていい事実を知ってしまった。
「かわいい女の子が背徳感にさいなまれながらも堕ちていく姿……それはもう……」
「うおーーーーーーーーーーーーーーーー」
 これ以上、Aの言葉を聞いてはいけないと、両手で両耳をふさぎ首を横に振りながら叫んだ。
「話は変わるけど……」
「……何さ」
 そんな俺の様子を楽しそうに眺めながらAの言った言葉にそう返すと、
「ネコの友達が彼氏に振られて自棄酒に付き合ったら、酔った勢いで互いに突き合う(誤字じゃないわ)ことになって、その日以降、ネコの友達が立派な両刀……」
「話の方向性が全く変わってねーーーーーー」
 Aの知り合いには変態しかいないのか。いや、待て、それだと俺も変態という事になってしまう。
 落ち着くんだ、俺。落ち着くんだ、俺。
 Aは俺の様子を見ながら微笑んでいる。
 そんなAを見て思わずため息が出てしまう。中身はあれだけれど見た目は清楚なんだよなぁ。
 俺も騙されていたし。
「ため息を吐くと幸せが逃げるわよ」
 誰のせいだ、と言いたいところだがここは堪える。
 見た目は清楚だし、スタイルもいい。だから、Aにほのかな恋心、というか、下心を抱いていた友人も数名いた。
 具体的には5人……ん? 待てよ?
 地元に残った友人は12人。その中に5人全員いる。
 そして、大学に入ってから数ヶ月、一度も会っていない友人は6人。その中に5人全員いる。
 その時、俺に電流走る……!
 ま、まさか……
「なぁ、最近、あいつらに会ったか?」
 思わず、そう問いかけてしまった。
「あいつらって?」
「ほ、ほら。あいつら5人だよ……」
 頭が空回りして5人の名前が口から出てこない。
「5人……ああ」
 Aはそう言うと、妖艶に微笑み、
「全員、中々の美味しさだったわよ」
 と、言った。
 くそ、今日の今日までそこまで頭が回らなかった俺が間抜けだった。
 Aの毒牙に全員かかっているとは。
「因みに『きのこ狩りの女』という私の大学での呼び名。それをあなたが知る前に3人、私の毒牙にかかっているわ」
 ……自分で毒牙っていうのかよ。
 ん? 待てよ……大学に入ってから一度も会った事がない友人の残る一人、それは女の子なのだが……
 まさか、いや、彼氏がいたはずだ……待てよ、確か彼氏は遠くの大学に……
「ま、まさか……」
 俺がそうつぶやくと、
「ふふ、あなたのような勘のいい子は好きよ」
 と、微笑んだ。
「長距離恋愛で精神的に参っているところで軽く背を押したら簡単だったわ。知ってる? あの子、普段は気が強いけれどベッドの……」
「わぁーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 叫んでAの声が聞こえないようにする。生々しく想像してしまうから嫌なんだよ。友人のそういう話を聞くのは。
 しかし、これ以上、友人が毒牙にかからないように対処しなければいけない。
 そう、思いながらAの様子を見ると、微笑みを浮かべていた。
 既に全員が、ということは、ない……よな?
 流石にそれを聞くことは怖くてできなかった。

 Aがこういう奴だ、という事を知ったのは今年の五月だった。
 俺の部屋に入るやいなや
「前後おおおん♪ しよ?」
 と、言ったことが契機だ。
 思わず、「ごらんの有様だよ!!!」と叫んでしまったのは仕方がないことだ。
 そのときの会話で、
「流石に自慰をした事がない天然記念物レベルに無垢な○学3年生の男の子の自慰を手伝ったときは何かに目覚めそうになってやばかったわ。真っ白なものを汚すあの背徳感、あれはやばいわ」
 とか、言ったときは心の底から
「へ、変態だー!」
 と、口をダイヤ状にして叫んだものだ。飽くまで自分からは手を出さない、とは言っていたが変態は変態だ。
 あ、ずっと聞こうと思っていたことを思い出した。
「かなり今更だけどさ、何時の間にエロゲネタとかに詳しくなったんだ? 全く興味なかったよな」
「確かに今更ね……前に付き合っていた彼がオタクだったというだけよ」
 俺の疑問にAはそう返した。
「彼だって!?」
 珍しい言葉が聞けた。
「ええ、唯一ちゃんと付き合った人よ。結婚してもいいかなってぼんやりと考えていたわ」
 更に思いもよらない言葉が聞けた。
「……因みに俺は?」
「あなたの赤ちゃんが欲しいのぉーー」
 体をくねらせながらそう即答した。
「だって、結婚とかは色々障害が、ねぇ?」
 俺が冷めた視線を送っていると、肩を竦めながら言った。
 いや、それ俺の子を孕むのも色々問題や障害あると思うよ、うん。
「そんな奴がいたのか……」
「信じられない?」
「いや、信じられないというかどんな人物か気にはなる」
「あら、あなたも一応は知っている人よ?」
「なん……だと」
 又、予想外の言葉が飛び出した。
 俺の反応を見ると、くすくすと笑いながら俺の本棚から一冊の本(ラノベ)を取り俺に渡し、
「これの作者よ」
「あ、あんですとー!」
 今日は驚いてばかりだ。Aはこういう事で冗句を言う人ではない(というか、冗句であって欲しいことが殆どであるが)
「そういう分野に興味は全くなかったんだけど、彼の作品には引き込まれてね。付き合うことにしたのよ」
「……もしかして、あのキャラは……」
 このラノベにはサブキャラにA彷彿させる凄く破天荒な女キャラがいるのだ。
「ええ、私がモデルよ。販売後にモデルとして使った、と連絡が来たわ」
 と、珍しく苦笑いを浮かべ言った。
「別れてからも連絡とっているのか」
「ええ。別れたのも私と付き合ったときの作品が彼らしさを失ってしまっていたからだからね。友人として偶に一緒に出かけたりしてるわ。最近は忙しくて会ってないけれど」
 そうか、彼と今でも繋がりがあるのか……
「……もしかして、彼に会ってみたい?」
「うぐっ」
 表情から俺の考えていた事がばれたようだ。
「会えるように都合つけてもらえないかぐらいは聞くことできるわよ。もし、会うとしても私と一緒になるだろうけれど」
 凄く魅力的な言葉……だが……
「ああ、それを恩にきせて迫る事はしないわよ。私のポリシーに反するし」
 そ、それならば
「お、お願いします」
 俺は深々と頭を下げてそう言った。
「了解。さて、彼にあなたのことを私の何と紹介しようかしら?」
「いや、普通に弟でいいだろ」
「それでは、普通すぎて面白くないじゃない?」
「いやいや、そんなのに面白さとかいらないから」
「そう? 残念。彼から連絡がきたら知らせるわ」
 A……もとい、姉はそう言うと俺の部屋から出て行った。
 姉じゃなかったら、俺もとっくの前に毒牙にかかってしまっているのだろうな、そんな事を考えながらレポートの続きを書き始めた。





《 俺の姉がこんなに変態なわけがない 》





【 あとがき 】
 Q.こんな作品で大丈夫か?
 A.大丈夫ではない。問題ばかりだ。

【 独り言 】
 MC50回記念の原稿が進まないストレスからこんな作品ができあがった。
 うん、色々末期だ……


 謎の南瓜仮面(貳)



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