Mistery Circle

2017-10

《 滅びの巫女 》 - 2012.07.07 Sat

《 滅びの巫女 》

 著者名:知







 この国にはある有名な民話がある。
 口承だからか地域によって違いはあるが、ある巫女に関する話であること。その巫女が前文明を滅ぼしたこと。そして、その巫女は今も生きているということ。この三つに関しては共通しているのだ。
 ただの伝説だ、と思っている人も多いが、命知らずの冒険者や前文明について研究をしている学者など、彼女がいるとされている遺跡に挑む者は実際に少なくなく、挑んだ者は行方知らずになったか命辛々逃げ帰ったかのどちらかであり、彼女の元に辿り着いたものは一人としていない。
「しかし、遺跡の途中までの地図が秘かに出回っているのは、どうなんだろうな」
 俺はその地図を見ながらそうつぶやいた。
 おそらく、挑んだ学者の誰か――複数人の可能性もあるが――が記したのだろう。精緻に記されていて、地図に記されている場所までは比較的安全に行ける。とのことだったが、確かにそうだった。罠や仕掛けなどはあったけれど、予め分かっているのといないのでは危険度が全く違う。
「この遺跡を実際に見ると、前文明があって今とは比べ物にならないほど発達していた、というのが分かるな」
 壁を軽く叩きながらそう呟いた。
 おそらく金属なのだろうが俺の知る金属とはまるで違う。
「はぁっ」
 槍で壁を薙ぐとあっさり切れるが数秒後に自動的に修復され……いや、あまりにも手ごたえがなさ過ぎる。
「せやっ」
 壁を突いてみるとあっさりと穴は空いたが槍を引くと穴はすぐに塞がった。またしても手ごたえはない。
 勘違いではなさそうだ。
「生きているかのように攻撃を避ける金属か……」
 本当にこの遺跡は金属でできているのだろうか。金属に見えるだけで生命体なのではないか。色々な考えが頭の中を駆け巡る。
 けれど……
「……行くしかないんだ。巫女の下に辿り着かなければいけないんだ」
 俺はそう自分に言い聞かせると、奥へと足を進めた。

『去りなさい。命が惜しいのならば』

 どこからか声が聞こえた。まだ若い女性の声だ。この声の持ち主が巫女なのだろうか。
「確かに命は惜しい。しかし、俺にはあなたの元にどうしても辿り着かなければならない理由がある。そう、例えこの身がどうなろうと生きてあなたの元へと」
 前文明には声を記録する技術があったから、さっきの言葉は記録されたものなのかもしれない。
 けれど、俺はそう返した。

『……そう……御武運を。今までの人達と同じ事にならないのを祈っているわ』

 俺の言葉に対しそう返ってきた。この遺跡の奥に誰かがいることは間違いない。そして、この遺跡は間違いなく前文明のもの。
 これから先へ行き生きて帰ったものはいない。気を引き締め前と足を進めた。


 本来なら何度命を落としていただろうか。
 扉の前に着くと、俺はそんな考えても仕方ない事を考えた。
 全身に無事な箇所はなく生きているのが不思議なぐらいであり、今にも命を落としてもおかしくない状態だった。そんな状態にも関わらずゆっくりではあるが歩くことができている。
 数度危うく命を落とす所だったところを運よく生きながらえた後、俺の中で何かが変わった。
 職業柄、危険を察知する能力は身についていた。命を落とすような危機から生きながらえたおかげかその能力が進化したようだ。
 それは、その危険が命を落とすほどの危険か否か、ということを察知する能力だ。
『命を落とすほどの危険』『危険ではあるが命を落とすほどではない。しかし、受ける被害は大きい』『危険はない』
 この三種類しかわからない能力ではあったけれど、俺にとっては十分だった。
 これから進む先に危険はないと感じている。
 もう少しで辿り着くのだ。あの声の持ち主の下に。
 ゆっくりと進み扉を開けると目に映ったのは、手枷足枷をされ牢の中で座っている妙齢の女性だった。
「まさか、本当に辿り着くなんてね」
 あの時、聞こえた声と同じ声で目の前の女性は驚いたようにそう言った。
「そうね、辿り着いたのなら仕方ないわね……あなたは、何を望むため私の下にきたのかしら?」
 目の前の女性は俺の目を見つめながらそう言った。
「……」
 思わず唾を飲み込んでしまった。どうやら、これから進む先に危険がないと感じたのは間違いだったようだ。
 彼女からは全く殺気は感じられないけれど、俺の返事次第では間違いなく殺される、そう感じた。
 彼女が前文明を滅ぼしたという民話は間違っていないようだ。
「お願いがあり、ここまできました」
 胸に片手をあて、左膝をたて片膝をつけそう言った。
「……願い?」
「はい。ここから徒歩で十日ぐらいのところにある村で流行り病が発生し、治す手立てがなくこのままだと村が滅びるのを待つだけです。どうか、あなた様のお力で村をお救いください」
 前文明に関する有名な民話にはもう一つあった。
 それはいかなる病気も怪我も治すという奇跡の聖女の話だ。
 この話も口承だからか地域によって違いはある。けれど、元を辿ると奇跡の聖女は色々な面で前文明を滅ぼした巫女と似ていて、同一人物ではないかという説を唱える学者もいた。その可能性にかけたのだ。
「……聖女と巫女が同一人物か分からない。けれど、その可能性に命をかけた……ここまで辿り着くほどに信じた、と」
 彼女はそう呟くと暫く眼を閉じ、
「ならば、私は……」
 そう呟くと眼を開き、手枷のついた両手を前に出すと小さな光の玉を俺に向かって放った。
 光の玉は俺の目の前までくると止まり、小さな玉が次第に膨れ大きくなっていき俺の体を包んだ。
「こ、これは、凄い」
 今にも命を落としてもおかしくない状態だったのに一瞬で全快したのだ。
 これが奇跡の聖女の力。その力に尊敬と畏怖の念を抱いた。


「さて、では行きましょうか。村を救いに」
 俺が全快したのを確認すると彼女はそう言った。
「わかりました。でも、この牢と聖女様の手枷足枷はどうしたらいいのでしょう?」
 彼女がこの状態だと村に向かうどころか牢から出ることもできない。
「ん?……ああ、これね」
 彼女がそういうと手枷足枷は消え、牢も開いた。
「これは私が自分に科した枷だから。本当はこの人類に関わる気はなかったのだけれどね」
 聖女様が俺の側まで近づくと、再び、胸に片手をあて、左膝をたて片膝をつけ頭を垂れた。
「では、行きましょう。騎士様」
「……騎士だなんてとんでもない。礼儀を知らないただの田舎者ですよ」
 反射的に聖女様が俺に呼びかけた言葉に対しそう返すと
「そう? 己のわが身を顧みず大切な者たちのために尽くす。十分に騎士だと思うけれど」
 聖女様はそう微笑を浮かべながら言った。


「この調子だと五日後には村に帰れそうですね」
 遺跡を出て一日目の野営をしきながらそう言った。
「そう。念のために言っておくけれど、いくら私でも全員を救うことはできないわ。死んでいる者を蘇らせることはできない」
「それは承知しています」
「そう、それならいいわ。もう、寝ましょう。少しでも早く村についた方が助けられる人は増えるから」
 聖女様はそういうと寝床についた。


「大丈夫? 騎士様。調子悪そうだけれど」
 遺跡を出て三日目の昼ぐらいに俺の様子を見ながら聖女様が心配そうにそう尋ねてきた。
「……だ、大丈……ゴホゴホ……ぐっ……カハッ」
 咳き込むと吐血すると、意識が遠のいていくのを自覚した。
「大丈夫ではないわね。少し戻った所にあった小屋まで戻るわよ」
 俺のことより早く村に……と口に出して言えたかどうかは定かではないが、そこで俺の意識は途絶えた。


「……こ、ここは……」
 意識が戻ると俺はベッドの上だった。
「あら、予想よりも早く目が覚めたわね」
 声の聞こえた方を向こうとしたが体が異常に重い。
「まだ、大人しく寝ていなさい。治ったといってもまだ体力は戻っていないわ。まったく、騎士様まで流行り病に罹っていたとはね」
「……そ、そう……か。俺も……あの病気……に」
 そこまで言って気づいた。
「……あの病気に……罹った……のに、生きて……る?」
「不幸中の幸いだったわ。騎士様が流行り病に罹っていてくれていたおかげで、村に着く前に薬を作ることができたわ」
「……と、いう事……は」
「ええ、村についた時点で生きている人は体力が余程消耗している人でなければ助かるわ」
 そうか、なら……
「……地図は俺の荷物に……だから……俺を置いて……」
「はい、慌てない。まだ、十分な量の薬は作れていないわ。後、半日あればできあがるから。この感じだと騎士様も半日経てば問題なく動けるようになっているわ。だから、今は寝て回復する事に専念しなさい」
 聖女様がそう言うと体が睡眠を欲していたのだろうか眠気が俺を襲いそれに逆らう事はできなかった。


「起きたようね。体は大丈夫かしら?」
「……大丈夫。全く問題ない」
 聖女様が言っていたように半日寝たら動けるようになったようだ。聖女様の言葉に体を動かしながら俺はそう返した。
「そう、なら行きましょう。少しでも早くつけるように」
 聖女様の言葉に頷くと支度をし、村へと向かった。


「今更かもしれないけれど……」
 遺跡を出て七日目の野営のときにふと思い浮かんだ疑問を聖女様に言ってみた。
「聖女様は前文明の人間なのに、何で今の文明の言葉を理解し話せているのだろうか?」
「……確かに今更ね」
 俺の疑問を聞き少し驚いた表情をし、その驚きの表情を微笑に変え聖女様はそう言った。
「あそこにいながらこの世界についてずっと眺めていたから。前の文明が滅び、今の人類が生まれる前からずっと、ね」
 そうしている内に自然と覚えた、と肩を竦めながら聖女様は言った。
 その表情は悲しみに彩られていた。
 聖女様と会ってから日は浅いがとても文明を滅ぼすような人とは俺には思えなかった。でも、それは事実なのだ。
 何を思いながら自分が滅ぼしたものをずっと見つめていたのだろうか。
「もう、寝ましょうか。この調子だと十日目にはつけそうね」
 順調すぎる調子で進めたため、俺が流行り病で倒れた分の遅れは取り戻し、薬が完成している分だけ速く進んでいるとも言える状況になっていた。
 後、少しだ。一人でも多く生きていてくれたらいいが。そう思いながら眠りについた。


 村に近づくに従い、聖女様の機嫌がよくなっているのに気づいた。
 自分では気づいていないようだけれど、それが凄く微笑ましかった。
 そう、聖女様は多くの人の命を救ってきた人。本来は滅びではなく救いを与える力、なのだ。
「どうしたの?」
 どこか嬉しそうな様子の聖女様を微笑みながら見ていると小首を傾げながらそう聞いてきた。
「いえ、何も。時間的にも体力的にも先に進めそうですし、進みましょう」
「ええ」
 俺の言葉に聖女様は頷くと歩みを進めた。


 十日目の午前。ついに、あと少しで村が見えるというところまできた。
 すると、俺の少し先を歩いていた聖女様が何かに気づいたように立ち止まると身を震わせた。
「……聖女様?」
 俺が聖女様の様子に疑問を覚え呼びかけると
「村の方から……何かが燃えた後の臭いがする」
「えっ」
 聖女様はそう言うと全力で駆け出し、俺も慌てて追いかけた。
「こ、これは……」
 村につくと、家屋は焼け落ち残っている建物は一つもなく、生きている人も一人もいないようだった。火の残り香が強い事をみると村が焼き尽くされてからまだ時間は経っていないように思われた。
「誰がこんなことを……」
 俺がぽつりと発した言葉に
「おそらく、中央の命令でしょう。ええ、こうなっている事は考えないでもなかった。でも、早すぎるわ。いえ、ある意味ではこの村から流行り病が広がらないようにすることを考えるなら早い方がいいのだろうけれど」
 声に何の感情の色を見せず淡々とけれど聖女様の言葉は止まらない。
「ねぇ、騎士様……人は文明が変わっても何も変わらないものなのかしら? 知らないものを恐れそれゆえ排除する。それの繰り返し。ええ、確かに流行り病に罹った人を全員殺し焼けば、他の村にまで広がる事はないでしょう」
 俺に背を向けながら淡々と言葉を放つ聖女様に俺は何も言えなかった。
 よく見ると薬の入っている袋を握っている聖女様の右手が強く握られていた。
「……せ、聖女……」
 そう呼びかけようとした瞬間
「なんだ、まだ生き残っている奴がいたのか。面倒臭せぇ」
「たまたま村に来た奴かもしれないだろ?」
 二人の男がそんな事を言いながら近づいてきた。
「ん? 男の方、この村の奴じゃないか? 中央にきてたときに見たことあるし、村人一覧で見た顔だ」
 この二人、中央の騎士か。
「ああ、お前が言うならそうなんだろうな……全員殺したと報告したのに。ああ、面倒臭せぇ、が……全員殺せとはお上からの命令だ、仕方ない」
 男の一人がそう言うと携えていた槍を構え、素早い踏み込みから凄まじい突きを放った。
 早いっ……回避は間に合いそうにない、受け流そうにも俺の槍はボロボロ、受けきれるか。そんな事を考えながら構えると
「ねぇ、この村を焼き払うように命令したのは中央のお上なのかしら?」
 聖女様がいつの間にか割って入り、男の槍を防御障壁で受け止めそう言った。
「女、死にたくなかったらそこを退け」
「……まぁ、これ程の実力を持った人が中央の騎士でないはずがないわね」
 男の言葉を聞き流し聖女様がそう言うと
「……警告はしたぞ」
 男がそう言うと聖女様に向かい突きを放った。今度の突きは防御障壁を容易に破り聖女様の心臓を寸分の狂いもなく貫いた。
「……せい……」
 思わず叫びそうになった俺の目に映ったのはとんでもない光景だった。
 男が槍を引こうとすると聖女様の体が槍から離れず
「……あら、乱暴な騎士様ね。でも、丁度よかった」
 男が聖女様の体を男のすぐ側まで引き寄せた所で聖女様がそういうと男に血を浴びせ、槍から離れた。
「……くそっ、何で心臓を貫いたのに生きていやがる」
 男が浴びせられた血を拭いながらそう悪態をついた。
「……あら、私が心臓を貫かれたぐらいで死ぬなら私もここまで苦労はしなかったわ」
 聖女様がそう言ったとき、貫かれた箇所は塞がっていた。
「この槍はもう使い物にならないか……おい、槍を貸せ」
 もう一人の男にそう言うと槍を投げ渡した。
「……くそ、どうなっていやがる。幻でも見たか」
 そう悪態をつき、槍を受け取ろうとするとボトっと気持ち悪い音が響き、男は槍を受け取る事ができなかった。
「……今度は何が……」
 そう言い、男が自分の腕を見た瞬間、あまりの事に固まった。
 そう、男の腕が腐り落ちたのだ。
「……どう? 痛みも何もなく体が腐り果てていくのは」
 冷たい声で聖女様が男にそう言い放った。
「く、くそーーーーーーーーーー」
 叫びながら逆の腕で腰に携えていた剣で聖女様に切りかかろうとすると、その腕も音を立て腐り落ちた。
「動かない方がいいわよ? 腐り果てるのが早くなるだけだから。死に急ぎたいなら別だけれど」
 そんな男の様子を見ながら冷たい微笑みを浮かべる聖女様。
 その姿は……
「まさか、滅びの巫女……」
 もう一人の男がそう呆然とした様子で言った。
 そう、民話で伝わっている滅びの巫女の姿、そのままだった。
「……ひぃぃっ」
 両腕が腐り落ちた男が尻餅をついたまま悲鳴を上げ後ずさると、今度は両足が腐っていった。
「だから、死に急ぎたくないなら動いたらダメ……まぁ、話すだけで顔は腐っていくし、心臓が動いているだけで体は腐っていくけれど」
 聖女様がそう言った瞬間、男は腐り果て、男が身に着けていた鎧や服以外跡形もなくなった。
「……さて、次はあなたの番……」
 そんな男に見向きもせず、聖女様がゆっくりともう一人の男に近づいていく。
 男は身構えるだけで、逃げもせず向かってもこなかった。
 聖女様がもう一人の男の側まで辿り着くと
「……お上に滅びの巫女と遭遇したという連絡、終わった?」
 そう言った。
「……わざわざ、それを待っていた、と?」
「ええ、だってそうしないと意味がないもの」
「……っ、何の為に……」
 死を覚悟しているのだろう、少しでも情報を得ようとそう聖女様に尋ねた。
「……何の為?……そうね、結局は自己満足、かしら?」
「……自己満足……なるほど」
 その一言に何かを感じ取ったのか、そう納得したように言った。
「……これ以上、何を言っても無粋ね。さようなら」
 聖女様がそういうと、男は静かに息を引き取った。


「さて、騎士様、皆を弔いましょうか」
 聖女様にどう言葉をかけていいか分からず、ただ見ていただけの俺にそう声をかけた。
「……ああ……」
 二人してもくもくと村の人達と二人の騎士を弔う準備をした。
「……私はあらゆる病気を治すことができるの」
 弔いを終え、聖女様がポツリと話し始めた。
「正確には病気を治す薬を作ることができる、かな。その為に一番簡単なのは私がその病気に罹る事。民話の通り、私は死なない。死ぬ事ができない。病気の抗体……病気を治す物質を作り出すの、体が勝手に、ね。それが薬になる。病気に罹らなくても私はどんな病気も毒も作ることができるから、それを元に薬を作り出すこともできるわ」
 騎士二人を殺したのは病気や毒を作り出す力を使ったのだろう。
「本当はね、私は前文明の人類を救うために生まれたの。でも、時が経つと私の役割は変わった。人類を滅ぼすために、ね」
 全く感情の色を出さず、聖女様は続ける。
「あのときの私はもう疲れ果てていてね。滅ぼして私の役割を終わらせ死ねるならそれでいいと思っていたわ。でも、滅ぼしても死ねなかった。それどころか、次の人類の文明がある程度発達した今まで生き長らえた。でも、私は人類に関わる気はなかったわ。騎士様、あなたが私の前に現れるまでは」
 俺に背を向け話していた聖女様が振り返り、俺の目を見ながら続ける。
「私の最初の役割であった人を救うことができる。そう思って、今考えると浮かれていたわね。それがこの有様。おそらく、今まで動かなかった私への罰ね、これは」
 そう言うと目を瞑り空を仰いだ。
「騎士様、あなたはこれからどうするの?」
 目を開け俺を見ると、今まで話したことをなかったことのようにそう言った。
「どうするって……」
「だって、村は滅び。中央には騎士様は死んだとされているはずよ。あの騎士、私の事しか報告しなかったみたいだし。どこか小さな村で静かに暮らすには問題ないだろうけれど」
「ああ、そうか。死んだはずの人間が生きていると色々問題があるか……聖女様はどうするんだ?」
「私はこの世界を自分自身の目で見ていくわ。それが私に課された役割だから。例えその結果が……」
 最後まで言葉にしなかったがその後に続く言葉はわかったし、その覚悟もできているという声で聖女様は言った。
「……俺も聖女様についていく、というのはできないか?」
 そんな聖女様の様子を見て、自然とそう言っていた。
 聖女様は不老不死……でも、この身が朽ち果てるまでついていきたい、そう思っていた。
「本気?」
「はい」
 聖女様の問いかけに即答した。
「そう……なら」
 聖女様がそう言うと聖女様の体が淡く光り出した。
「私の手を取れば、騎士様も擬似的な不老不死になる。それでも、いいなら私についてきてもいいわ」
 聖女様の言葉に俺は何も考えず手を取った。
「……全く迷わないなんてね」
 俺の体の中で何かが駆け巡り、体の中から力が湧いてくる感じがした。
 試しに持っていたナイフで手首を切ると、すぐに傷は塞がった。
「もし、疲れたなら私に言って。私が騎士様を不老不死にしたのだから、私と違って不老不死を解除する事ができるから」
 聖女様は誰に不老不死にされたのだろうか……おそらく……
 そんな事を考えながら、胸に片手をあて、左膝をたて片膝をつけ頭を垂れた。
「では、行きましょう」
 俺と聖女様は行き先の見えない道を歩き始めた。





《 滅びの巫女 了 》





【 あとがき 】
 何故か今まで練っていた作品を書く予定が新しい話を練って書いていた。何が起こったかわからなかった。
 話の設定を練り、大まかな筋道だけを立て、後はその場の勢いだけで書いたのでおかしところがあるかもしれないがそんなの知らない。

【 独り言 】
 何で今まで練っていて使えなかった作品を書かなかったのだろうか。
 自分でもわからない


忘れられた丘  矢口みつる(知)
http://wasureraretaoka.blog86.fc2.com/

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