Mistery Circle

2017-07

《 ツンデレ武将がやってきてラブコメになるとおもいきや俺が征夷大将軍になっていた 》 - 2012.07.07 Sat

《 ツンデレ武将がやってきてラブコメになるとおもいきや俺が征夷大将軍になっていた 》
番外編:巌流島にやってきて武蔵も小次郎もぼっこぼこよ!

 著者名:氷桜夕雅








※いつも以上に不真面目な内容なので適当に読むことをおすすめします


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やってきた恐怖の日 - 2013.06.07 15:58 編集 URL


はいはいはいはーい、どうも~「ヤキトリはいらない」の管理人 平野頼友です!

いやぁついに来ちゃいましたね、来ちゃいましたよアレが

ほら最近人気の「城姫これくしょん」の影響がね~そろそろ来るんじゃないかと思ってたんですよ
しかしまさか城が擬人化で美少女になって攻城戦をやらかすようになるとは想像してませんでしたわ
しかしこれがまた可愛いメイドさんばかりでねぇ、特にスコットランドのエディンバラ城ちゃん?
あれなに?可愛いすぎじゃない?特に台詞の「城主様、紅茶が飲みたいですわーですわーですわー♪」とか萌え萌えですわ~♪

・・・・っと、やってないですよ。うんやってない、同人誌ちょっと漁っただけです。

ええっと、なんだっけか・・・・ああ、そうそうこの「城姫これくしょん」の人気で、ついに僕のやっている「イクサカーニバル」にもついに・・・・


「課金制度」ができてしまったのです(涙)


「イクサカーニバル」はリリース当初から月額プレイ料だけで課金がないことが売りのゲームだったんですが流石に「城姫」によるユーザーの流出が酷かったのかここに来て課金制度を導入してきたんですねぇ


いやぁー困った、困りましたよ。普通にプレイする分には全然問題ないんですけどランカーともなるとこれもう重課金しないと無理な気がしたんですよ

ほら一時間経験値二倍とかそうゆうの使われるとさぁ、社会人ならともかく学生の自分には厳しい、厳しすぎる。なんせポテチとコーラを毎日奢らないといけな、いやこれは別の話

とにかく課金したいんだけどお金がないない、どっかに短時間で稼げる簡単なバイトでもあればいいんだけどなぁ(それは無理だろ

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「それだったらちょうどいい仕事があります」
「ふわっ!?」
いつもの昼休み、机に突っ伏していつものよーにくだらないブログを更新していた僕、平野頼友は突然後ろから掛けられた声に思わず吃驚してスマフォを落としそうになる。
「アブねぇ・・・・って誰かと思ったらなんだ東雲さんか」
僕が振り返るとそこにいたのは相変わらずの仏頂面をした東雲千影が立っていた。
(相変わらずでかい胸してやがるな)
目の前で揺れる二房のメロンに思わず生唾を飲み込み、手が伸びそうになるが
「ん、今仕事って」
彼女の言った言葉に思わず僕のセクハラハンドはピタリと止まった。いやまぁ元々やる勇気なんてなかったけどさ。
「そうです、仕事と言いました。とても簡単でとても短時間に高額収入を得られるチャンスです」
東雲さんは淡々と口早に言う。この仏頂面巨乳メガネ、じゃなかった東雲千影は僕の後輩だ。彼女は実は高校一年生にして僕のやっている美少女戦国武将が活躍するネットゲーム「イクサカーニバル」のゲームマスターをやっている子だ。
いやそれだけならば巨乳眼鏡でゲームに詳しい女の子と知り合いなんててめぇリア充か?死ぬか?爆発するか?なんて言われそうだが東雲千影との出会いにはこれはまた語るも涙、お財布も涙な話があるんだよ。
「あのぉ、なんかそう感情込めずに淡々と言われると凄く怪しいんですけど」
なにせ東雲さんはこの間の文化祭の時に大変な目に合わされたからなぁ、なんていうかとんでもない目に合わされそうなんだけど
「怪しむのなら結構です。他の人を探しますから」
「いやいやちょっと待って、とりあえず話だけでも聞かせてよ」
とはいえお金が必要なのは間違いないのだ、話だけ聞いてから判断しても良いだろう、と思ったのだが。
「仕事の内容は極秘なので受けていただく方にしか教えることはできません」
なんともまぁ彼女らしいというかなんというか判断に困る微妙な答えだ。いや本当ならこれは危ない橋だと判断し断るのが正解な気がひしひしとするのだが。
『お金』と言う甘い誘惑が僕を危険な橋へわたらせようとぐいぐいと背中を押してくる。
「ええっと、わかった。じゃ質問を変えてそれって本当に僕でもできる仕事なの?ぶっちゃけ僕、体力とか無いし力作業とか無理だよ?」
「それなら大丈夫です、童貞にでもできる簡単な仕事です」
「ど、童貞は関係ないだろ!」
まさかの返答に思わず大きな声を出してしまい教室中にいたクラスメイトの視線が集まる。
「いやぁ、ほら董卓は三国志だし戦国時代には関係ないよなぁ~あはは」
なぁんにもフォローにもなってない言葉を吐きながら後ろ首を掻く。いや良かった、昼休みで教室にそんなに人がいなくて。
「童貞と董卓は漢字こそ似てますが全く読み方違うと思うのですが?」
「いや、その冷静なツッコミはいいから」
この子と話していると調子狂うなぁ。しかもなんでこう僕は政子といい東雲さんといいやたらと女の子に童貞と罵られなきゃならないのだ。
「ああ、そうでした童貞で思い出したのですが」
「童貞でなにを思い出すんだよ!」
「その仕事、北条政子もやるということを思い出したのです。彼女よく口走ってますから貴方の事を童貞って」
東雲さん完全に僕のバカにしてるだろ、うん。いやそんなことよりも!
「その仕事まさ、北條さんもやるの?」
「ええ、新作のポテトチップスとコーラを奢ると言ったら是非とのことでした」
東雲さんの返答に思わず閉口する。あいつポテチとコーラのためだったら本当になんでもやるな。
「それでどうしますか、やりますか?超絶簡単短時間で高額収入を得られるバイトを」
「ううっ」
一人なら不安なバイトも政子がいるのなら最悪なんとかなりそうなんじゃないかっていう希望の光が見えてくる。
北条政子は「イクサカーニバル」のテストプレイ用に作られたキャラなんだがまぁ色々あって今は現実世界に、しかも僕の家に同居している。政子ははっきり言ってトラブルメーカーなんだけど彼女の持っている特殊能力『傀儡政権』には凄い力があって、ちょくちょくその能力に助けられ・・・・
「いや、助けられてはないな。どっちかというと酷い目に遭ってるだけな気がする」
なんで一瞬でもあの極悪非道な能力に助けられたなんて思ってしまったのか。確かにたまに助かることもあるけど十あったらそれは一くらいの割合でしかないじゃないか。
政子の能力を簡潔に説明するならば相手を短い間自分の意のままに操ることができる能力だ。相手の額を指で弾きながら「傀儡政権の始まりよ!」と言うと時間で言うと大体五分ほどなのだけど政子の言う通りに行動せざるをえないというね、とにかく恐ろしい能力なのだ。
「それでどうしますか?」
「まぁ北條さんがやるのなら僕もやるよ」
東雲さんの問いに僕は渋々頷く。政子が行くとなるとなにやらかすかわかったものじゃないからなぁ、どこで働くのかは知らないけど迷惑かからないようにフォローしないとな。
「そうですか。ご協力感謝します、それでは・・・・」
東雲さんは小さく頷きそう言うと徐にぐいっと僕の腕を掴む。
「えっ、なに?東雲さん?」
突然のことになにがなんだかわからず目を丸くしていると東雲さんは無表情で機械的に辛辣なことを言ってきたのだ。
「なにじゃありませんよ、仕事をやるでしょう?」
「え、なに今からなの!?」
「当たり前じゃないですか、さぁ行きますよ」
東雲さんにグイグイと腕を引っ張られながらいきなりちょっと後悔。
なんていうか心の準備をする時間、欲しかったなぁっと。



僕が東雲さんに連れてこられたのは学校内のコンピューター室だった。
授業でたまに使うことのある教室でそこには一つの机に一台、一世代前のデスクトップ型パソコンが置かれている。そこの一席によく見た赤髪ツインテールを楽しそうに揺らしている美少女が座っていた。
「それでは私は少し準備があるのでちょっと待っていてください」
「あ、うん。わかった」
東雲さんは丁寧に小さく会釈するとそそくさと部屋の奥へと消えていく。うむ、なんかそういう所だけは後輩っぽくていいんだけどなぁ。
僕は古臭いパソコンの前でやたらと楽しそうにポテチ片手にマウスをクリックしまくってる赤髪ツインテールの美少女に近づくとその隣の席にどっしりと座る。
「そういや昼休み教室にいないと思ったらなにやってんだよ政子」
「ん、にゃんだ頼友か。これねソリティアっていう超絶面白いゲームなんだ」
こっちを見ることなく超絶美少女と巷で噂の北条政子はマウスをポチポチとクリックしている。
「ソリティアって新しくパソコン買った当日くらいにしかやらないだろそんなゲーム」
僕は嘆息しながらずっとパソコンに食いつき北条政子の姿をぼうっと眺める。
誰もツッコミを入れない足元まで付きそうな真っ赤な髪、もはや着慣れた感のある制服の胸元を少し着崩し短めのスカートから見える健康的な足を組んだその姿、顔立ちも人形のように美しい。これで黙っていて毎日ポテチとコーラを要求してこなきゃ凄く可愛いんだけど。
「なにさっきから私の顔を見てるのよぉ~!あれでしょ、私が山札一周して詰んで涙目なところが可哀想な薄幸美少女に見えたんでしょ!」
僕の視線に気づいたのか政子はこっちを向いて頬を膨らませる手をジタバタさせ怒る。・・・・がそれさえも今はちょっと可愛く見える。とはいえ面と向かってジロジロ見るってのはどうにもできずに僕は少し視線を外した。
「いや全然見えてないし。というかお前大丈夫なのかよバイトなんてできるのか?」
「ん~まぁ童貞でもできる簡単なお仕事らしいから大丈夫じゃない?」
「だから童貞は関係ないだろ!どう言う判断基準だよ・・・・」
というか東雲さん、政子にも童貞にもできる簡単な仕事とか言ってるのかよ。イクサカーニバルの現実世界生活マニュアルとやらにもやたらと童貞を貶す表記があるらしいしなにか童貞に恨みでもあるのかと疑いたくなる。
「いやでもさ、東雲さんにはこの前酷い目に合わされただろ?なにか裏があると思ってさぁ」
「そうかなぁ、別に問題無いと思うけどぉ」
東雲さんは元々北条政子をイクサカーニバルの世界に連れて帰るために織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の御三家を使ってそれはもう文化祭中どんちゃん騒ぎをしてくれたからな。色々あって今は北条政子を監視ってことで手を打ってもらっているがいつまたイクサカーニバルの世界に強制送還しようとするかわからない。
「裏なんて特にありませんよ、平野頼友」
「わっ、東雲さん!いつのまに・・・・」
気がつけば教壇にはノートパソコンを持ったいつにもまして不機嫌そうな表情をした東雲さんが立っていた。
「いや東雲さん、別に疑っているわけじゃないんだけど流石にそんな美味しすぎる話があると気になるじゃない?」
そりゃだってな、短時間でがっぽりお金を稼げる仕事なんて望んではいたけどそうそうあるわけがない、可愛い女の子に声をかけられついていったらくっそ高い絵画を買わされる・・・・そんなイメージが払拭できないんだよ。
「どうやら相当信頼されていないようですね。やってもらうのはイクサカーニバルなんですがと最初から言ったほうが良かったでしょうか」
「えっ!?イクサカーニバルをやるの?」
東雲さんの言葉に思わず僕は吃驚し声を上げる。その様子に東雲さんは嘆息すると少しズレた眼鏡の蔓を指で押し上げる。
「そうですよ、今度のアップグレードで追加される新イベントのテストプレイをお願いしようと思ったんです」
「新イベントってあれ!?もしかして『巌流島の決戦』のこと!でもなんで僕達にそのテストプレイをさせてくれるの!?っていうかそれブログに書いていい!?」
僕はあまりの興奮に思わず早口で捲し立てると東雲さんは実に冷ややかな目でこちらを見ている。その様子にさすがに僕もはしゃぎすぎたと反省し口ごもった。
「順に説明しますとイベントは『巌流島の決戦』で合っています。なんで平野頼友を誘ったかと言うのことにはあまり言いたくないのですが、その・・・・いつもレベル上げを手伝ってもらっているお礼です」
いつもなら淡々と話す東雲さんがこの時だけ少し恥ずかしそうに顔をそむける。なにかそんな表情をした東雲さんは普通に可愛いと思う、まぁ言うと怒りそうなので言わないけどさ。
「いやレベル上げはさ、こっちも助かってるし気にしなくてもいいって。いやなんていうか新イベントのテストプレイをやれるなんてこっちがお金払ってやりたいくらいだよ。それでブログには書いても・・・・」
「良いわけがないでしょう、それくらい察してください。これだから童貞は困ります。」
さっきまでの可愛らしい表情が元に戻り東雲さんから辛辣な言葉を頂く。んまぁイクサカーニバルプレイヤーとしてはこんなすごい情報を手に入れたらみんなに自慢したくなるだけどさすがにそれは無理か・・・・そしてちょっと待て何回も言うが童貞は関係ないだろ!
「まぁ、とりあえず話を進めます。お二人にはこの『巌流島の決戦』のイベントをやってもらい不具合がないかチェックしてもらいますが、まぁ正直に言えば普通に楽しんでもらえば大丈夫です。もしなにかプレイしていて気になるところがあれば後で言ってください」
東雲さんの説明からするとつまりほとんど遊んでお金を貰えるってことか、確かに最初に言っていた短時間で高額報酬、しかも簡単なという説明に偽りはないみたいだ。
うむ東雲さん疑ってごめん、まじでごめんと心の中で猛省。
「それでは質問がなければ時間もありませんし早速始めたいのですが」
「質問かぁ・・・・なにかあるかなぁ?」
「しつもーん、さっきから巌流島とか言ってるけど巌流島の決戦って江戸時代なんじゃないの?」
質問と言われ僕は中身のさしてない頭を使い考えてると、さっきからずっとソリティアばっかりしていて話を聞いていないと思っていた政子がまさかの鋭い質問を放つ。
なんかあんまりこの辺の時間系列というのかそういうものが僕は詳しくないけど戦国時代の次が安土桃山時代でその次が江戸時代だっけか?んまぁとはいえあのゲーム色々時代被っているし僕はあまり気にしない・・・・っていうかそれを言っている政子の奴がお前鎌倉時代じゃねーかとツッコミたくなるが、やめておこう。
「それは私に言わないでください。イベントシナリオ担当の人が毎回血反吐吐きながら作っているのですがどうにも時代背景というか年代を色々と勘違いされている方なので。今回のイベントも平賀源内の発明によって戦国武将が江戸時代にタイムスリップしたとかいう訳のわからない話なんですから」
少し疲弊した感じで言葉を漏らす東雲さん。流石に学のない僕でも平賀源内はもっと時代が後なのはわかる、そしてこのちょっとした発明家だからって安易にタイムマシン作っちゃう設定にする辺り相当苦労しているんだなと思う。
「まぁ北條さん、そこはあまり気にしないで楽しもう」
そのシナリオライターさんを軽くフォローをして僕は目の前にあるパソコンの電源を入れる。
「しっかしこの古いパソコンでイクサカーニバルできるの?」
低い音ともにパソコンの画面が立ち上がるのを目の前にしながら呟く。授業でしか使わないとはいえパソコンのOSは相当古い、旧時代の遺産とも言っても過言ではない。イクサカーニバルは低スペックでも動くのというのが売りの一つでもあるが折角の新イベントを先行プレイできるのにカクカク動作っていうのは勘弁してもらいたい。
「なにをおっしゃっているのかわかりませんがそのパソコンは使いませんよ」
「えっ・・・・じゃどうやってテストプレイを・・・・・・って、まさか」
目の前のパソコンを使わないでテストプレイをする、その言葉が意味するのは・・・・なんとなく想像できた。
「『扉形成プログラム』か・・・・」
「さすがに平野頼友、貴方の個人アカウントを使うわけにはいきませんからね。ちょうど貴方なら生身であるにもかかわらずイクサカーニバルの世界に入れますしちょうどいいでしょう」
「ああ、うん・・・・まぁそうだけど」
少し煮えきらない言葉が口から漏れる。
『扉形成プログラム』、イクサカーニバルの世界と現実世界を行き来できる神のようなプログラムだ。ただしまぁ僕は何回かイクサカーニバルの世界に行ったことがあるがろくな目に遭ったことがないんだよなぁ、そしてなにより本来なら人間にはイクサカーニバルの世界に入ることはできない。・・・・でもなんでか僕はその世界に入れてしまうんだよなぁ、ちなみに原因は不明。この原因不明ってところがちょっと不安になるんだけど、まぁ今さら言っても遅いだろう。
「どうしました?やはりやめましょうか?」
少し暗い表情が見えたのか珍しく東雲さんが心配そうに声をかけてくる。それに僕は小さく首を横に振って答えた。
「いや自分のアカウント使えないのがちょっと残念だなぁっと思っただけだから」
少し誤魔化したが先行してアイテムゲットなんてのはできないのも少し残念なのは事実だ。でも誰よりも先に新イベントできるなんてのは滅多にない機会だからいいだろう。
「それなら大丈夫なのですが。ちなみにこの『巌流島の決戦』というイベントは宮本武蔵と佐々木小次郎、どちらの味方をするかでイベント内容が変わる話なので気を付けてください」
「そうなんだ、それは楽しみだ」
イクサカーニバルの世界じゃ戦国武将はみんな美少女、ということは宮本武蔵も佐々木小次郎も美少女なんだろう・・・・一体どんな可愛い子に会えるんだろう、ちょっとワクワクしてきた。
「それでは。『扉形成プログラム』を起動しますね」
東雲さんがノートパソコンを開くとキーボードを指で弾く。
するとぼんやりと視界が歪み、自分の体がゆっくりと数字に代わり宙に霧散していく。あれなに、演出変わった?
「え、えーもう行くの?あとちょっとで一分切れるのにぃ!」
間抜けな声をあげながら先に俺の目の前から北条政子の姿が消えていく。
結局政子の奴、最後までマウスポチポチをしてソリティアをやっていただけじゃないか、それでヒロインとして大丈夫なのか?
そんな余計な心配をしているうちに僕の体もデータ化が終わったのかまるで意識が強制的に遮断され目の前が真っ暗になった。



「ねぇ起きて、起きてってば頼友!」
「ん、んぅ~」
政子が俺の体をかなりの勢いで揺らしてくる。データ化された体がイクサカーニバル内で再構築されるとどうもパソコンで言うところの再起動のような状態になるのか凄く意識がはっきりとせず寝ぼけている。
「んあ、政子おはよう」
「んもぅ~おはようじゃないわよぉ~!ないわよったらないわよぉ~!」
眠い目をこすりながら政子に寝ぼけたまま返事をする。政子はさっきまでの学生の姿から家でいるときのようなゴシックパンクの姿に戻ってる。どうやらこれが彼女のイクサカーニバルでの正装ってことなんだろう。
「ていうか暑いな・・・・」
現実世界ではまだ初夏でそこまで暑くないのだがどうにも肌を突き刺さる太陽の光が暑い。
「ってうわぁ、なにこれ南国じゃん」
僕は辺りを見渡してみてようやく状況を理解しぼうっとしていた意識が一気に覚醒する。
「巌流島ってこんなところ、だっけ?」
思わずそんな感想が口からこぼれる。青い空に白い砂浜、360°に広がる透き通り底が見えそうな海と風に靡くヤシの木、これはもうどこからかアロハなガールがカマンカマンとやってくるんじゃないのかっていう勢いだ。
「でもまぁイクサカーニバルのイベントだからこんなものじゃない?」
「ま、そうだな。ただパソコンを通じて見るのとイクサカーニバルの世界に直接入ってみるのとじゃ全然印象が違うから」
踏みしめる砂の感触や頬を撫でる風は完全に現実世界での感覚と一緒だ。これがパソコンを通じてみるとまさにゲームと言わんばかりのポリゴンの塊になっているんだから不思議だ。
「ねぇねぇ頼友、あそこに人がいる。イベントキャラじゃない?」
「そうだな・・・・ん、でもあれは」
政子の指差す方向、ヤシの木の下には確かに一人の女性が佇んでいた。いやでもだ、なんかその姿格好がおかしい。
藍色をした着物の上から割烹着を身に付け頭には白い三角巾、手にはなぜか物干し竿とパッと見の印象は旅館の女将さんでどうみてもこの南国雰囲気には異質な存在だ。
そんなことを思っていると向こうもこちらに気づいたようで大きく手を振るとこちらに駆け寄ってくる。
「もしかしてテストプレイをしてくださる平野頼友さんですか?」
「あっ、うんそうです」
僕が答えると彼女は両手を合わせ「お会いできて良かったです」と嬉しそうな表情を見せる。その仕草だけでもこの目の前にいる彼女の品の良さが伺えるな、うん。
近くで見ると肩ほどまで伸びた黒髪にきめ細かくてさわり心地の良さそうな白い肌、くりっとした眼に喋るときに口元に見える八重歯がとても可愛らしい。そこら辺のツボの押さえ方を見るとやっぱ二次元凄いなと思わず感心してしまう。
「それで君は?」
「これは申し遅れました。私、佐々木小次郎といいます」
そう言って深々とお辞儀をする彼女がまさかこのイベントの超重要人物の一人である佐々木小次郎だとは驚くよりもなんで?って疑問の方が先に出た。
まぁ実在の佐々木小次郎がどんなのかは知らないけどよくゲームでは武骨なイメージな宮本武蔵とは対照的に繊細というかクールなイメージだったからクール系美少女剣士を想像してたんだけど、まさかこんな割烹着美少女がでてくるとは思わなかった。
「ということは、その手に持っている物干し竿は」
「あ、これですか?これは『備前長船長光』ですよ」
ただの物干し竿を大事そうに抱えながらそういう小次郎。ああ、そういうことか佐々木小次郎の持っている野太刀「備前長船」はその長さから物干し竿って言われているからそういうキャライメージなのか。
納得はできるがこりゃキャラクターデザインしている人も既存のイメージを壊しつつ新しいものを探ろうと大変だな。
そして物干し竿って名称だけでよくここまで持ってきたよ、うん。
「それでは自己紹介も終わったことですし、私を選んでありがとうございます♪それじゃあちらでイイコトしましょう?」
「い、いいこと!?」
小次郎ちゃんは僕の腕に抱きつくと少し離れたところを指差す。するとそこ、いかにもなお城っぽいホテルがいつのまにか現れていた。
「選ぶって言うかなんていうかここで初めて会ったのが君なんだけどね」
そういえば東雲さんが言ってたな、このイベントは宮本武蔵と佐々木小次郎のどちらの味方をするかによって内容が変わるとか言ってたな。
となればランカーとしてはどっちがレアアイテムゲットできるのかそういうのがひじょ~に気になるんだけど。
「あらそうでしたか、テストプレイでは私も武蔵ちゃんも好感度MAXですのでどちらのイベントも見れるようになっているのですが・・・・私魅力ないですよね」
「そんなことない!そんなことないよぉ!」
潤んだ瞳で見つめてくる小次郎ちゃんに本当どうにかなってしまいそうだ、ましてあれだよな今までイクサカーニバルの世界に来ると伊達政宗といい徳川家康といいこっちの命ばっかり狙ってきてたからこうイキナリデレデレな状況がかなり嬉しいしこれを逃すバカはいまい。
「いやぁ、確かに宮本武蔵も気になるけどここはあれかなぁ、やっぱり小次郎ちゃんかなぁ~」
「そう言っていただけると信じてました!ささ、私頑張らせてもらいますのであそこへ行きましょう!」
「お、おう!行こう、行っちゃおう!」
ぐいぐいと腕を引っ張る小次郎ちゃんに内心ドキドキしながらついていく。
いやぁついに念願の二次元美少女で童貞が捨てれると思うと感慨深い、これで東雲さんや政子に童貞と罵られなくて済む。
と、思ったその時だ。
「ちょっと待ちなさいよバカァ!!!」
その言葉と共にさっきからずっと空気と化していたメインヒロインがお城っぽいホテルに向かおうとする僕たちの前に立ちふさがった。
「なんだよ政子。いいじゃないかこれはイベントなんだし」
そうそうイベントなんだからしょうがない、お城っぽいホテルでいつのまにか恋愛関係になっているのも仕方ないじゃないか。
「なんか頼友がヘラヘラしているのが気に入らないったら気に入らないっ♪」
「なんだよそれ~」
頬を膨らませ両手をブンブン振り回しながら意味不明なところで怒る政子に僕は思わず嘆息した。
全くこれから小次郎ちゃんと懇ろな間柄になろうと思ったのにまさか政子に邪魔されるとは。
「な、なんなんでしょうか怖いです頼友さん。一人で来いとか言いながら武蔵ちゃんだけ弟子連れてきた時みたいです」
僕の腕をぎゅっと掴みながら怯えた声で言う小次郎ちゃん。なんだその例えと思ったが史実だと佐々木小次郎って宮本武蔵との決闘に負けた後息を吹き返したんだけど武蔵の弟子に殺されたんだっけ。
「と、言うことで私は宮本武蔵側について佐々木小次郎の邪魔をするんだからねぇ~!」
「なんでだよぉ!!」
不適な笑みを浮かべる政子に思わず血の気が引きそうになる。無理ゲーじゃないか政子が敵だなんて、あいつこそテストプレイ用のキャラだしさやりたい放題だろ。
「なるほど、つまり貴女は私の敵と言うことですね北条政子さん」
さっきまでの声とは違う低く小次郎ちゃんは僕の腕から離れ政子の前に立つ。
「いやいや小次郎ちゃん、政子は滅茶苦茶強いから!止めた方がいいって!」
「そうそう、頼友の言う通りよん♪なんだったらハンデあげよっか?」
政子は余裕そうに言うがこれは強がりでもなんでもなく普通に勝てる気がしないから困る。ただし小次郎ちゃんも負けてない、クルクルと物干し竿を回転させると政子の鼻先に突きつける。
「戦っても構いませんが私はイベント用のキャラですから倒すことは不可能ですよ。なので不毛に斬りあう、殴りあうのもなんですからこれで勝負しませんか?」
小次郎ちゃんが物干し竿を砂浜に突き立てると突然政子と小次郎ちゃんの前に少し大きめの段ボールの箱が現れる。
「なにこれぇ?これで勝負?」
「これはですね・・・・」
小次郎ちゃんが箱を開けるとそこからなにかを両手で取り出す。そして僕たちの前で手を開けるとそこにあったのは・・・・
「ヒヨコ?」
黄色毛並みの綺麗なヒヨコだった。うん、どっかどうみてもヒヨコ、でもなんでヒヨコ?
「北条政子さん、ではこのヒヨコの雄雌を分ける勝負をしましょう」
「「はぁ?」」
か思わず僕と政子の声が重なる。そりゃそうだ、なんでまたヒヨコの雄雌を分けるとかいうよくわからない対決を持ちだしたのやら。
「はぁ、まぁなんでもいいけどなんでまたヒヨコ?」
「そ、それは・・・・あれですよ、私ツバメ返しって必殺技持ってるじゃないですか、だからその同じ鳥関係でですよ!」
政子の問いにかなりの震え声で小次郎ちゃんは言う。なんだろうこの言わされている感、しかもどう考えてもその説明で納得する人いないとおもうんだけど。
「ふふ~ん、まぁなんだっていいわ。やってやろうじゃないの」
「えっ、本当にやるの政子?」
「超絶美少女の私にかかればなんだってできるのよ」
正直言ってヒヨコの雄雌分ける勝負なんて絵的にも話的にも面白く無い気がするんだけど、政子はどうやらやる気のようで砂浜に座り込むと完全に臨戦態勢といった感じだ。
「うふふ、この勝負で私にそうそう勝てると思わないことですね」
なんだかんだで小次郎ちゃんも砂浜に座り込み俺は全然望んでいないこのヒヨコ雄雌別け対決は始まってしまうらしい。
ああ、もう俺の童貞喪失がどうとかいうそういうのは無しですか、そうですか。
完全に置いてきぼりにされた俺にはなんだか遠くに見えるお城っぽいホテルがぼやけて見えるよ、本当に。



「ルールは簡単です。この箱の中にいる百匹のヒヨコ、五十匹は雄でもう五十匹は雌なのでそれを所定の籠へ正しく別けるだけ。時間的に言えば私のほうが早く仕分けられると思いますので勝敗は早さではなくどれだけ正確に別けれたらと言うのにしましょう、その方が北条政子さんにも勝ちの目というものがあるでしょうし」
「あっそ、まぁそれでいいけど二人共五十匹完璧に分けれたらどうするのよ」
「その場合貴女の勝ちでいいですよ、まぁ万が一にもそんなことないと思いますけど」
戦いの前の静けさというのはこういうことを言うのだろうか、ただのルールの取り決めだっていうのにもう既に北条政子と佐々木小次郎の戦いは始まっているという感じだった。
そして完全に放置プレイと化した僕、平野頼友は二人の戦いを近くにあった石の上に座りぼけっと見つめている。
おかしいよなぁ、ちょっと前まで二次元美少女で童貞喪失のチャンスだったってのに。
「もし私が負けたら潔くこの場を去りましょう、でも私が勝った場合は北条政子さん私と頼友さんの恋路を邪魔しないでいただきますからね!」
「ふぁいふぁい、まぁ私が負けるわけないんだけどね」
欠伸混じりに答える政子。個人的には小次郎ちゃんに勝ってもらいたいんだけど政子にはなにか作戦とかあるんだろうか、それが気になる。
「それじゃ頼友さん、スタートの合図をお願いします」
「ん、ああ・・・・はい。じゃよぉ~いスタート!」
僕の間抜けな掛け声とともに二人の勝負は始まった・・・・のだけど
「な、なんだ小次郎ちゃんの仕分けの速さは!」
勝負開始早々小次郎ちゃんは物凄いスピードで雄雌を分けていく、どうやって見分けているのかは僕にはわからないけどこの勝負を持ち込んでくるだけあって手馴れている感じだ。
一方政子の方はといえば未だに最初に手に持ったヒヨコをじっと見つめるなり小声でなにか呟きながら額をつっついたりして遊んでいるようにしか見えない。
「やはり速さでは勝負になりませんね、私にはヒヨコ捌きは<初生雛鑑別師>のスキルがありますので」
「<初生雛別鑑別師>って、ああ・・・・あのネタスキルの」
そこまで聞いてなんで小次郎ちゃんがこんなヒヨコの雄雌を分ける勝負なんてのを持ち込んできたのか僕にはわかった。
イクサカーニバルには姿を消す<インビジブル>や倒された味方が多いほど相手の動きを封じる<亡者の足枷>みたいな戦闘で使うスキルの他に所謂ネタスキルと呼ばれるスキルが沢山ある、町の壁に落書きするスキルや手品を披露するスキル等・・・・いうなればネットゲームの世界で戦闘だけじゃなくて町で仲間とだべったりするときのアクセントになるようなスキルだ。
んまぁガチランカーである僕は折角時間を掛けて戦闘で使えないスキルなんて取らないんだけどね。
そして<初生雛別鑑別師>もそのスキルの一つだ。効果はただ一つ「ヒヨコの雄雌を見分ける」というもの、たまにある町のお祭りイベントでカラーヒヨコを見分けることにしか使えない正直言えばネタスキルというよりゴミスキルなんだけどことこの勝負では圧倒的な力を発揮するじゃないか。
「ちなみに私は<初生雛別鑑別師>のスキル最大にまで振っているの肛門鑑別法が使えるんですよ」
「こ、肛門?」
なにやら女の子の口からあまり出て欲しく無い言葉がでて僕はちょっと焦るが小次郎ちゃんは素早く作業をしながら説明を続ける。
「こうやって総排泄腔を開いて小さな突起があれば雄でなければ雌なんですよ」
「へ、へぇ・・・・」
なにかこう一生のうちに一回も使うことがあるのかわからないような知識を身につけてしまった気がする。
「・・・・っと、まぁこんな感じで終わりですね」
「えっ、もう!?」
気がつけば小次郎ちゃんの籠にはあっという間にヒヨコが別けられていた、時間にすればまだ五、六分しか経っていないというのにだ。一方政子の方はまだ半分と終わっていない、というか相変わらずヒヨコのおでこを指でついたりしているだけでヒヨコは籠にも入っておらずそこら中を歩きまわっている。
「だ、大丈夫なのか政子?」
いや別に僕的には今回政子には負けて欲しいがいくらなんでもいい加減すぎる。思わずそんな言葉を掛けると政子は以前余裕そうに
「大丈夫に決まってるじゃない、まぁ見てなさい」
そう言うとまたヒヨコのおでこをつっついては籠にも入れずその辺に歩かせている。もうやけになっているのか適当にしか見えない政子のヒヨコ別け?が終わったのはそれから二十分ほど経った後だった。



「それでは北条政子さんも終わったということでそろそろ結果を見ましょうか」
小次郎ちゃんがもはや勝利を確定したような余裕の笑みでそう言う。そりゃそうだ政子のヒヨコ別けは終ったということになっているが未だにヒヨコ達は砂浜に散らばり遊び呆けている。
正直まさかあの政子が策無しで勝負に挑んでいるなんて思わなかったのがちょっと残念だ、いやさすがにあの政子でもこんな勝負に作戦なんて無謀すぎたのか。
「あぁ、ちょっと待って。ちゃんと整列させるから」
「整列?」
整列ってなんだ?と思っていると政子は立ち上がりそこら中に散らばっているに声をかける。
「さぁてさっき『傀儡政権』を使っておいたからね。雄はこっちの籠に、雌はあっちの籠に整列よ!」
政子の掛け声と共に散らばっていたヒヨコ達が一斉にピクリと政子の方を向くとまるで予め決められたかのようにして籠の中へと入っていく。
いや決められてたんだろう、あの政子が一匹づつヒヨコのつっついていたのは遊んでいたんじゃなくて「傀儡政権」を使ってヒヨコ自身に雄雌を自己申告させていたったことか。
政子の号令からものの数秒、ヒヨコ達は統制された兵隊のように籠の中で隊列を組んでいる。それを見て満足そうに政子は笑いだす。
「残念ながらそんなお尻の穴なんて見つめなくても私にはこれがあるもんね」
「むむむ、でもまだ勝負は決まったわけじゃないですわ」
睨み合う政子と小次郎ちゃん、でもそういえばどうやって結果を出すんだろう?
『みなさんこんにちわ イクサカーニバル運営チームです』
僕がそんな疑問を抱いていると突然天からそんな声がした。ゲーム中に聞くと
やばい、メンテか!?と焦るその声、いつもは画面に表示されるだけなのだが今聞こえるのは東雲千影さんの声だ。
『貴方達なんでそんなことをやっているのかはわかりませんが勝負の審判をやるのもゲームマスターの仕事の一つですから、少し待ってください』
イクサカーニバルにはプレイヤー同士が戦闘以外で勝負事をするさい公平な結果を出すためにゲームマスターが審判をすることがあるってのは聞いたことがあるけど実際にそういうことがあるとは知らなかった。
「ふふぅん、もし負けたらちゃんと約束守ってもらうんだからね!」
「それは貴女だって同じですよ北条政子さん!」
いがみ合う二人と相変わらず放っておかれ途方にくれる僕、東雲さんの結果発表が出るまでその状況は続いた。
『おまたせしました、それでは結果を発表します』
ゲームマスターである東雲さんの天の声が辺りに響き渡る。さすがにその声を聞いて、いがみ合っていた政子と小次郎ちゃんもじっと天を見上げ聞き耳を立てる。
『結果は二人共一つのミスなく雄雌を五十匹づつ分けれています、つまり引き分けですね。では今後もイクサカーニバルの世界をお楽しみにください』
運営の決まり文句と共に辺りには静けさが戻る。結果としては引き分け、だがそれが意味するのは・・・・佐々木小次郎の敗北だ。
「残念ながら私の勝ちね、佐々木小次郎!」
「ううっ、そんな私がこの勝負に負けるなんて・・・・」
勝ち誇る政子と対照的に崩れ落ちる小次郎ちゃん、今すぐ駆け寄って抱きしめてあげたいが政子の目があるし、そんなことはできないだろう。
「しかし約束は約束ですものね。わかりましたここは身を引きましょう、ごめんなさい頼友さん」
「そ、そんなぁ」
小次郎ちゃんは力なく立ち上がると僕に一度ペコリと頭を下げると踵を返し去っていく。すると同時に遠くに見えていたお城っぽいホテルもしだいにぼんやりとし見えなくなってしまう。涙で滲んだわけじゃないよ、イベントの関係上なんだろう本当に見えなくなってしまったのだ。
「どう頼友、超絶美少女はヒヨコを分けるのだって得意なのよ」
僕の悲しみをよそに自称超絶美少女はご満悦のようだ。ったく、ちょっと可愛いってだけでなんでもできるなんて思っているのがちょっと気に食わない。
「あ~はいはい、凄い凄い。というか僕が誰と付きあおうがお前に関係ないじゃないか、もしかしてあれか?嫉妬してるの?」
「ば、ばっかじゃないの!?なんで私が嫉妬なんてしないといけないのよ!」
ちょっとからかってやろうと言ってみた言葉に顔を真っ赤にして反論する政子。あれ?なんでこいつこんなにも顔真っ赤にして動揺しているんだ?
「大体なんで童貞の頼友に嫉妬しないといけないのよ、いけないのよったらいけないのよ~だ!」
「おい、また童貞ネタでいじるのか!今回ネタ無いからって多すぎだろ!」
「童貞には変わらないんだからいいじゃない、いいじゃないったらいいじゃない~♪」
「全然よくねぇよ!!」
そんないつものくだらないやりとり、さっきのが一瞬政子の照れ隠しのような気がしたがまぁそんなことあるわけ無いか。
「さてと、まぁ佐々木小次郎の方のイベントはもう終わったということにしてもう一人の宮本武蔵の方のイベントを進めよ・・・・」
終わっちまったものはしょうがない。もう一つのイベントをクリアしよう、そう思い僕が踵を返し振り返った瞬間事件は起きた。
「いやぁ遅刻遅刻デス~!って、きゃぁっ!」
「えっ、うわぁぁっ!」
どっからともなく現れた制服を着た少女がいきなり僕に体ごとぶつかってきたのだ。
その勢いに僕と少女はあえなく砂浜に倒れこむ。というかどこかの建物から出会い頭にってわけでもないのにこんな砂浜で普通ぶつかるか?
「いってぇ・・・・」
「はわわ、スイマセーン大丈夫ですカ?」
「うん、なんとか」
そう言ってぶつかってきた少女を見やる。僕に覆いかぶさる倒れてきた美少女が長い金髪に吸い込まれるような青い瞳でじっとこちらを見つめている。
「ゴメンナサイ、前を見てマセンデシタ」
いやいや前を見ないで走るのってよくできるなとツッコミを入れたくなるがそれよりも気になったのは喋り方だ。どこかイントネーションの違うその喋り方、この子もしかして外人さんなのか?
「ちゃんと前見て走ったほうがいいよ・・・・」
「ソウデスネー小次郎ちゃんとの決闘に寝坊して遅れそうダッタのデス、スイマセン」
でもあれ?今、小次郎ちゃんとの決闘とか言ってなかったか?佐々木小次郎と対決するのはもう一人しかいない。
「も、もしかして君が宮本武蔵ちゃん?」
「オーそうでーす、よくわかりましたネー。そうです、私が宮本武蔵ちゃんデス」
「まじですか・・・・」
正直驚きを隠せない僕と楽しそうに手を叩いている武蔵ちゃん。なにがどうなったらこの金髪外国人系美少女が宮本武蔵になるのか、これがわからない。
「おお、もしかしてー貴方がテストプレイヤー、ヒラノーヨリトーモさんですカー?会えて、嬉しいデス」
変なイントネーションで喋りながら体を揺らして喜ぶ武蔵ちゃん。イクサカーニバルに登場するキャラの例外にもれず彼女もかなりの美少女だ。
細身の体にきっちりと着こなされた紺色のブレザー、そしてそのから主張するいつボタンがはじけ飛ぶんだと言わんばかりの胸に思わず視線が釘付けになる。ましてその状態で彼女無意識なのか僕の腰にまたがっているもんだからほらあれだ、あの体勢になっているわけで僕のマイサンがビルドアップしてしまうわけで・・・・
「なによこれが宮本武蔵?おかしくない、おかしくないったらおかしくない?」
っとここでまた空気になりかけていたメインヒロインが食いついてくる。いやでもな、北条政子なのにゴシックパンクで赤いツインテールのお前がそれを言うかって感じなんだけど。
「えっと貴方はダレですかー?」
「ふふん、聞いて驚かないことね・・・・」
政子は武蔵ちゃんに対向するように張りのある胸をぐいっと前に押し出し高らかに叫ぶ。
「遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ、私こそがこの話のメインヒロイン超絶可憐、超絶美少女、北条政子様よ!」
「オーそれは平家物語の藤原景清の名セリフですネー」
パチパチと嬉しそうに拍手をする武蔵ちゃん。武蔵ちゃんってもしかして日本文化に憧れてちょっと日本かぶれしているそういう設定なのか?
「と、いうことで勝負よ宮本武蔵!」
そして政子の宣戦布告はや!!というかなんでいきなり戦うことになってるんだよ。
「なんか頼友がにやけてるのが気に入らないから、一秒だっていちゃつかせないわよ!」
「べつににやけてねぇよ!普通だよ、素だよ!」
くっそマイサンビルドアップがばれてるのか、必死に反論したところで後の祭りだった。
「おーバトルですか?いいですねー私二刀流なので、負けたら政子ちゃん美味しく頂きたいデス」
そして武蔵ちゃんは武蔵ちゃんで意味不明なこと言っている。まさか二刀流ってそういう意味なの?宮本武蔵要素そこだけなの?
兎にも角にもここでまた北条政子対宮本武蔵というわけのわからない対決が始まるのであった。



「んで、対決ってなにやるの?というかやらなくてもよくない?」
向かい合う政子と武蔵ちゃんに僕は語りかけるがもはや二人共臨戦態勢といった雰囲気で僕が割り込む余地なんてなさそうだった。
「勝負はコレでつけましょう、政子ちゃん!」
そう言って武蔵ちゃんが取り出したのは何故かフラフープ。なぜだ、なぜこのタイミングでフラフープ!?
「ワタシ、五輪書書いた、五輪とは五個の輪っかイミスル、だからフラフープ対決・・・・ナノデス」
説明する武蔵ちゃんの言葉使いがさっきよりもぎこちない、完全に言わされているというかなんというか自分でも無茶苦茶な話だと思っているんだろう。
「なんでフラフープかわかんないけど、この超絶美少女北条政子様に不可能はないのよ~」
「フフフ、では五個いっぺんに回して先にフラフープ地面につけたほうが負けネ」
その言葉とともに二人の前には五本のカラフルな色をしたフラフープが姿を現す。
「もし私が勝ったら懇ろになってもらいますヨー北条政子ちゃん」
「いいわよぉ~でもま、ここでも私が勝っちゃうんだけどね」
楽しそうな武蔵ちゃんと相変わらずどこかくるのかわからない自信で余裕な様子を見せるの北条政子。
「はい、じゃよーいスタート」
やる気のある二人とは違って正直もう終わってくれと思っている僕の気のない号令によって戦いの幕は切って降ろされてしまった。


───フラフープ対決が始まって一時間後
「いやぁ、フラフープっていいものですねぇ」
達観しもはや仙人クラスの悟りを開いた僕はしみじみと呟く。
フラフープ対決なんてなにが面白いの?ねぇ何が面白いの?と思ったのだが
これが意外にも僕的に生唾ゴクリな勝負になったのだ。
いやだってさ、フラフープって腰使うじゃない?しかも落ちないように必死に動かすわけだ腰を。
「はぁはぁ、やり、ますね北条政子ちゃん」
息も切れ切れに必死にフラフープを回す武蔵ちゃん。必死に回しているとその大きな胸は揺れスカートひらりしちゃうわけ、しかも息を切らして汗をかき乱すその姿が見ている方としてはグフフなわけですよ。
「あっれ?そろそろ限界なんじゃない?」
それに対して我らがメインヒロイン北条政子はというと、これがなぜか微動だにせず余裕も余裕といった感じでフラフープを回しているのだ。しかもその手にはいつの間にかポテチとコーラが握られている。
「ナンデ・・・・なんで落ちないんですかぁ」
力尽きその場に倒れこむ武蔵ちゃんが政子に問う。確かにどう考えてもなにもせずにフラフープを回せるはずなんて無い。けど政子と言えば他人を操れる「傀儡政権」、これをなにかすればフラフープをなにもせずに回すことができるのだろうか?
「ん~つまりはこの話と一緒ってことよ」
それに対して器用にフラフープを回しながらポテチを頬張る政子が言うが、僕にはさっぱりその意味がわからない。
「話と一緒?一体どうゆうことだよ政子」
いくらテストプレイ用のキャラだからといって無茶苦茶やりすぎだろそう思い問いかけると政子は実に面倒臭そうに、そして嫌々言わされている感でこう言ったのだ。
「だ~か~ら~、フラフープは落ちない、そしてこの話もオチないってことなの」
「・・・・は、はぁ!?」
政子の言ったくっそ下らないギャグはこの南国の暑さが一気に氷点下まで落ちるくらいの寒気を感じさせるのには十分だった。





《 ツンデレ武将がやってきてラブコメになるとおもいきや俺が征夷大将軍になっていた 》
番外編:巌流島にやってきて武蔵も小次郎もぼっこぼこよ! 了






【 あとがき 】

・・・

・・






「なにそんな下らないオチで終わらせているんですか」
そう言ったのは不機嫌巨乳眼鏡の東雲さんだ。いやだってさ、しょうがないじゃないそんなのどうやっても時間足りないしオチなんて付けれないって。
コンピューター室に戻ってきた僕と政子、時間ですればイクサカーニバルの世界へ行ってからまだ五分ほどしか経っていない。
「だからといってなんですか、この終わり方は。しかも佐々木小次郎も宮本武蔵も選ばないとかそれは想定外ですよ」
「いや僕としては楽しもうとしたんだけどまさ、いや北条さんが好き放題やるから・・・・」
嘆息する東雲さんに僕は反論する。僕だってできることならばお城っぽいホテルに行って、童貞喪失イベントこなしたかったさ。でも僕の隣で「やったぁ一分切れたぁ」と言いながらソリティアで遊んでいる北条政子のおかげで全てが台無しだよ。
「まぁそういうロウでもカオスでもないニュートラルなプレイもありということですかね。ありがとうございます、平野頼朝。仕事した報酬として五万振り込ませてもらいますね」
「ご、五万!?」
東雲さんの発言に思わず僕は聞き返す。まさかあの適当にやってた仕事でまさかの五万とは思っても見なかった。
「え、五万ってあれガチャって一回三百円だろ、四十連ガチャ一万円だから・・・・やばいやばいぞ」
「あの、平野頼友・・・・申し 訳ないのですが」
興奮が止まらない僕に東雲さんは少し言いにくそうに口を挟んだ。
「あの現金じゃなくてゲーム内通貨で五万という話です」
まさかまさかのゲーム内通貨での支払いに僕は思わず天を仰いだ。

本当に本当に終わり


【 独り言 】

ボツでもリメイクでもないんだなぁ・・・・
そんなわけでたすけてください((T_T))
城姫これくしょんの2ー4が全くクリアできません
とりあえず騎士とカタパルトたんまり積んでいくしかないのかなぁ?
あの風見鶏の動きがランダムなのが困るよねぇ、でも遠征で
114/514/810/893で姫路城ちゃんが築城できたと聞いたので頑張ります
姫路城ちゃんは一回も攻めこまれたこと無いのよ・・・・つまり( ^ω^ )ニコニコ

ということで誰なんですかねぇ完全に今回書く気がなかったのに締め切り一日前に「北条政子がタイムスリップして宮本武蔵とフラフープ対決面白かった」とか意味不明なことをおっしゃった方は・・・・
締め切り延長が決まってから書き出したので酷いことになってます、すいません
・・・・というか締め切りギリギリまで書いてたのなんて初めてだよ(;´∀`)
なんかでも三日で38kbって書けるんだな。二ヶ月悩みに悩んで書いたMC49とかとそんなに変わりないっていうね。まぁ時間がないので(ただいま締め切り30分前)読み直しもしてないので誤字脱字があったらすいません
でも記念企画の方が暗い話なんで久しぶりに楽しく書けてよかったと思います、まる


べ、べつに好きで書いてるわけじゃないんだからね!  氷桜夕雅
http://maid3a.blog.shinobi.jp/


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