Mistery Circle

2017-08

【 管理人特別賞 】《 お菓子の国のアリス 》 すぅさん - 2012.07.08 Sun

ナイスキャラ&台詞賞だけでびっくりなのに、管理人さんご指名(ちゃぅ!)ってことは・・・。来年はもっと書け!という激励と思って頑張りますーーー(汗
ありがとうございました。

ってことでここでも書きますね。
え?ここじゃなくて、本編で書けと?
すみません。頑張ります。


心地いい風 。
俺の肌を、さらりと撫でて駆けていく。
「・・・懐かしい。」
ここから見える景色は、ずいぶんと変わってしまった。
ビルが立ち並び、住宅街がひしめき合う。
あの頃はもっと、のんびりとした景色だったのにな。
少し残念だけれど、でも、ここは変わらない。
立派に空へ、背伸びする逞しい木。
緑が清々しい芝生が美しい丘。
気持ちが良いな。
羽を伸ばしたくなる。
「おっと、いけないいけない。」
思わず深呼吸して、寝転がってしまいたくなる衝動を抑えた。
いや、本当は空を駆けたいんだけどな。

・・・・・・・・・・・・

今日は女将とお嬢に言われて、久々に休みを取った(取らされた)。
「たまには行きたい所もあるでしょう?」と、満面の笑みで言う女将の目が怖かったのが一番の理由だったりする。
なんでも、「勤務表に、たまには空白を作ってちょうだい」だそうだ。
ロードーなんとか、って所がウルサいらしい。
俺は、そこのヤツもウチの蕎麦に目がないから気にしなくても良いと助言したが、「いいから休む!」と真珠の付いたお守りをお嬢が振りかざしてたっけ。
あれはヤバいな、当たれば多分下手すりゃ大火傷だ。
まぁそんなこんなで、行きたい所もないからこの丘に来てみた・・・って感じだ。
思い出深い・・・ある意味ね。
あんな事があってから、ずっと敬遠してたからな。
あの子は・・・元気にやっているのか?
この丘で出会った少女。
彼女は、この世の住人ではない。
「悪禍死(おかし)の国」の住人だ。
王子様との盟約を果たすために、俺に近付いてきた少女は今何をしているんだろうか。
なんて、一人思いに耽っt「ちょっと。」
・・・気のせいか。
「気のせいか。じゃないわよ。」
この、馴れ馴れしく聞き覚えのある声は。
「お久しぶりね、タツさん?」
俺が声のする方へ振り返ると、そこには少女の面影を残した女が立っていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「なんでここに?」
お互いに、その質問から始めた。
俺は「暇で、行く所がないから」と答えた。
彼女は「あら、あの子の面倒見るの嫌になったの?」とクスクス笑った。
その笑顔には、あの時のような影はなかった。
それよりも。
彼女がここに来た、来れた理由には驚いた。
「私?王子様の独裁政権から民主主義に政権交代しちゃってさ。」との事。
今では、「悪禍死の国」と呼ばれた国を政治家が政府を作り「御家始の国」なんて、新興国家を名乗っているらしい。
そんな、笑い話みたいな事があるんだな。
俺がしきりに感心していると、彼女が思い出したかのようにポケットから何か取り出した。
「私がこっちに顔を出した理由のもう一つがね、これなの。」
彼女の手には、「すまほ」という小さな箱。
女将とお嬢も、最近夢中になっている。
「一緒にやろうよ」と誘われたけど、俺には難しくて。
なんて事を考えていると、彼女が何かを見せてきた。
「これ!!書いたのタツさん??」
彼女が俺に突き付けたのは、一つの画面。
文字が書かれているようで、ゆっくりと目で追ってみた。
・・・これ。
「『オレニチカヅクナ!!』・・・?」
あれ?
「『ねぇ・・・××さん?』・・・?」
あれ?
これって・・・。
呆気に取られる俺を、彼女がイライラした声で問いつめる。
「これ!!私とタツさんの事よね!!」
うん、間違いない。
あの時のやり取りが、一部始終書かれている。
おかしい。
この事を知っているのは、女将とお嬢しか・・・。
うん、あの二人ならやりかねない。
そういえば、女将とこの話をしてる時に目を輝かしたお嬢が傍にいたっけ。
最近、小説を書くのにハマっているなんて話だったし。
苦笑いしか出てこない俺に、彼女が追撃をする。
「これ!向こうの国で問題になってるのよ!」
それはそうだろう。
知られざる不思議な国の、大スキャンダルみたいなものだし。
「王子様に話を聞かれるわ、暴露本みたいになるわで大騒ぎだったのよ。」
うん、だろうな。
「しかも、なんか私が凄いイタい子みたいになってるし・・・顔から火が出たわよもう!!」
いや、それを言い出したら俺だって。
「と!に!か!く!『著者からの一言が欲しい!』って言われてるの!!タツさん、一緒に来て!!」
えー・・・。
俺も被害者なのに。
なんて、考えは手遅れだった。
「行くわよ!!」という声と一緒に、それまでそんなの無かったのにドアが現れた。
ぎぃ、という音が聞こえると、ドアの隙間から光が差す。
なんだか面倒くさい事になりそうな気がするけれど、今日1日退屈しなくて良さそうだ。
「行ってらっしゃい。」
女将の声がした気がしたけど、空耳だろうな。

・・・・・・・・・・・・・・・

「おはようございます、女将、お嬢。」
次の日に、満面の笑みで迎えてくれた二人に昨日の出来事を話した。
久々に会った彼女は、不思議の国のアリスでしたと。
お嬢は、しきりに「ふん♪ふん♪」と楽しそうに話を聞く。
女将は、「そう、良かったわ♪」と笑顔を浮かべていた。
でも、話さなかった事が一つだけある。
実は、ドアの向こうに行った後の話は詳しくしなかった。
何があったか?
①記者会見に呼ばれた。
②何故か、アリスとして有名な彼女の婚約者になっていた。
③「明日も来てくれるかな?」と、サングラスをした男性と話をさせられた。
正直、疲れた。
濃すぎる1日で、少し痩せたかもしれない。
でも、そんな事も言ってられないな。
早く開店の準備をしなければ。
俺は、必死にメモを取るお嬢をなだめながら席を立つ。
「待ってー!タツさん!最後に一言!」
お嬢が、行かないでー!と叫ぶ。
「・・・ノーコメントで。」




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