Mistery Circle

2017-08

《 灰燼の街 》 - 2012.07.24 Tue


 著者:李九龍







 最初に風の音が聞こえた。続いて、その風を受けてがたがたと軋む窓の音。
 同時に、遠くで私を呼んでいる“彼”の姿が遠ざかる。もう名前どころかその顔さえもおぼろげにしか思い出せないと言うのに、なんて残酷な事なのだろう。
 あれは、いつの日のどんな場面だったのだろうか。白く発光したかのような彼のその表情は、笑った口元だけで私に何かを伝えていた。
 私はゆっくりと、水底から浮上して行くかのように覚醒して行く。やがて彼の姿どころかその世界の全てまでもが白き闇へと包まれた時、現実の世界の私が目を覚ます。――そこはまだ、夜の真っただ中だった。
 まず最初に、例えようもない哀しみが込み上げて来た。いつもの事だと言うのに、どうしても慣れる事の出来ない感情だ。
 店の中は、誰の姿もない空虚な世界だった。木製の床に、赤煉瓦の壁。向こうには赤々と燃える暖炉の火。丸いテーブルが五脚と、部屋の隅にはレトロチックなジュークボックス。天井のファンがからからと絶え間なく乾いた音を響かせて、部屋の四方のスピーカーは静かなジャズを流してくれている。
 どうやら私は、またしてもここで居眠りをしてしまっていたらしい。私はカウンターの奥でスツールに腰掛けながら、窓の外の暗闇で瞬いている赤と青と緑色のネオンの灯りを眺めている。突然、ごうと言う強い風が前の通りを走り抜け、白き灰が粉雪のように舞い上がるのが見て取れた。
「今夜は風が強いわ」
 呟きながら立ち上がると、今夜はもう店仕舞いにしようかと思いつつカウンターを抜け出し、店の出入り口であるドアの前に立つ。
 鏡のように店内を映すその大きなガラス窓は、私の姿さえも映し出してくれている。
 腰まであるストレートな長い黒髪。ジプシーを連想させるような長い丈のスカートと麻の衣装。変わり映えのしない、いつもの私だ。
 サラ、あなた暗い顔をしているわよ――と、私は向こうの自分に問い掛ける。“サラ・アボリャクシニス”それが私の名前……だった筈。今はもう、何もかも自分の記憶に自信が持てないけれど。
 ひゅおぉぉぉぉぉぉ――
 風が鳴る。吹く風は泣き叫ぶ女の声を連想させ、店の前を通り過ぎて行く。
 嫌な夜ね。思いながらドアに鍵を掛けて振り向けば、向こうの壁の前を白い鼠が急ぎ足で横切って行くのが見えた。
「あら、久し振りね。テディ。あなたもまだ、ここにいたの?」
 懐かしさのあまりに声を掛ければ、その頃には既に、鼠のテディは物陰へと飛び込んで見えなくなっていた。
 珍しい事もあるものだわ。テディを見掛けるなんて、と思った瞬間だった。
 サクッ、サクッと、表の通りを歩く人の足音。――まさかと思い振り返れば、向こうの窓の外に帽子をかぶった男の人の姿が見えた。
 まさか! そんな……まさか。
 目を疑いながらも急いで取って返し、鍵を開け、恐る恐るとドアを大きく開け放つ。
 灰に埋もれ、白一色に染まる夜の街。数歩先の店の窓の外に立つ、コート姿の男の姿。中からの窓の光を受け、その男の顔がぼんやりと闇の中に浮かび上がる。
 言葉が、喉でつかえて出て来ない。何か――何かを言わなくちゃいけないのに。
 無言のまま立ち尽くす私を眺め、男はゆっくりとその帽子を脱ぎ、軽く会釈をした。そしてやけに優しく、静かに、「こんばんは」と、私に笑い掛ける。
 あぁ、あれはいつの日のどんな場面だったのだろうか。記憶の中の“彼”と、姿が重なる。そしてさっき見た夢の続きであるかのように、男は私を見て、「素敵な夜ですね」と、そう言った。
 それが、彼。私がこの世界で“一番最後”に出逢った運命の人、リュート・D・クロフォードだった。
 夜の明けない闇だけの世界。人が絶えて久しい終末の世界。孤独と絶望しかないこの世界の中で、おぼろげな満月の明かりにさらされている彼だけは、何故かやけに優雅で明るく見えた。

 *

「驚きだ」
 彼は店に入るなり、最初にそう言った。
 脱いだコートと帽子をポールハンガーに掛けると、リュートはぐるりと店の中を一周し、そしてカウンターの席へとやって来た。
 彼は、やけにスマートな男だった。
 痩せている、と言う意味ではない。こんな世界にありながら上下を茶系のスーツで包み、頭髪は綺麗に後ろへと撫でつけている。要するに、洒落者だと言う事だ。
 彼は私の真ん前への席へと腰掛け、そして値踏みするように背後の棚に並ぶ酒瓶を眺め、無難なスコッチウィスキーを注文した。
「どこから――?」と、スコッチをショットグラスに注ぎながら私は聞いた。そして彼は、「フロリダ」と答え、「マイアミですよ」と続ける。
 私は返答に困り、「まぁ」とだけ答えた。何しろ私が聞きたかったのは、今日までどうやって生き延びてこられたのかと言う内容のものであり、そして何よりフロリダと言う場所を聞いてもピンと来る事がない。きっとどこかの地名か何かなのだろうが、既に色んな物事を忘却してしまっている私にとっては、まるで馴染の無い言葉でしかないのだから。
「いつ頃からここで?」
 彼に聞かれ、私は困った顔で微笑みながら、そっとグラスを差し出した。
「大昔過ぎて、覚えておりませんわ」
「そうですか」
 リュートはそれ以上詮索する事はせず、黙ってグラスを傾けた。途端、ひょぉぉぉぉぉ――と、外の通りを風が通り抜ける。
「酷い風だ」
「えぇ、そうですね」
 言ったきりリュートは、無言のまま外を眺める。整った横顔が美しい人だなと、私は心の中で密かに思った。
 曲が変わり、私の好きなジャズアレンジのCopacabanaが流れ出す。リュートは頬杖をつきながら目を瞑り、その曲に耳を傾ける。ふと、私の頬に一筋の涙が伝った。
 あれ、どうしたのかしら――と、私自身が不思議に思ったぐらいだった。一度込み上げた感情は留まる事を知らず、その視界が滲んで見えなくなる程に、涙は次から次へと溢れ出て来る。両手で顔を押さえるも、それは収まるどころか、自然に咳き上げ始めてしまう。
「……どうしました?」
 リュートは目を開け、驚いた表情でそう問い掛けて来た。
「いえ、何でも――」と、私は声にならない声でそう返す。
 もはや立っていられる程の余裕も無く、私はカウンター内側のスツールに腰掛けると、もうはばかる事無く声を上げて泣き始めた。そうしながらも私は思う。あぁ、私の中にはまだ、こんな感情が残っていたのだと驚く。絶望でうちひしがれて、心の起伏など全て枯れ果ててしまったのだろうと思っていたのに。
 リュートは優しい人だった。泣いている私を無理になぐさめるでもなく、そっとしておいてくれる。そうして私はどれぐらいの時間を泣き続けたのだろう。気が付けば曲は一周し、再び店内にはCopacabanaが流れ始めていた。
「あの……ごめんなさい。何のお構いもしないで」
 言うとリュートは、「ご心配無く」と笑い、勝手に飲んでると言う仕草なのだろう、酒瓶を持ち上げて見せた。
 しばらくの、静かな時間が流れた。私は氷を入れたグラスを瞼に当てて腫れを冷やしながら、「教えていただけますか」と、自分から話を振っていた。
「僕で良ければどうぞ」
 言われて私は可笑しくなって少し笑った。僕で良ければ――か。他に代わりの利かないこの世界で、良いも悪いもないでしょうにと。
「リュートさん、あなたはどこかで他の生存者の方々を見掛けた事はありましたか?」
 聞けばリュートは無言で自らの唇をなぞり始める。そうして少しの時間考え込んだ後、「あなたを除けば誰一人としてお逢いしてませんね」と、答えた。
「やっぱり……」
「それより僕にとっては、あなたこそどうしてこんな場所でバーなんかやっているのか、そっちの方が不思議ですよ」
「あぁ、それは」と言い掛けて、“彼”の名前を思い出そうとするが、やはりどうしてもその辺りの記憶は曖昧だった。
「人を、待っているんです」
「へぇ、誰をです?」
「昔、ここに一緒に住んでいた“彼”です」私は言った。
「ある日彼は、まだこの世界に生き残っている人がいるかも知れない。他に、人々が暮らす集落があるかも知れない。そう言い残して出て行きました。そしてそれっきりもう――」
「帰って来ない?」
「えぇ」
 多分、どこか遠くの地で亡くなったのでしょう。とは言わずに。
 ごうと、風が鳴る。通りに面した窓ガラスが一斉に軋んだ音を立てる。そして私は自らのグラスにスコッチを少しだけ注ぎ、「今度はリュートさんの番ですよ」と笑った。
「あぁ、僕は……」と、照れたような笑みを浮かべ、「人を探しに来たんですよ」と、答えた。
「まぁ。私とは逆ですのね」
「そのようです」
「それで、その探し人は見付かりましたか?」
 わざとそう聞けば、「えぇ、もちろん」と彼は答え、グラスを持った手で私を指差し、「見付かりましたよ」と笑う。
 不覚にも、また涙が溢れ出て来ようとする。私は無理に微笑んで、掌で瞼をこすった。
「残念でしたね。人類最後の生き残りがこんな私で」
「とんでもない。こんな絶世の美女を最後までお残しになるなんて、神もなかなか粋なはからいをするものだなと感心していた所です」
「それは私も……」
 言い掛けて口をつぐむ。どこか冗談ではなく、本気で受け答えしてしまいそうになる自分に気が付いたからだ。
 なんだか少し頬が熱いわ。思った瞬間だった。コココココ――と、薄く小刻みな音が店の中に響き渡った。
「何ですか、この音」
 リュートが聞く。そして私はそれが、リュートの目の前に置かれたグラスが揺れて立てている音だと気付く。
「地震……ですね」
 私は言う。途端、足がよろめくような大きさの揺れが来て、建物全体が酷い軋み音を立て始める。
 珍しく大きな地震だなと思った。店の棚から酒瓶が落ちるかと心配したが、どうやらそこまでの大きさではなかったらしい。次第に揺れはおさまって、何事もなかったかのように静まり返る。
「凄いですね」
 言われて私は、「そんなに珍しいものではないでしょう」と、苦笑いしながら答える。
 もう、地震も突風も死の灰も、全ては慣れっこになってしまった。怖いのはただ、孤独と言う哀しみだけなのだから。
 ふわり、ふわりと、窓の外に雪のような灰が降り始める。リュートはそれを不思議そうに眺めながら窓辺へと立ち、「素晴らしい」と呟いた。
「素晴らしいって……何がですか?」
「いや、美しいなと思っての事です。満月の空に雪見酒。なんとも風流な話じゃないですか」
 何をのんきな事をと、私は苦笑しながらカウンターを回り込み、彼の真横へと立つ。
 リュートは思った以上に背が高く、そして柔軟さを感じさせる身体つきの男性だった。右手には、スーツには少々不釣り合いな麻糸の太いヘンプが巻き付けられていて、気が付けば自然に、私はその掌を握っていた。
 ふと、彼が横顔を傾けて私を見た。どきりと心臓が高鳴り、私は思わず彼の腰へと手を伸ばし、その胸に頬を寄せる。
「サラさん……」
「リュート」彼の名を呼んだが最後、その我慢は限界だった。
「どこにも行かないで。お願い……あなただけは、ずっとここにいて」
 顔を上げる。見降ろす彼の瞳と、視線が交わる。
「代わりに、全てをあげるわ。店も、私も……そしてこの命も」
 だから殺して。という言葉だけは、必死に飲み込んだ。
 そっと、彼の手が私の背に回る。唇が優しく、私の額へと触れる。
「行きませんよ」彼の返答には、迷いが無かった。
「死が二人を分かつまで――ね。僕はずっとあなたの傍にいましょう」
 その言葉を聞いて安心したのか、肩の力が抜けて膝が笑う。腰くだけのようにへなへなと座り込みそうになるのを、彼は片腕で引き寄せて軽々と抱き上げてしまう。
「リュート、怖いわ」
 言いながら彼の首へと抱き付く。するとリュートは、「大丈夫ですよ」と笑いながら、店の奥のテーブル席へと向かい、その椅子の一つへと私を下ろす。まだもう少し彼に触れていたいと言う気持ちもあったが、仕方なく彼の袖口を手放した。
 彼は私の向かいに腰掛けしばらくの間ぼんやりと店内を見回していたが、何を思ったか今度は逆側の壁の方を向き、そこに掛かっている額縁の写真を指差し、「あれは?」と聞く。
「あれは――この店を撮った写真ですね。まだこの頃は、世界も平和だったんでしょう」
 それは表の通りからこの店を写した一枚。色は褪せてもはやモノクロに近いだろう写真だったが、その店の背後に広がる青空と木々が今とは違う時代だったと言う事を教えてくれている。
「サラさん、ではその写真はあなたが撮ったもの?」
 聞かれて私は、「違うと思います」と、曖昧に答えた。
「先程も言いましたが、恥ずかしながら私は過去の事はほとんど何も覚えていないんです。長い時間を掛けて忘れて行ってしまったのでしょうね。だからあの写真について訊ねられても、何一つとして思い出せる事はありません。ただ、そこにずっとあったと言う事しか……」
「なるほど」
 次にリュートは壁に掛かる時計を見た。時計の針は2:24を指したきりで、秒針が9と10の間を行ったり来たりしている。要するにもう、その秒針を持ち上げるだけの電池の残量が残っていないのだ。ただ時折、かちり、かちりと音がするだけ。耳障りな無用の長物でしかなかった。
 次に彼が見たものは、少し離れた場所に立つ、白い鼠のテディだった。
 床の上に後ろ足だけでちょこんと座り、私達を見上げるようにしている。ふと、その光景に見覚えがあるような気がして――
「あぁ、懐かしいわ」
「懐かしい……とは?」
「一緒に暮らしていた“彼”と、ここのテーブルに座っていると、いつもこうして近くに寄って来て見上げるんですよ」
「へぇ、人懐っこいんですね」
「そうでもないですよ。滅多に姿を見せる事なんてないんですから」
 そして私は、その鼠に付けた名前や、“彼”に関する数少ない記憶を、リュートに語って聞かせた。リュートはそれを嫌がるでもなく、全て真剣に耳を傾けてくれた。
「ところでその“彼”とは、昔からずっと一緒だったのですか?」
 聞かれて私は、「いいえ」と答えた。
「“彼”はあなたと一緒で、この世界の終焉がやって来た後に知り合った男性です。ある晩ふらりとこの店へとやって来て、それからずっと一緒にここで暮らしました。物静かな人でほとんど自分から喋ったりとかしなかったんですけど、ある時、“君を助けたい”とだけ言って、ここを出て行きました。そして私は助かるどころかまた再びの絶望を味わう事になりました。私はただ、一緒にいてくれさえすれば満足だったのに……」
 リュートは唇をなぞりながら黙ってそれを聞き、私が話し終わった後、少ししてから、「なるほど」と答えた。
 立ち上がり、リュートは鼠のテディの傍に立つ。不思議な事にテディは逃げる様子もなく、彼の接近を許す。私ですらあそこまで近寄れた事などなかったのに。
「サラさん、お酒をいただけますか。なるべくアルコール度数の高いやつを」
「はい。お探しします」と、立ち上がり掛けた所を手で制止される。
「いや、あなたはそこにいて。酒は自分で探しましょう」
 リュートはそう言ってカウンターの向こうに回り込み、一通り眺めた後で、「これがいい」と、火の点く程に度数の高い一本のウォッカを手にして戻って来た。
「グラスは――」
「使いません」
 私が言い掛けてる途中でリュートはそう答え、テディの脇を通り、椅子に腰掛ける。
「一つ僕も、昔話をしていいですか」」言いながらリュートは酒瓶の蓋を開ける。
「世界がこうなる前。とある田舎町のバーで、一人の男性と知り合いました。彼は五十代半ばかそれ以上の年齢で、着るものにはまるでこだわらない、蓬髪で濃い髭面の人です」
「はい」
「街では、飲んだくれでホラ吹きな男として有名でした。――あぁ、あいつの傍には近寄るな。ウソばっか言いやがるぜと、陰口を叩かれる程で」
「まぁ、どんな嘘を吐くのですか?」
「それが面白い事に、“たった一つの嘘”だけなんです」と、リュートは笑う。
「彼は誰かと逢う毎に、そのたった一つの嘘を言い続けた。そしてその晩、彼は僕の横に来て、その嘘を語って聞かせた。それは僕にとっては非常に面白く、そして興味深い嘘でした」
 言いながらリュートはウォッカの瓶の蓋を開け、そっとそこから匂いを嗅ぐ。途端、顔をしかめて再び瓶に蓋をした。
「サラさん、“ウラシマタロウ”と言うお話しは御存知ですか?」
 唐突に聞かれ、私は「いいえ」と首を振る。
「まぁ、知らないのは無理もないでしょう。これは僕の数ある祖国の一つ、“日本”の国の物語です。とある男が竜宮城と言う海底の国へと辿り着き、そこで数日を暮らした後に地上へと戻ってみれば、既に世界は数十年の時間が経っていたと言う、そんなお話しです」
 リュートは語るが、私にとってはその意図が今一つわからない。
「その男も、僕の横に来てこう言いました。“あんた、ウラシマタロウって話は知ってるか?”とね」
「……えぇ」
「僕が知ってると答えると、男は嬉しそうに微笑みながら、“実は自分がそのウラシマタロウだ”と、そう言ったんです」
「それがその男性の吐く、たった一つの嘘?」
「その通り。実につまらない嘘です」
「まぁ、さっきあなたは、興味深い嘘だとおっしゃってたじゃないですか」
 笑いながらそう言うと、「いや、興味深くなるのはここからなんです」と、リュートは続ける。
「彼は実に、僅か数カ月で六十数年程の年月を飛び越えてしまったそうなんです」
 再び、ひゅぉぉぉぉぉ――と、表の通りで風が鳴った。

 *

「彼は、ウィスコンシン州にある、キルズ・ロックと言う街にいました。周辺をミシガン湖に囲まれた、美しい街です。そこに、“Indigo”と言う名のバーがあり、彼はいつもそこに入り浸っておりました」
「――えぇ」
 私には話の方向性がまるで見えず、とりあえず適当に相槌を打った。
「彼はある僅かな時期、仕事の関係でカナダのオンタリオに住んでいたそうです。そこで彼は、不可思議な事を体験してしまう」
「どんなです?」
「彼は仕事で訪れていたとある軍事施設の中で、図らずも立ち入り禁止区間に入り込んでしまった。そしてそのまま行方不明。数年が経ち、彼の名前は“死亡”と言う形で抹消される事となる」
 言いながらリュートは、スーツの内ポケットから一枚の写真を取り出し、私に見せた。
「名前は、グレッグ。民間で、軍の特殊な請け負い仕事をしていた若い青年だった」
 見た瞬間、私の心臓が飛び出さんばかりに高鳴った。曖昧だった記憶は一瞬にして鮮明になり、“彼”の顔どころか、その声や肌の匂いすら思い出せる程だった。
「彼はそれから六十四年もの歳月を経て、行方不明となった当時の若い姿のまま同じ場所へと現れた。もちろんそれがグレッグ本人だなどと誰も信じる者はなく、彼は不法侵入者として捕えられ、長い尋問を経て解放される。もちろん、六十年以上も経ってしまったその世界で、彼は頼れる者や身内だった人も無く、無気力のまま故郷のキルズ・ロックへと帰り、その後の数十年はその日暮らしな生活を送る事となる」
「待って」私はたまらず、その話に割って入った。
「あなたはさっき、五十代半ば程の男性の話をしていた。なのに今は、この若い男性の話になっている。なんだか話が飛躍し過ぎて良くわからないわ」
「判らないですか?」リュートは困った顔をする。
「僕は全く話を省略なんかしておりませんよ。僕がキルズ・ロックで知り合った老人男性とは、まさにこの写真の青年の事です」
「そんな――」私は言葉に詰まる。
「ありえ……ないわ。だって、だってこの人は、ここで私と一緒に暮らしたあの“彼”なのよ。名前も思い出したわ。グレッグ……グレッグ・カーターよ。彼は私よりも二つ年下だった。ハニートーストが大好きで、私は良く彼に焼いてあげていた」
「えぇ、その“彼”です。グレッグもあなたの事を思い出し、語っておりました」
 ガタンと、激しい音が鳴る。それが自分の立てた音だと気付くのにはしばらくの時間を要した。
 私は両手で自らの顔を押さえ込み、そして恐る恐ると振り向いた。
 老人? 彼が、老人? ――では、私は? 私はどうなの? 私は自分で気付いていないだけで、もうとっくにみすぼらしい老婆に成り果てていたんじゃないの? 思いながら震える足で窓辺へと寄り、自らの顔を映す。
 指の間から見える両方の瞳。そしてその両手が顔から離れれば――いつもと変わらぬ、疲れた表情の女の顔がそこにあった。
 しばらく考えあぐねた後、「嘘を言ったのね?」と、私はリュートに問い掛けた。
「嘘? いいえ、僕は何一つとして嘘は言っておりませんよ」
「じゃあ、これはどう言う事なの? 確かに酷い顔はしているけど、私はまだ老人と言う程に老いてなんかいないわ」
「いやいや、サラさんが疑問に思う部分については、全てあなたの見たままですよ。酷い顔だなんてとんでもない。あなたはまるで奇跡のように美しく、そしてお若い。それについては真実です」
「ならどうして、彼が老人だなんて嘘を言うの」
「それも嘘ではないのです」
 言いながらリュートは、またしても内ポケットから何かを取り出す。Uの字型をした、蹄鉄のような形の細く白い物体。
「グレッグさんから、あなたに。――いつかプレゼントしたいと言っていた、約束のものらしいですよ」
 言われて私は察しが付いた。あぁ、これはきっとカチューシャと言う装飾品だ。いつだったか彼が、私の長い髪を眺めながらそんな約束をしてくれた事を思い出した。
「グレッグ……あぁ、本当にあなたなのね」言いながらそれを胸に抱き、「どうしてこんな事になってしまったの?」と、リュートに問い掛ける。
「こんな事――とは? あなたと彼との間に、奇妙な隔たりがあると言う事ですか?」
「そう。それを知りたいわ」
「説明してもいいのですが……残念ながらもうほとんど時間は無いようだ。僕はもうそろそろここから出なければ、グレッグと同じ運命を辿る事になる」
「出るって……リュート、あなたさっき言ってくれたじゃない。この先もずっと一緒にいてくれるって」
「えぇ、言いましたね。但し、こう付け足した筈です。“死が二人を分かつまで”と」
 ぞくり――と、微かな悪寒が背中を走る。
「リュートさん、あなたもしかして……」
「僕はグレッグさんから、こう頼まれました。“彼女の命を導いてやってくれ”と」
 言いながらリュートは立ち上がる。重そうなウォッカの酒瓶を握り締めながら。
「あなたは、“死神”?」
 聞けばリュートは薄く微笑みながら、「多分、そんな所です」と告げた。
 あぁ、死ぬのか。私は彼の手に掛かり、ここで命を落とすのか。
 あれだけ死にたい、死にたいと願っていたと言うのに、いざこんな場面になると怖いと感じるものなのね。
 思い、覚悟を決めた時だった。リュートは酒瓶の蓋を開け、その中に溜まる液体をほんの少し、床へとこぼした。
 じゅわあぁぁぁぁ――と、不吉な音を立てて床から煙が立ち昇る。それを見て私が驚くより前に、リュートの方が驚きその場から飛び退る。
「ここはやけに凄い空間だな。融合性が尋常じゃなく強力だ」
「リュートさん、あなた一体、何を……?」
「“ほころび”を作ってます」リュートは言う。
「長い説明は無理ですが、これだけはあなたに言っておきましょう。決して世界は滅んでなんかいない。不幸にも、あなたはただ時間の流れに取り残されてしまっているだけ。グレッグさんはここから出た後もずっと、あなたを助けたいと願いながら長い年月を経て、あんな年齢になってしまった」
 私は思わず口を押さえる。彼はまだ、私の事を覚えてくれているのだと知り、胸が熱くなる。
「彼は決して、あなたを捨ててここから出て行ったんじゃない。そしてあなたを連れて行かなかった理由もまた、あなたがこの空間に縛り付けられていると言う事に気付いたからだ」
「私が……? あぁ、私は一体、どんな人間なのです? どうして私はこんな世界に取り残されてしまっているのです?」
「多分、どこにでもいる若い普通の女性ですよ」リュートは笑う。
「ちょっとだけ、他人の目を惹くような美人な女性と付け加えておきましょうか」
 言われて私は照れながら、手にしたカチューシャを髪に止めた。
「さぁ、では元の場所に帰りましょうか」
「――どうやってです?」
「ヒントは、ずっとテディが教えてくれていました」
 言いながらリュートは、白い鼠の横に立つ。そしてそこから数歩をずれて、今度はその強い酒を床に撒き始めた。
「テディは多分、“憑代”だった。この子を生け贄に、何かの術を施された」
「術? 生け贄? なんの話なのですか?」
「下らない俗な話です。お気になさらず」
 鼠を中心にして大きな円を描くように酒を撒けば、リュートは今度は屈み込み、オイルライターを取り出した。
「やめて! テディが可哀想よ」
「ご心配なく。火は点きますがさほど大きなものにはなりませんし、それに――」言いながらリュートは立てた親指でテディを指差す。
「彼もまた、それを望んでるようですよ」
 笑い、そしてリュートは火を放った。一瞬にして火は立ち昇り、赤々と店内を照らし出す。
「さぁ、ぐずぐずしてはいられませんよサラさん。この火が消える前に、向こうの世界へとあなたをいざないます。いいですね?」
「リュート……もちろんあなたも一緒に来てくれるんですよね?」
 言うとリュートは困った微笑みを浮かべながら、静かに首を横に振った。
「ここでお別れです、サラさん。あなたと僕とでは住むべき世界がまるで違う」
「なら私は、あなたの住む世界へと行きます」私は強い意志でそう言った。
「今更、何の記憶もない以前の世界へと戻って困り果てるより、私はあなたと同じ世界へと行きたい。そこに行けば、グレッグだっているのでしょう? なら私も、そちらの世界に連れて行って下さい」
 リュートは僅か一瞬だけ迷ったような表情を見せたが、すぐに笑顔となり、「いいえ」と、告げた。
「これは、“夢”です。あなたにとっては非常に現実的で果てしなく長かった夢でしょうけど、実際は午睡の合間に見た僅か一瞬だけの短い夢です。現実の世界にいた時の記憶が無いとか、そう言う心配など無用ですよ。起きればもう、どんな夢の記憶も静かに薄れて行くだけです」
「嫌よ!」私は叫ぶ。
「忘れるなんて嫌。確かにこの世界は絶望と孤独ばかりだったけど、それでもまだ微かに覚えてる。あなたも“彼”も、私には凄く優しかったわ」
「その“彼”が、望んでいるんです」リュートは返す。
「グレッグさん自身、あなたと一緒にただ黙ってここにさえいれば何の危険も無かった。
いつか来るであろう本当の世界の終焉まで、永遠のように二人きりで生き続けるだけだった。でも、彼は自らの危険を冒す選択をした。例えあなたと二度と逢えなくなろうとも、例え彼の残りの人生を棒に振ろうとも」
「グレッグ……」
「それでも彼は、あなたを元の世界に戻してあげたかったんですよ」
「……」
「そして僕も――あの子もね」
 リュートの視線の先には、炎の輪の中に立つ一匹の白い鼠。見上げるその目が私と合えば、じわりと世界が滲んで見えた。
「さぁ、行きましょう」
 言ってリュートは、写真の前に立つ。そして彼は私の手を取り、その写真の前へとかざす。
「触れるだけです。後はもう自動的に、あなたは向こうの世界だ」
「リュート、やっぱり私……怖いわ」
「判りますよ」リュートは私の手を握ったまま、写真を眺めつつそう語る。
「怖い夢と言うものは、目覚める時が一番怖いものです。でも、安心して下さい。あなたがここで感じたその絶望は、もう向こうの世界には無いものです」
「リュート……彼に伝えて。“愛していた”と」
「あぁ――しまった。忘れていた。彼からも、全く同じ事を頼まれてましたよ」
 言いながら彼は私の肩を軽く叩き、そして数歩程、後ずさった。
「絶対にあなたの事を忘れないわ、リュート」
「光栄です。私もきっと、何かある毎にあなたを思い出す事でしょう」
 私が彼の笑顔に同じ微笑みで返したその瞬間、伸ばした指の先が何かに触れたような気がした。
 それが――私がその世界に存在した、最後の記憶だった。

 *

 立ち昇る青白い炎が消え去ると、そこはただの暗く黴臭い空間だった。
 捨て去られ、忘れ去られ、何十年を経てここに存在したのだろうか。その廃墟となったバーの中には未だ、酒瓶やグラス等がそこ此処に落ちて転がっている。
 一体、過去にここで何が起こったのだろうか。まるで突然の事件か事故に、人だけが逃げ出したかのようにも見える。
 チィ――チチチチ――
 鳴き声に振り向けば、焦げた円の中心にぽつんと立ち尽くす一匹の白い鼠。リュートはそれを見ながら、「ご苦労さま」と、小さな声で囁いた。
 リュートはその場でしゃがみ込む。そして「やはり」と呟きながら、その円の中を見回す。どうやらそれは魔法陣のようなものなのだろうか。円の中には幾何学な模様や解読不能な文字等がびっしりと描き込まれている。
 そして今度は立ち上がり、壁に掛かった額縁の前へと向かう。そこには山羊の顔をした悪魔の絵が掛かっており、リュートがそれに手を伸ばせば、絵ははらりと剥がれて床へと落ちる。その下には、先程、“向こうの世界”で見た、サラの店の写真が飾られていた。
「なるほどね。こう言う事か」
 言いながら鼠の方を向き指を差せば、その右の手首から焦げて落ちる一本の麻のヘンプ。それを見てリュートは、「あぁ、もう限界か」と呟いた。
「流石はユナの作ったお守りだな。どうやら僕は、ウラシマタロウにはならずに済みそうだ」
 そしてリュートはふっと息を吹き掛け、写真の額に降り積もった埃を払ってから、それを壁から取り外した。
「どう言う経緯でこんな辺鄙な場所に辿り着いたのか……」色褪せた写真を眺めつつ、リュートは何を想うか薄く微笑んだ。
「災難な話だったな」
 リュートはその額を脇に抱え、店の入り口へと向かう。途中、チチ――と鳴く鼠の存在に気付き、引き返しては再びしゃがみ込む。
「君も災難だったな。どこから連れて来られたのかは知らないけど、もう君も自由だ。どこにでも行くといい」
 だが鼠は何も言わずただリュートを見上げるだけ。そしてリュートはしばらくその鼠と目を合わせ続けた後、「一緒に来るかい?」と聞いて、手を差し出した。
 鼠は一瞬迷う振りをした後、素早い動作でリュートの手を伝い、そのスーツの胸のポケットの中へと飛び込んだ。それを驚きの表情で見ながら、「来るのか」と苦笑し、そしてリュートはコートと帽子を身に付けて、今度こそ店の外へと向かった。
 外は、夜が明けたばかりの灰一色の世界だった。
 立ち並ぶ廃屋の街並み。人の姿どころか動物や昆虫すらも存在していないだろうと思わせるような死の世界。降り積もる灰は崩落し掛かっている家々どころか、見渡す限りの視界全てが、真白き灰に覆い尽くされていた。
「美しいな」
 言いながらリュートは、サクサクと靴音を立てながら来た道を引き返す。
 途中、ポケットから這い出た鼠がチチと鳴き、リュートは足を止めた。
「どうした?」
 帽子の唾を上げながらリュートは聞く。鼠はどうやら手に持っている写真を見ているような気がして、リュートはそれを朝日の中で眺めて見た。
「へぇ」と、リュートは微笑む。
「グレッグにこれをプレゼントしたら喜ぶかな?」
 聞けば鼠はそれに賛同したかのように、チチ――と鳴いた。
 果たしていつの間にそれは現れたのだろう。写真には、カチューシャで髪を上げ、はにかみながら店の前に立つサラの姿があった。

 *

 最初に風の音が聞こえた。続いて、その風を受けてがたがたと軋む窓の音。
 同時に、あぁまたここで眠ってしまったのねと思いながら、私は店のカウンターに突っ伏した姿勢のまま目を覚ます。
「リュート……?」
 呟いてから気が付く。それは一体、誰の名前だっただろうと。
 浅い午後の眠り。外は快晴で、風の音どころか微風すらもないような上天気。なのに、さっきまではやけに暗い夜の中で、孤独に打ち震えていたかのような嫌な気分が残っていたような気がした。
 何の夢だっただろう。目覚めて行く最中、必死に、「忘れちゃいけない」と念じていた自分を思い出す。だが覚えているのはそこまでで、後はただ酷く哀しい気持ちだけが胸の奥で沈んでいた。
 いや――哀しいだけじゃない。何故かどこかに、凄く優しかった“何か”の破片を感じ取る。後もう少しで、その何かを思い出しそうになる直前、「見てくれよ」と、店の入り口に立つ大柄な男に声を掛けられる。
「どうしたのよ、パパ」
 私が聞けば、「思い切って買っちまった」と、自慢げに何かの小さな機械を持ち上げてみせた。
「何それ?」
「カメラさ」と、パパは言う。
「最新型の奴さ。しかも今度のはカラー仕様だ。俺達が見たまんまの色で写るんだぜ」
 どうでもいいわよ、そんな事。――とは言わずに、「凄いわね」と、私は苦笑いしながら返す。
 思わず、とんだ邪魔が入ったわ。今なんだか非常に大事な事を思い出しそうになっていたのに。もう一度物思いに更けようと思った矢先、「一枚撮ってやろうか?」と、パパはフィルムを巻きながら笑う。
「結構よ」
 そう言って断れば、「遠慮するなよ」と、無遠慮な返事。あぁもう面倒臭いわね。一枚だけ付き合えば解放してくれるかしらと、何気なく鏡を覗けば――
 あら、これ何かしら? いつの間にそんな物を付けたのだろう。持っている覚えのない白いカチューシャが髪に止まっている。
 何だろう……とても、そうとても大事な人が……。
 思い出せるのはそこまでだった。もうどれだけ懸命に思い起こそうとしてみても、夢の記憶は二つの世界の狭間で四散してしまったかのように何も掴めない。
「まぁ――いいか」
 溜め息を吐き出しそう呟くと、私は鏡の中の自分にウィンクし、上げた前髪もいいじゃないのと自分を褒めた。
 そこに、「おい、サラ。まだか?」と、パパが表から顔を覗かせる。
「どうしても撮らなきゃダメ?」
 呆れながらそう聞けば、「撮っておけよ」と、パパは言う。
「撮っておけば……ホラ、その写真がどこの誰に見られるかわからないじゃないか」
「どう言う意味よ。それこそ全くわからないわ」
「要するに」と、指を立ててみせる。
「その写真のおかげで、どっかのいい男に見付けてもらえるかも知れないだろうって話だ」
 言いながら、ハハハと笑って表の通りへと出て行くパパ。
 何をのんきな事を言ってるのよ。悪態を吐きながら私はカウンターを抜け、窓辺へと立った。
 いい天気ね。なんだか死神さえ仕事を放棄しちゃいそうなぐらい。
 表から、おぉいと私を呼ぶパパの声。そして私は、「今行くわ」と返事をしながら、光一杯の世界へと向かって飛び出した。





《 灰燼の街 了 》





【 あとがき 】
実はこれ書き終わる前、ニカラグアの森の奥地で怪事件が発生し、次々と人が消えて行く……と言うリュートシリーズのホラー書いてたんだけど、あまりの大長編なっちゃってやめたんだよな。勿体ないけどお蔵入り。
で、こっちの短編の方は、前々からあたためていたネタの一つなんだけど、思った程に面白くは出来なかったかな。残念。
とりあえず、ここまで読んでくれた方、どうもです。


李九龍


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