Mistery Circle

2017-11

《 軌跡 》 - 2012.07.26 Thu

《 軌跡 》

 著者:幸坂かゆり








 裏切ったのは、あなたの方だ。
 愛子はずっと昼間から歩き続けている。心の中で繰り返す独り言は頭から離れず、振り払うこともできないまま。ここがどこなのかもわからない。陽が沈んだ山道は暗く、携帯電話は圏外で腕時計も暗くてよく見えない。でも道は舗装してあるのだから間違いなく人間が拓いた道だろう。でもここで何か起きたとしても構わない。どうなってもいい。そう思っていた。今も思わないでもない。けれどたった今のこの状況は先ほどと少し違う。

 真っ暗な中を歩く幽霊のような女に話しかけてきたツワモノがいたのだ。
「お姉さん」だなんて言って。こんな女に声をかけるような男はさぞや女に飢えているのだろう。愛子は立ち止まって傍らに停まった車に目を向ける。
「こんな時間にこんなところを歩いていたら襲われますよ」
 先入観で男だと思い込んでいたが車の中のその人は女性だった。愛子は少し驚いて沈黙してしまった。
「あの、もしもね…」
 助手席のドアが開いた。
「おかしなこと考えてるんだったらわたしに騙されたつもりで乗らない?」
「おかしなこと?」
「自殺とか」
 思わず声の主の方を見る。
「別に攫ってどこかに売るとかしないから。わたしはこれから宿泊先に行くんだけど一緒にどう?部屋は別々でも構わないわよ」
「お金ないの」
「払うわよ」
 愛子は困惑して下を向いた。
「どうぞ」
 彼女は助手席へと誘(いざな)う。こうなると断る方が失礼だと思える。しかしつい先ほどどうなってもいいと思っていたのだ。
「…ありがとう。乗せてもらいます」
 彼女は親切に助手席のドアを開けてくれた。慌てて車に乗ろうと片足を浮かせた瞬間、足に力が入らずその場でくじいて転んでしまった。
「大丈夫!?…ひょっとして歩けない?」
「だ、大丈夫。慌てたからよ」
「どこから歩いてきたの?」
「K市…」
「そんな遠いとこから?」
 女性は驚いて大きな声を出したので山に響いた。
「歩くしかなかったのよ」
 愛子は女性の声を聞いて我に返り、羞恥心が出てきて自分の足許を見てもじもじしてしまう。ここがどこだか判る?と聞かれ、首を振る。
「M市よ」
「え!」
 愛子が歩いてきた所からだと車でも二時間はかかる場所だ。
「やばいから。熊出るよ。さっきラジオで襲われた人がいたってニュースやってたし」
 熊。さすがに人間以外に襲われるかも、というのは頭になかった。よたよたと歩き、車のシートに体をうずめた。何よりも柔らかだと思えた。女性は車内の照明を点けた。眩しい。
「足、平気?」
 明るい中でもう一度自分の足を見ると、靴が破れて指が数本顔を出していて、おまけに血が出ていて滲んだせいで靴ごと血まみれになっていたので愛子はぎょっとした。
「車を汚しちゃうわ」
「いいよ。近くに店があるからちょっと寄るね」
 どうして、と言いかけて言葉にできない。疲労が溜まりすぎていた。どうしてそんなに親切なの。どうしてそんなに優しい言葉遣いなの。どうして…。

 ドアが閉じる音がして、はっとする。眠っていたらしい。
 24時間営業のドラッグストアに女性が入っていくのが見えた。車だとこうしてすぐに拓けた場所に着くのだ。しばらくすると女性はビニール袋をふたつ持って店から出てきた。はい、と言って袋のひとつを愛子に渡した。ごそごそと中を見ると底が平たいサンダルや靴下、レギンス、絆創膏など今の状況を救ってくれる物たちが顔を出した。戸惑って女性の顔を見るとこちらには目もくれず、もうひとつの袋を開けていた。
「こっちは食べ物と飲み物。宿泊先までまだ少しあるからお腹に入れておくといいよ」
 愛子の頭の中にまたたくさんの「どうして」が浮かぶ。
 とりあえず、ズキズキ痛む足を消毒してマメが潰れたところに絆創膏を貼って靴下を履いた。ふっくらと足が包まれたようだった。そして恥ずかしさはあったがワンピースの中にレギンスを穿いた。こんな状況なのに今の時代のファッションに多様性があって良かった、などと考えていた。袋の中にはまだ何か入っている。
「メイク落としシート…」
「余計なお世話かなとは思ったんだけど、あの、化粧が落ちてるって言うか」
 女性はしどろもどろになる。愛子はバックミラーで顔を確認した。化粧が落ちてるなんて奥ゆかしい言葉で片付けられないほど、マスカラもアイシャドウも溶け落ち、顔がまだらに黒くなって、こすったせいで口紅の赤い色も顔中に広がっていた。つまり、ほとんど過ぎ去った車は案外本当に愛子が幽霊のように映っていたのではないだろうか。しかし酷い。酷さが突き抜けていて思わず笑ってしまった。
「こんなに酷い自分の顔見たの初めて」
 女性も笑った。
「最初ぎょっとしたもん」
「こんな顔の人間に声をかけたあなたは勇気があるわ」
 すると女性は不意にどこか痛んだような顔になり、下を向いてしまった。
「ごめんなさい。ありがとう」
 愛子はこの何の責任も罪もない女性に心から非礼を詫びる。メイク落としシートで顔を拭くと涼しい風が顔中を愛撫した。拭き終えたシートを見るときれいに見せるためだった化粧は何もかもが混ざり合って汚れの色になっていた。それでも何とか人様を驚かせない姿になったと気を取り直して女性がくれた水とおにぎりを口にした。鮭と梅干し。しょっぱくてたまらなく美味しかった。

 宿泊先は割と新しい外観のビジネスホテルだった。愛子は我侭を言わず同部屋にしてもらった。学生たちの夏休みが終わる頃と季節の行事がない時期のためか、ホテルは空き部屋がたくさんあり、すんなりとツインルームに替えてもらえた。それにここは多くの人が憧れるような土地でもなかった。都会でもなく田舎と言うには中途半端に物が揃っていて旅行先としては見過ごされてしまう地域なのだ。家から目的地までの休憩地点とでも言おうか。愛子は自分がしてきた恋と、この町が似ている気がした。

 ふたりはエレベーターに乗って部屋まで向かった。エレベーターの鏡には素顔によれよれのワンピース、ぺたんこのサンダルという井出達のいい年をした女が映っていた。それでも先ほどの姿よりは大分ましだと思う。泣き腫らした目はフロントで気づいただろうか。女性を見ると長い髪をひとつに結び、丸首の黒い長袖Tシャツの袖を捲り、色褪せたジーンズを合わせていて、とてもラフで遠出に慣れているようだった。エレベーターを降りて女性はカードキーを通して部屋を開け、照明のスイッチを入れた。愛子はふらふら部屋を歩き、ほとんど吸い込まれるようにベッドに倒れた。
「少し休んでから色々考えるといいよ。わたしは先にシャワーを浴びてくるね」
 女性は既にタオルを用意してシャワーのドアに手をかけていた。
「…あなたの名前は?」
「友子よ」
「ともこさん」
「呼び捨てでいいよ。友達の友って書くの。あなたは?」
「あ、愛子です。愛する、の愛」
「いい名前ね。きれい」
 友子は笑顔で答えてそのままバスルームのドアを閉めた。しばらくすると湯が出る音が聴こえた。乾いた部屋の空気がシャワーの湯の湿度で潤おってゆく。愛子は深呼吸をしてアイボリー色の天井を眺めているうちに眠りに落ちた。

 目が醒めたときは既に友子がシャワーから出ていた。目が醒めたと言うより起こされた。愛子は寝ながら泣いていたらしく友子が涙を拭ってくれてその手の感触で目が醒めたのだ。
「大丈夫?吐くんじゃないかと思った。嗚咽してたから。気分は悪くない?」
「ええ。ごめんなさい…」
「謝ることじゃないよ。疲れたのよ、あんなに歩いたんだもん」
 友子の長い髪からシャンプーの香りが漂い、くらくらするほど心地良かった。
「ね、夕ご飯食べに行かない?シャワー先に浴びる?」
 愛子は慌てて時計を見る。真夜中かと思ったら午後7時だった。シャワーを浴びる方を選択してそのあと夕食を摂ることにした。

 ホテルを出たところに「お食事処 湖水の里」と書かれたのぼりを見つけ、暖簾のかかった引き戸を開けた。明るい和風の店内は塗り立ての漆のように艶やかでどっかりと力強いテーブルが印象的だった。席に着き、さっそくお品書きを広げる。車の中で食べたおにぎりでは到底満腹にはならなかったので、ふたりとも空腹だった。愛子が定食を吟味していると友子も「それ美味しそうね」と言ったので同じものを頼んだ。
「『湖水の里 香り御膳』ふたつください。あとビールも」
 注文した料理を待つ間にビールをグラスに注ぎ、かちんと合わせた。

「こんなに親切にしてくれてありがとう」と愛子が言ったことから友子は自分のことを話し始めた。
「多分、友達の影響だと思うな。昔は一匹狼のヤンキーで誰とも口をきかなかったから。友達は同級で違うクラスだったんだけどお互いに不登校で話をしたことがなかったからどんな子なのかなって気になって訪ねて行ったの」
 何となく意外だった。こうして目の前にいる友子という女性はとても人懐こくて物怖じもしない。圧倒的に相手を誘い込める力がある。だから愛子も今こうして向かい合っている。

 そして友子がヤンキーだった話は序章に過ぎず、そのとき知り合った同じ不登校の子との不思議な縁で親友になり、連日互いの夢を語り合ったという話を熱っぽく飽きさせない語調で聞かせてくれた。友子はその頃から美容師を目指していたと言う。その後必死に勉強をして美容学校を卒業し、今は希望が叶って美容師をしている。
「わたし、その頃は子供なのに金髪で厚化粧をしてたから誰も近寄って来なかったんだけどその子だけは怯えもせず受け容れてくれたの。だから彼女は特別な存在。今は毎月一度、逢っておしゃべりをして彼女の髪を切ってあげているの。多分誰かと面と向かって話ができるようになったのは彼女のおかげ」
「いいな、親友がいて」
「ヤンキーだった頃は親友ができるなんて夢にも思わなかったよ。その子に会いに行ったのもどうしてだかわからなかった。何か抜け道を探してたんだなって今なら思うけど」
「抜け道?」
「うん。わたしも友達も不登校をずっと気にしてて、親や先生に下手に相談しようとしても頭ごなしにただ学校に行けって言われるだけだったから相談できなかった。行けって言われて行けるんなら悩んでないわって思った。ただ美容師になりたいって夢があったからやっぱり悩んでたのよ。あの状況を何とか抜け出さなきゃって焦ってた。そんな話もその子には言えた。その子も同じ悩みを抱えてたから。そして全力で応援してくれて、一緒に学校に行こうって話に持っていけた。ふたりの力よ。すごく嬉しかったし感謝してる。あとね、わたしのこときれいだって言ってくれたのも大きかったかな」
 そう言って友子は豪快に笑った。けれど冗談などではなく目の前にいる友子は本当にきれいな人だった。髪の色は既に金髪ではなく薄い色に染めていて波のように艶やかで豊かだった。
「ここです」
 友子はテーブルの上に何かを置いた。美容室の名刺だった。
「そこで働いてるの。下っ端だけど勝手に名刺作っちゃったの。もらって」
「ありがとう。いつか私の髪もお願いするかもしれないわね」
「ぜひ」
 話をしている内に料理が運ばれてきた。天ぷらと鮭節をまぶした出汁巻き玉子、和風ハンバーグ、ごぼうの和え物、味噌汁にごはん。ボリュームたっぷりの膳で空腹が満たされていった。

 ホテルに戻り、寝巻きに着替え、あとは眠るだけのスタイルになると気持ちが落ち着いた。すっかり夜の帳が下りた外を愛子は窓から眺める。灯りがぽつぽつと浮かぶ中、暗い一角が目に入った。愛子はあそこをひたすら歩いていたのだ。
「なにを考えてるの?」
 友子は道すがら買った缶ビールを開けながら聞いてきたので愛子が歩いてきたであろう場所を指し示した。
「うん、そう。あそこらへん」
「…どうして私に声をかけたの?」
 友子はベッドに座り、しばらく天を仰いで言葉を探していたがやがて口を開いた。
「あんな歩き方をしているひとを放っておけなかったのよ」
「そんなにおかしかった?」
「実際の歩き方じゃないよ。自暴自棄で体中が涙にくるまれているように見えたってこと。図星でしょ?」
 ただ頷く。愛子は思い出す。恋を失くしたばかりだった。

 所謂、不倫の恋。不倫なんて言葉は嫌いだけれど世間ではそうとしか呼ばないだろう。あのひとの手は大きくて温かだった。けれどあのひとは本物の手で妻を抱き、私を抱いていた手は贋物だった。結婚していたなんて知らなかった。ひどい。だから私は千切れそうな想いで別れを告げたのに。何だか裏切られたような気分だよ、とあのひとは言った。どっちがよ。どっちが裏切り者なのよ。私は叫んで思いきりあのひとを殴りつける。触れない。幻だ。私はまた殴ろうとして振り上げた自分の腕を見る。マネキン人形のような義手だった。ほら、君の方が裏切り者だ。振り向くとあのひとが笑っている。違う。こんなの私の腕じゃない。私は義手を取り外してあのひとに投げつけた。

「愛子さん、大丈夫?愛子さん」
 気がつくと友子が愛子の体を揺すっていた。
「うなされてたよ」
 気の毒そうな顔をして彼女は愛子にティッシュを箱ごと渡してくれた。また眠りに落ちて泣いていたようだ。
「何度もごめんなさい」
「平気だよ」
「私の話をしてもいい?」
「うん」
「私、普通に恋愛していると思ってたんだけど相手に奥さんがいたの。ほんのちいさなきっかけでわかったの。その人、ばれたかって言ったのよ。頭に来たからすぐに別れようと思ったのに結局不倫の仲になったと知ってからもずるずると半年くらい付き合ってた。とうとう別れ話をしたときはもう自分の家にもどこにも帰りたくなかった。でもどこに行っていいのかもわからないから、その足でK市から歩いてたの。どこまで行こうかも考えていなかった。恋愛中は幸せだと思っていたのになぜかずっと眠っていても意識がなくならなくて一種の睡眠障害みたいな感じになってた。だから目を開けたときまだ外が暗いと安心できた。ああ、まだ夜だ、世の中の誰も起きていないんだって思ったらほっとした。そのままもう暗闇から出てきたくないなって思えた。無意識に罪悪感を持っていたのを知らされているような毎日だった。禁忌の恋愛をしていたくせに恋の心地良さだけを享受しようとしていたんだって気づいたら、すごくバカみたいだった」
 そのとき、友子は愛子の手をぐっと力強く握った。あまりにも唐突に手を取られたので驚いて彼女の顔を見た。
「バカじゃないよ。愛子さん、自分を責めすぎてる。不倫でも一対一でも恋愛には相手がいるものでしょ?どちらか一方だけが悪いなんてことはありえない。その男がバカだよ。愛子さんみたいに常識を持った人を裏切ったりして。別れるってすごいエネルギーがいるでしょう。せっかく作り上げた関係を壊すんだもの。だから愛子さんも気づいていない心の奥深くで本当は限界だったんじゃないかな。どんな関係にも永遠なんてないんだから…」
友子の言葉を愛子は黙って聞いた。そう。永遠の関係なんてない。そして永遠がどこまでなのかも本当はわからない。きっと忘れるまでが永遠なのだろう。二度とやってこない季節などないように、もしかしたら永遠という概念自体が存在しないのかもしれない。

「今日は晴れそうね」
 朝になり、カーテンをさっと開けて友子が言う。もう既に暑くなりそうな空の色をしていた。友子の提案で愛子をK市に送る前に、愛子が歩いてきた道を車で通ることにした。あの暗い一角はM市の名所でもある湖だった。車を降りて愛子は改めて穏やかな湖を眺めた。湖は澄んで、陽射しを受けてさざ波が煌いていた。
「こんなにきれいな所だったのね。全然気づかなかったわ」
「真っ暗な中だったんだもん。当然よ。自然だって別の顔を持ってるってことさ」
 友子の言葉に、どきんとした。
「愛子さんは感情がすぐ顔に出ちゃうタイプね。今動揺したでしょ?」
 参った。友子には見透かされてしまう。
「わたしはここまでしかしてあげられない。ごめんね」
 友子がぽつりと言う。愛子は激しく感情が揺さぶられた。
「なに言ってるの!これ以上ないほど良くしてもらったわ。私、あなたがいなかったら野垂れ死にしていたかも知れないわ。すごくすごく感謝してる。どんなにありがとうを言っても足りない」
「ありがと」
 友子は遠い目をするように湖を眺めながら「少しは役に立てたみたいね」と笑った。
 愛子は思う。〈少し〉なんてものじゃない。大げさではなく、友子は命の恩人だと言ってもいい。

 K市に着き、愛子を駅で降ろした。愛子は運転席の窓を開ける友子に向かって話しかけた。
「ほんとうにありがとう。さよなら」
「うん」
「さよならって言って。ちゃんと言って」
 風の音だけが聴こえて友子は寂しそうな目をしていた。
「そんな目をしないで…」
 思わず愛子の口から出てしまうほどに友子の目は憂いを含んでいた。
「鏡みたいなものよ。愛子さんもきっとわたしと同じ目をしてるのよ」
 また不意を突くようなことを言うので、愛子は突っ立ったままになってしまう。
「愛子さん」
「なに?」
「寂しさに勝とうと思ったらだめだよ」
「え?」
「寂しさの真正面に立っちゃだめ。どうにかごまかして。そして生きて。生きてないと会えない」
「寂しさごときに負けるなんて子供みたいだわ」
 一瞬、話を逸らしかけた愛子の目を友子はまっすぐに見て続けた。
「人は憎しみよりも寂しさで死ねるのよ」
 愛子の頬を涙が伝う。それは昨日夢の中で流していた激しい号泣の涙でも嗚咽のそれでもなく、ただ静かに揺れる清い湖のような涙だった。友子は指で愛子の涙を掬いながら微笑む。
「わたしは昨日渡した名刺の美容室にいるから。いつでもいるから。もし愛子さんが髪に手を入れたくなったら任せて。わたし、腕は確かよ」
 友子の笑顔は大輪の花だ。そして真実だ。その笑顔に助けられた人はきっと数え切れないほどいるのだろう。彼女の友人も、そして愛子もまたそのひとりになるのだろう。
「だから、さよならは言いません」
「うん。じゃ、また」
「またね」
 友子は愛子が歩き出すまで車を出さずに待っていてくれた。愛子は前を向くために一度だけ振り返った。友子は思い切り手を振った。愛子も真似をして思い切り手を振り、笑顔を返し、そのあとは振り返らずに歩き出した。愛子の背中に車のエンジンの音が心地良く響いた。





《 軌跡 了 》





【 あとがき 】
締め切りを過ぎて、編集段階に入っているさなかに無理を言って書かせていただきました。これは下手でもなんでもいいから今どうしても結末まで書いておきたかった物語です。どうかこちらも飽きずに読んでいただけたらと思います(2016/10/03)


Kayuri Yukisaka Website 幸坂かゆり総合案内所  幸坂かゆり
http://kayuri39.strikingly.com/

● COMMENT ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック:

http://misterycirclenovels.blog.fc2.com/tb.php/456-f71b8c09
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

《 左手の記憶 》 «  | BLOG TOP |  » 《 砂時計の住人 》

プロフィール

MC運営委員会

Author:MC運営委員会
このブログの八割は、カボチャで構成されております。

カテゴリ

Mistery Circle(メインカテゴリ) (40)
寸評 (30)
MCルール説明 (1)
お知らせ (36)
参加受付 (24)
出題 (35)
メールフォーム (3)
★カボチャでも書ける小説講座 (5)
内藤クンのおもちゃの部屋 (9)
天野さんの秘密の部屋 (8)
Ms.伍長の黙示録の部屋 (0)
伊闇かなでの開かずの部屋 (4)
未分類 (28)
亞季 (2)
いつき (1)
伊闇かなで (3)
空蝉八尋 (4)
黒猫ルドラ (13)
ココット固いの助 (22)
桜井 (1)
桜朔夜 (1)
鎖衝 (11)
知 (21)
しどー (13)
瞬 (3)
白乙 (12)
すぅ (13)
すずはらなずな (30)
田川ミメイ (2)
辻マリ (14)
夏海 (3)
七穂 (1)
氷桜夕雅 (32)
ひとみん (4)
松永夏馬 (12)
望月 (8)
幸坂かゆり (21)
李九龍 (13)
りん (3)
ろく (1)
Clown (12)
MOJO (1)
pink sand (9)
rudo (8)
×丸 (4)
MC参加者に聞け (7)
Mistery Circle ヒストリー (2)

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

検索フォーム