Mistery Circle

2017-05

《 親心子知らず 》 - 2012.07.26 Thu

《 親心子知らず 》

 著者:しどー








 夏が熱いから、そのような理由で急遽ファミリーというより1家族としてロシア行きが確定した。フラン君の盾として義母の財布として。料理は相変わらずサワークリームばかりの店ばかりであり自分が一応男だからと未成年ながらウオッカを1つ空けないとホテルに入れられてもらえないという。そんな洗礼を受けたが勢いよく飲むふりをして両口の端から零しておいた。でも少しだけ酔いたいと思っていたところもある。雇われ店長から最近、困るとビルからスカイプで悩み事相談される。もちろん時差なんておかまいなし。でも6時間のマイナスだからソコまで大きく負担には感じない。
 義母の求めているのはまぁまぁな宿と最高の料理。サワークリームとマヨネーズたっぷり。義母にはサワークリームの高級品でもビンごと預けてしまえばいいのではないかと思える。
 
 おかげで、常に最低だった。気は使わないとならないといけない。サイフも出て行くものが多い。そのくせに美味しいと思えるものが少なかった。酸味がもうこれでもかと口と胃袋をさいなむ。吐いたため息をそのまま上に見上げれば、青空で、ふっ、と誰かが笑った気がした。フラン君の作り話が本当であるならば、俺の前世の母親でも笑ったのだろうか。酷い話だ。実の母より前世の母というのが、本当に。
 でも、フラン君の話はいつだってそれをまるで見てきたかのように話す。そして、もっと悪党になれと。無一文から始まり、金の力でのし上がった大悪党になれと。

 今日の宿はモスクワから少し離れた場所であり、軽い山荘をイメージしたそんな宿だった。
 常に、酒瓶から手を離さない義母から、フラン君の外出に一緒に出ると言うとある程度の金はおいて行けと言われた。あと、なにかツマミを。まったく。そう思いながら、フラン君と共に歩く、日本では夏の時期とはいえ少し肌寒い。しかし同じ国でもトルコの方に行けば29℃など出るような場所になる。このモスクワや近郊で十分だ。

 しばらく歩き、無言で何かをよそ見して歩くフラン君に「何を見ているんだ?」と聞くと、「モフのお母さんの育った町。」母とは前世の母とすぐにわかった。
「そんなに私の母親はすごかったのか?」「人間としての功績は最低かしら。夢をもってヨーロッパに出る。残した恋人を捨てて夢を追いかける女の子。そのハテが、誰の子とも言えない貴方を産んで麻薬に抵抗して死んだ。」
何も言えなかった。そんな少女は見たことがある。事の始まりから終わりにまで。ただ、今なら本当に酷いところまでむしり取られている。きっと子供なんて…ウチのコにウチに来る前にそういうのに近いのがいる。
「産んだことがそんなにすごいなら教会に行けば一番評価されている女性を見ることが出来ると思うけどね。」
「その後に、自分の魂をあげた。これが出来たのはあなたの母だけ。」
そうか、と返し話を受け流した。興味が失せているのを察してフラン君は止めてくれた。

適当なカフェで紅茶とチョコレートで少しのんびりとしていた。もしも、その前世の母がいたら何をしていた。どんな夢もって出たのだろうか。気が付けばふと鼻歌を歌っていたようだ。ポーリュシカポーレ。特に気にしていなかったからこそ、フラン君がそれに合わせて小声で歌詞を歌ってくれて気づいた。
「おっと、失礼。」
構わないわ、そう返すフラン君はすこし機嫌がよさそうだった。一瞬、夢というのが歌だったのではないかと思うが口に出すのをやめた。面倒になりそうに思えた。
「モフ、なんだか面倒くさそうな顔している。」「僕はいつだって面倒にとり憑かれているよ。唯一君だけが例外でね。」
少しだけ呆れられてしまったようだ。
「帰ろう。水餃子とウオッカが待っているよ。」「フラン君、水餃子は3つまでが限界だし本来は未成年だ。」
「ママにもそういうの?」「『アタシはウオッカの母乳の割で育ったから問題ない』って口の中に水餃子ねじ込まれるだろうね。」
そう言いながら携帯を鏡に後ろを見ると、3人ほど男がついてくる。
「フラン君のファンはすぐ出来るね。」「軽い言葉はモフで間に合ってる。」「いつでも本気なのに軽量級の辛いトコだね。」
「ねぇ、モフ。あそこに逃げよう。男3人では入りにくい。」
 そういってフラン君が差したのはモーテル。「仲良し三人組でないことを祈ろう。」

モーテルに入り、フラン君が護身用と渡された拳銃の弾数と動作確認をしている間に義母に連絡した。義母もなかなか楽しそうにしていた。
「忙しそうだった?」「3時間くらいしたら空気読んで迎えに行くってさ。」
近くには銃声や怒声が聞こえなかったから、きっとこれはマフィア関連ではなさそうだ。フラン君にツバつけに粉をかけに行ったら邪魔な私がいる。そんな感じか。モテない男もこういう辛さがある。それにどんなガタイがよくなくとも3人は無理だ。
もしも、これが舌戦や交渉の類いであるならまだ勝機があるかもしれないが、そういうことではない。自然と力技となってしまう。銃や爆弾なら力に関わらずに倒せるかもしれない。もしも、ここが上海なのであれば、容易く手に入れられるしそれで起きる惨劇ですら問題は大きくならない。そこでは人の命が一番安いのだ。
でも、それは諦めである。惨劇で得られるモノは何もない。結局はそれ関連にも対しての金がかかる。安いといいつつそこまで安くはない。
携帯端末でこの辺りを調べて帰り道などを見ているとフラン君が濡れた髪を乾かしていた。
「モフは入らないの?」「立ったらカッコつけらんないからね」
しばらくはフラン君にオモチャにされた。途中義母から「孫はまだいらないよ」なんてものがあったからこれは下手したら迎えに来ない。少し諦めをつけて時間を互いに潰した。

「さて、そろそろ帰る?」「ええ、こんなにまで待っていたら困るけどさ。」
これでいたら、下手すれば少しヤバいヤツになる。だから少し周りを気にしながら外に出る。周りに誰かがいたけど、さっきついて来ていた人間の靴とパンツは思い出せるので安い変装をするような輩ではない。それで、安全を確認し周りのバイクや車を警戒しながらフラン君にいつでも拳銃を抜けるようにお願いしておいた。少しでも時間を稼ぐために車道側に立ってフラン君を頼りなくも守る。僕が本来、義母から任されている仕事。宿につくまで何もなく、考え過ぎだったかとふっと安心感が湧いてきた。
「何もなくてよかったよ、3人は流石に相手できないからねぇ…。」「4人でも?」
その意味を知ったのはすぐだった。宿に行くと義母が何人かで酒を飲んでいた。その義母を除いた3人が、尾行していたヤツだった。
「これは…。」
「お前ら、何もしないと何もしないからお膳立てしてやんなきゃダメだろ?」
 どうやら、義母の顔なじみだった。
「イワン。好きだぜ、そういう顔。んで、お使いはどうだ?やってきたか?」
「ママ、もちろん。どの範囲か、わらないけど。」

いつの間にか買っていた、つまみを渡していた。
フラン君からは悪党になれと、よく言われているが最初に上機嫌に聞き覚えのある歌を口ずさんいる義母を超えなくてはならない。それを実感しその場の会計を済ました。
人の命は安いと聞くが少なくともここにいる女性は、とても高い。





《 親心子知らず 了 》





【 あとがき 】
最初に、
物語では未成年に飲酒をさせましたが、ダメ絶対。

そして
上海に苦戦しましたw

そして、苦しいときのイワン。そんな感じですかね。
イワンにどんな前世を持っていたかは一応は物語としては書いたのですけど、別に関係ないように書いています。
フラン君はイワンの前でだけイワンの前世を言う自分がイタイことを言っているのを自覚している女の子です。
こんな女の子は物語でこそ、輝きそうですが実際は面倒くさいでしょうね。

では、ここまで読んでくれてありがとうございました。

【 その他私信 】
2時間ほど遅刻してすみません。


Sidh's story しどー
http://id24.fm-p.jp/16/cidh/

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