Mistery Circle

2017-09

《 女郎蜘蛛 》 - 2012.07.28 Sat

《 女郎蜘蛛 》

 著者:しどー







 困ったなぁ。
 花村忍は、バス停体の前で思わず独り言をこぼした。仕事でここまで来たが、転んだ際に腕時計を壊してしまったようだ。そのせいで
時間を見間違えバスの最終便を逃してしまった。

「困ったなぁ。」

 バスを逃してしまえば、タクシーでも呼んで駅まで行くしかない。財布には余裕はある。
 花村は、どうせだからとここで宿でもとってみるのも一興とその余裕から考えた。

 歴史もあり、有名な戦もあった。名産を考えても、うどん。それ以外が浮かばない。長居をするつもりがなくとくに調べてこなかった。

 なにかかしらで、うまいものはあるはずだ、宿をしばらく探していたが安宿がひとつ取れた。安宿というよりも民宿。
 コンビニで晩酌ようの酒を買い、ふと歩いていると川が見えた。勝手なイメージでよく水不足が話題になる。川を見つけて正直に驚いたが、すぐに勝手な思い込みだと考えを改めた。

 ふと、目をやるとそこには一人の女性がいた。薄暗いなか物憂げな顔で川を見ていた。
 もしも、女郎蜘蛛。水辺に住み女の姿で男を巣に連れ込む。諸説あるが隣県にもその伝説がある。あんな女性に言い寄られたら、それを考えたら男はコロリとついていくだろうな。そう花村は思えていた。だが、花村は言い寄られたところで、「そのケはない」そう言うだろうが…、どうやら視線を感じたらしくその女性が会釈し花村は申し訳なく返した。
 宿に戻ると、そろそろご飯の時間になり食堂というより居間のようなところで夕飯を食べていたら、他の客が来た。そのなかに彼女がいた。
 なんだか申し訳がなく感じていたら話しかけられた。

 彼女の名前は、九羽鳥という珍しい名字であり、さらにアトリという名前だった。カタカナだが、花鶏というふうに書くことも出来る。おもしろい人だった。

 話も弾み、彼女も花村を男と思っていたらしくその後に部屋で飲むことになった。そこで彼女は自分が見えやすい体質であることを話始めた。酔った勢いなんだろう。花村はそういうのは見えない。でも、そういったものがないと説明が難しいことがある。
 もう下手に考えても面倒しかこないことがある。極力離れた場所で傍観することが一番であると花村は思っている。自分の平穏のために。
 酔いながら話を聞いていると、どうやらあの川の近くにいたのはそういうのから逃れたいと思っていたからだ。

「水回りにいるもんと思っていたよ。」
「花村さん、もう忘れてる?
 言ったでしょ。私は見える気質の人なの。でもってここにも、そういうのがいるのよ。私はその姿が見えるし、声も聞こえるの。
 少し憑かれやすいみたい。」

 見える人には見えるなりにそれぞれの問題があるようだ。

「私を気持ち悪がらないで付き合ってくれてありがとう。もしも、私が取り憑かれて川に行くようだったら止めてくれないかしら?」
「分かったよ。」
 そういって別れた。アルコールのおかげかすぐに寝れた。

 変な夢を見た。とても大きな蜘蛛がいる。キチン質を思わせる固そうな脚でカサカサと、九羽鳥を市中引き回しのように糸で引きずっていく。

 ハッとして起きた。気持ち悪い汗が体にまとわりつく。洗面所で顔を洗っていこうとすると、九羽鳥の部屋がわずかに開いていた。
 見た夢が見た夢。開けてみるとやはり、静か。最悪怒られるだけだ。電気をつけてみると、いない。

 まさか、と花村は思い慌てて外に出た。風が生ぬるくじんわりと湿り気を感じる。

 あの川に行くと、彼女がいた。まるで見投げのようにザブザブと進んでいる。マジかよ、と慌てて進み助けようと思うと水の近くが強く冷たい。
 
 そして、彼女がひどい目をして笑っていた。そして姿が、煙のように消えてしまった。まるで幻か何かのように。

『水辺に住み女の姿で男を巣に連れ込む。諸説ある』

 帰り、彼女の部屋を確認したら誰も泊まっていなかった。いったい何をみたのか、花村は下手に考えても面倒しかこないことがある、そう諦め帰宅についた。





《 女郎蜘蛛 了 》





【 あとがき 】
ちょいとそれなりにまとめました。花村はなんの仕事かな。実は決めてないのでした。大学生の研究あたりが妥当かな

思いの外、最初に書いたのがスケール大きくなりそうだったので諦めました。
なんかクトゥルフな終わり方したのが少し悔しいです

アトラク=ナクアは関係ないですからね。それくさいだけです


Sidh's story しどー
http://id24.fm-p.jp/16/cidh/

● COMMENT ●

書こうとしたときにテレビで香川をやっていたので、軽くしか行ったこと無いけど
舞台は香川県

そして
正直に、困るとクトゥルーな終わりかたをするクセをどうにかせねば…


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