Mistery Circle

2017-08

《 バンドマン 》 - 2012.07.30 Mon

《 バンドマン 》

 著者:しどー








 誰かのために私はいるのだろうか。誰かが去る。そんなときに…その何かにちゃんとさわっておくべきだったのに…って、確かにそう思っていた。でも、それが出来ない。私はそれをやっていいのだろうか。それを考えてしまう。
 何かをするべきと思っても自分の空回りなのではないかと思ってしまう。自分の思い込みかもしれないのは重々承知だ。わかっている。でも、出来ないのだ。いざやってみて、「え?なんで」と言われたら。過去に私は言われたことがある。

 誰も幸せにならない選択肢をとってしまい、その苦い記憶が私をこうも縛られている。

 中学の時に私は一人の女の子に恋をした。同い年の女の子。今思えばまどろっこしいほどの思春期が私を支配していた。そのせいで多少は話すがそれ以上を離さないで妙な距離を取っていた。そして、修学旅行に盛り上がって告白し…断られた。そう。え?なんで、と。
 それが俺の青春の1欠片だった。
そして、高校になり男子校のような工業高校に入り、3年間結局仲間内のエロ話しこそするが彼女は出来なかった。しかも、告白した女の子がしらない男とキスをしていたのを目の前で見てしまった。
 今はこれだけど、そう思っていたところがあった。まだ再起不能でない。そう思っていた。だがそんなことはなかった。

誰かに何かをいえる人間ではない。私の世界というのは狭いということに気付いてしまった。私の立って座る程度しかない。そう思えてきた。

大学に入ってもパッとしたこともなく、それなりに無難を歩いてきた。無難を越してはいけない。その足元を踏み外せば…。私には恐怖しかない。
何人か女の子を紹介されても、結局は誰ともちゃんと付き合えなかった。相手の懐に入れなかった。そして、距離を付けて決して入らせないようにした。

ふざけあえる仲間だけがいればいい。それだった。

そんな中、彼女に出会った。私は一人を大事にしていたせいか趣味だけは上手になった。ピアノだけは自分を裏切らず、大学にもコレのおかげで入ることが出来た。動画投稿サイトでも1流と言われるような人間にはなれなかったが、それなりに再生数を稼げた。でも、再生数が比較対象になってしまい。自分を苛む。嫌だった。

でも、買われるチャンスを得た。今では都市伝説となった1つの船への招待状。夢の先招待券、そうも言われる豪華客船への入場パス。
Queen Aliceという船に乗り私は2人の人物に出会えた。1人の名前は詩川優衣。もう1人の名前は新山真琴。
優衣と真琴は今も一緒にいる。真琴の友人であるドラムスの人を迎えて4人で「黒蝶」というバンドで最初こそヴィジュアル系だったが今ではコミックバンドだ。
優衣は私を肯定してくれて時折訂正の場所を教えてくれる。真琴は私を認めてくれて、それで無理やりに引っ張ってくれる。

昔と今。やっていることは大して変わらない。でも、2人の存在があったおかげで数字と音だけだった2次元の世界だった自分に、他の人間との協力というベクトルが加わって3次元になれた。
短く言うなら、色がついた。

今のこの黒蝶というバンドに入ってからよくよくあるのが、コメントやライブで言われる「キーボードやれ」これが楽しくなってきた。もともとベースがいないバンドなので最初こそベースをやっていた。でもなんだか真琴とのテンションの差がなぜかその方向性に行った。ギターソロをする真琴の横でギター音を被せたり、メインボーカルである優衣がライブ終盤で体力が限界になってきたあたりで彼女の声の音程で話す予定の内容をキーボードで表現したり、いつの間にかツインドラムスをしてみたり。
ふざけていることが楽しくなっている。二人がいたから今こうしている。だからこそ、いまでは誰かの心配をするっていうのはなかった、今になって思えば考えていたよりずっと辛いことだ。
自分だけではない今になって分かった。

そして、今…。

ただふざけていただけで何とかなっていたインディーズを終える、最後にライブで全員とハイタッチを交わした。
メジャーへの第1歩として何かにちゃんとさわっておくべきなんだから。





《 バンドマン 了 》





【 あとがき 】
難しかったです。なかなか思い浮かびませんでした。ドラムスの人の名前がない時点で、察してくださいな。とりあえず、きれいにまとめることをメインにして勢いをつけて書きました。ちゃんと他の人を心配するような人間であれば…。とりあえず、終えられてよかったです


Sidh's story しどー
http://id24.fm-p.jp/16/cidh/

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